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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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#排出係数

スコープ2算定 証書の活用方法は?

温対法の報告期限である7月末日を控え、データの収集・整理、算定に忙殺されている担当者の方も、多いのではないでしょうか。 CDPの方は質問書に大幅な変更があったため、例年の7月から9月へと締切が後ろ倒しされたとは言え、新しい質問に対応する負荷を考慮すると、一息つくどころか、逆にタイトなスケジュールになっているかと思います。 温対法は「法律」ですから、「対象となる排出活動」が限定されており「算定方法」と「排出係数」が詳らかにされています。(遵守しなければ罰則ですから当然ですよ

SHK制度 「排出係数」にご用心

皆さん馴染み深い「排出係数」 GHG排出量算定において、スコープ3については、無償で利用できる環境省のDBか、IDEAのような有償のDBか、はたまた、自社あるいは業界団体で独自に算出した係数か、などなど悩みは尽きませんよね。 さらに、粒度を上げようと思うと、サプライヤーから一次データを取得したいところ、第三者検証を受審しようとすると、エビデンスの確からしさの確認の容易さから、敢えて、汎用DBを採用せざるを得なかったり。 検証の場面でも悩ましいところではあり、お互いの落と

SHK制度令和6年度報告からの変更点

環境省は、令和4年1月から12月まで、算定方法の見直しについて「算定方法検討会」で議論を行い、令和4年12月中間取りまとめを発表しました。このときは、2回に分けてご案内しました。 これを踏まえた法改正が令和5年4月1日に行われており、令和6年度報告(令和5年度実績の報告)から適用されます。 中間取りまとめには、下記7点の項目が掲載されていました。 実際には、7を除いた6項目について盛り込んだ変更がなされているようです。 マニュアル・様式はまだ旧バージョンで、後日掲載予

再度「合目的的」に考えてみた(1)

先日、排出係数の扱いについて説明しました。 「排出係数の更新はどのようにすべきか」というFAQに対して、CDPの目的に着目し、「合目的的に判断しましょう」という話です。 今回は、もう少し突っ込んで、特に皆さんの関心の高いスコープ3について、考えていきたいと思います。 ここで、スコープ3の目的を考えましょう。 企業が自社の事業活動が、手の届かない範囲において排出にどの程度影響を及ぼすかを把握し、また自社の活動の変化により上流/下流においてどのような変化をするかを推測する

排出量算定〜スコープ2 間接排出

スコープ1の次はスコープ2 間接排出。 これについては、突っ込んだ話を紹介済です。 スコープ3のカテゴリー3と絡めて解説しています。 ご参照下さい。 ですので、今回は別の視点の話をしてみたいと思います。 まずは、前回同様、コーポレート基準の定義から。 ここもやはり「所有または管理する」とありますね。 この概念は、忘れずに算定業務を進めていきましょう。 コーポレート基準では、スコープ2は特別なカテゴリーとしています。 そう、スコープ2は温室効果ガス削減ネタの宝庫だと言っ

電力の使用による排出量(解説編)

4月29日のnoteで、電力事業に係わる事業者間で、「排出量はどのようにカウントされるのか?」という記事を書きました。今回は解説編です。 復習しておくと、事業者はこの4者 企業A:燃料採掘事業者 企業B:発電事業者 企業C:送電事業者・電気小売事業者 企業D:最終需要家 で、このような条件を付けていました。 企業Aは採掘にあたり燃料のみを使用する 企業Bは発電した電力を全て企業Dに販売する 企業Bは自社では電力を使用しない 企業Cは企業Bの電力を全量企業Dに送電