マガジンのカバー画像

国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

129
毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
運営しているクリエイター

#欧州委員会

EFRAGのアウトリーチ半端ない

EFRAG(European Financial Reporting Advisory Group)ご存知ですか? 欧州委員会の支援を受けて設立された民間組織で、欧州連合における財務報告基準の策定と承認に重要な役割を担っています。 EFRAGは欧州委員会の依頼を受けて、専門的な知見に基づき様々な法令のドラフトを作成します。欧州委員会はこれらのドラフトを参考にしつつ、最終的な法令化を行います。 CSRDにおける開示ルールである「ESRS」も、依頼を受けて作成。 欧州委員会

CSRD発効秒読み段階〜浸透図る準備着々

来年24年1月1日、CSRDが発効します。 これについては、昨年22年11月に決定しており、ご案内はしていたところ。 その開示ルールであるESRSについては、欧州委員会の要請を受けたEFRAGがドラフトを作成、速やかに、教育用の動画も公開しました。 この動画は、ショートバージョンとロングバージョンの2種類を用意するなど、EFRAGの並々ならぬ意欲を感じるものでした。 ところが、欧州委員会の審議の結果出てきた最終案は、ドラフトから大幅な修正を受けたものでした。修正点は、次

VC IG、MA IGの最終案公開

今年8月「Materiality Assessment Implementation Guidance:MA IG」と「Value Chain Implementation Guidance(VC IG)」のドラフトが、EFRAGからSustainability Reporting Technical Expert Group(SR TEG)とSustainability Reporting Board(EFRAG SRB)に提案されていました。 このときは、5回に亘ってn

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(4)

EFRAGが作成中の、ESRS導入ガイダンス。 8/23の会合でドラフトが公開されたのを受け、紹介しております。 「Value Chain Implementation Guidance(VC IG)」と「Materiality Assessment Implementation Guidance(MA IG)」の2種類があり、前回からMA IGの方をご案内しています。 3回目では、MAにおける重要な概念、「Impact materiality」と「Financial m

移行期間のCBAMルールを考える(1)

23年10月から、CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism)に基づいて、含有炭素量などの報告が義務づけられます。 これから、26年1月本格導入までの移行期間における報告内容について、ドラフトが公開されており、7月11日までパブコメ中です。 これからそのドラフトを見ていきますが、その前に、CBAMという法令の構成、変遷を確認しておきたいと思います。というのも、EUにおいて、どのような手順で規制が導入され、施行されるのか不明だと、具体的な対

EFRAG案からの修正点

欧州議会とEU理事会が、CSRD、昨年22年の11月、それぞれにおいて採択され、発効した旨はお伝え済み。 CSRDにおいて開示が要求される項目の詳細はESRSで定められ、欧州委員会から依頼を受けてEFRAGが草案を作成、2022年11月22日に欧州委員会へ提出され、審議がされていました。 ようやく委員会内での審議において、いくつかの修正が加えられて「委任法(DA)」がまとまり、パブコメにかけられていましたが、詳細は不明でした。 伝えられていたのは、修正のポイントで、以下

Fit for 55:2035年に新車とバンの排出量をゼロに

もう既に、国内の各紙でも報道されているところですが、欧州の「Fit for 55」施策の一環として、2035年に、新車の乗用車及び小型商用車については排出量ゼロとする法案が可決されました。 目的は、次の3点にまとめられると思います。 発表された内容は、このようなものです。 何度もお伝えしていますが、EUにおいては、法案を提出するのは専ら欧州委員会。その法案をEU理事会及び欧州議会において審議、可決することで法律となります。 なので、EU理事会の合意を欧州委員会が支持し

CBAM in motion(2)

2023年10月より導入が事実上確定したEUの炭素国境調整措置(CBAM)について、EY新日本有限責任監査法人が開催したウェビナーの資料を用いながら、内容について見ています。 1回目では概略の説明をしたところです。 2回目は、CBAMが及ぼす影響を、自分なりに考えたいと思います。 何と言っても「輸出業務が変わる」ことですね。 「当たり前だろ」と思われるでしょうが、当該業務に従事する方にとって「CO2排出量の算定」って未知の世界だと思います。 脱炭素に関する人材育成に

CBAM in motion(1)

EUの炭素国境調整措置(CBAM) が、13日、欧州議会とEU理事会がCBAMの導入について合意に達したことで、事実上導入が決定したことは、既にお伝えしておりました。 あとは、EU各国及び欧州議会において、セレモニー的な「採択(adoption)」が行われて最終決定となります。 詳細はどうなるのかなぁと思っていたところ、EY新日本有限責任監査法人がCBAMとCSRDについてのウェビナーを開催してくれたおかげで、かなり理解が進みました。 ということで、レジュメを使いながら

EUの法律ってどのようにして決まるの?

先日のnoteで、欧州議会とEU理事会がCBAM導入について暫定且つ条件付きながら、合意に至ったという話を致しました。 ここで、「法律って、立法府である国会で決まるのじゃないの?」と思いませんでした? 私は、前々から不思議に感じていました。「EUの国会である欧州議会が決めるものでしょ」と。 ということで調べてみると、駐日欧州連合代表部のサイト「EU MAG」に説明がありました。それによると、EUには以下の7つの機関があるそうです。 この中で、立法に関わるのは以下の3つの