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気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう

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双子の条約と言われる、「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」だけど、後者はどうしても分かりにくいですね。でも、持続可能な世界の実現には、避けては通れません。どちらも一緒に学んで… もっと読む
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2023年8月の記事一覧

CBAM移行期間のルールが最終決定(2)

CBAMの移行期間に適用される、規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、結果が公開されました。 この結果については、こちらのサイトで公開されています。 前回は、どのような国、産業セクターからのフィードバックがあったかについて、簡単にレビューしました。 今回は、フィードバックの内容について、ご案内していきたいと思います。 とはいえ、187全部を見るほど体力はありませんので(笑)、日本企業にとって参考になるであろうEU域外からのフィードバック、タイ

CBAM移行期間のルールが最終決定(1)

CBAMの移行期間に適用される、規則及び附属書について、ドラフトが今年5月に公開され、コンサルテーションが実施されていました。 その際には、5回シリーズでご案内しました。 そのコンサルテーションは、7/11で締め切られましたが、187件のフィードバックが寄せられたようです。 内訳を見ると、当然ですが、企業や業界団体が大半を占めています。 その後には、EU域内の個人、NGO、政府機関と続いています。 国別にみると、ベルギーが39件(21%)でダントツなのが不思議かもしれ

大村湾ブルーカーボンPJ始動

かねてよりご案内している、ブルーカーボン。 先日、支援しているサイトを訪問、視察及び関係者の方々と意見交換、情報共有をして参りました。「Jブルークレジットのスゝメ(2)」でご案内した、「事前相談」を受けて行ったものです。(本来であれば申請後にはなりますが、スケジュール上、申請前に行った形です) 場所は長崎県大村市、プロジェクト実施場所は長崎空港のすぐ南に位置する、松山町の海岸です。お隣には「ガラスの砂浜」という廃ガラス再生砂を用いて造成した浅場あり、インスタスポットとして

サスティナビリティ情報、監査できるのは誰?

8月16日付の日経掲載されたこの記事、着目された方もいらっしゃるでしょう。 IOSCOの要請を受けて、IESBAがグローバルに使えるサスティナビリティ保証の倫理基準を策定しているというものです。 ここで、IOSCO(International Organization of Securities Commissions)は、国際証券委員会組織のことを指します。これは世界の主要な証券監督当局が集まる国際組織であり、金融市場の透明性、整合性、および投資家の保護を促進することを

情報開示基準の大本営なるか?

23年8月2日、国際監査・保証基準審議会(IAASB)が、国際サステナビリティ保証基準(ISSA)5000「サステナビリティ保証業務に関する一般要求事項」を提案しました。 IAASB(International Auditing and Assurance Standards Board)は、国際的に認知された高品質の監査、保証、その他の関連するサービスに関する基準を設定するための独立した標準設定団体。 IAASBの基準は、世界中の公認会計士が監査とその他の保証サービスを

Jブルークレジットのスゝメ(10)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ10回目。 前回までで、算定方法についての説明は終了していました。 最終回は、申請書の作成方法について見ていきましょう。 何よりもまず、申請するJブルークレジットの量を確定させます。 これまで見てきた算定方法の中から、申請するプロジェクトに対して適切な方法(式1、式2-1、式2-2がありましたよね)を選択。必要なデータを、現地調査及び文献から把握、算定を完了させましょう。 申請量は、算定量とは異なります。 3回目、4回目、5回目で

Jブルークレジットのスゝメ(9)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ9回目。 前回から、吸収係数の説明をしております。 8回目では、「単位ロープ当たりの湿重量」のお話までで終わっていましたので、今回は、「ブルーカーボン残存率」に入ってきます。 「ブルーカーボン残存率」は「式2−1」「式2−2」において登場する要素で、藻場や養殖プロジェクトにおいて、現地調査を実施する場合に用います。 さて、「ブルーカーボン残存率」はそのものズバリが文献値として存在するのではありません。「式2」を採用する場合のCO2吸

Jブルークレジットのスゝメ(8)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ8回目。 前回は、算定方法のうち「式1」まで説明しました。 今回は、「式2−1」「式2−2」についてお話ししましょう。 どの算定式を選ぶかは、認証の手引にある「算定フロー」にしたがって選定を行います。 「単位面積当たり/単位ロープ当たりの湿重量」を現地調査等によって計測する場合は、全てこちらの算定式を用いることになります。 養殖の場合はロープ養殖の場合があるため分かれていますが、両者は基本的に同じです。いずれも、「重量」を計算するた

Jブルークレジットのスゝメ(7)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ7回目。 前回から、算定方法に入っています。 ブルーカーボンでは、活動量として、面積あるいは養殖ロープの長さを現地調査等により把握することが、算定の第一歩であるというところまで説明しました。 今回は、吸収係数の説明を行って行きたいと思います。 吸収係数をどのようにして把握するかにより、3種類に分類されます。こちらのフローを辿って、適切な算定式を選択しましょう。 最初は、養殖海藻藻場以外の場合です。 マングローブや干潟については、面

Jブルークレジットのスゝメ(6)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ6回目。 5回目は、Jブルークレジットの対象となるプロジェクト要件の内、「1.プロジェクトの内容」について説明を行いました。 お待たせしました。 今回から、調査・算定方法の説明に入っていきます。 まず、2回目で説明した、何がブルーカーボンなのかをおさらいしましょう。 認証申請の手引では、このように説明しています。 そう、森林吸収系のグリーンカーボンのように、生体そのものに固定される炭素量ではなく、生体を通じて吸収され、土壌や海水中に

Jブルークレジットのスゝメ(5)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ5回目。 4回目は、Jブルークレジットの対象となるプロジェクト要件の内、「1.プロジェクトの属性」について説明を行ったところでした。 今回は「2.プロジェクトの内容」について説明を行っていきます。 認証申請の手引には、対象プロジェクトの種類として、自然基盤のものと人口基盤のものがあると整理されています。 世界的に見ると、圧倒的に多いのは「マングローブ」です。 それも、10,000ha以上の大規模なプロジェクトばかりです。 なので、熱

ESG投資勉強中

Twitterで紹介頂いた、こちらの本。 全然、読み進めることはできていませんが、こんな状態でも、その価値は十分すぎるほどわかり始めてます。 著者の方とは知り合いでもありませんし、アマゾンの回し者でもありませんが、これまで抱いていた疑問や、曖昧にしか理解できていなかったところがクリアになりつつあり、是非とも紹介したいなと思った次第。 きっかけは「情報開示って、コストをかけてまでやるべきなのか?」という素朴な疑問でした。対象は、ステークホルダー一般で、とくに企業が発信した