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移行期間のCBAMルールを考える(1)
23年10月から、CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism)に基づいて、含有炭素量などの報告が義務づけられます。
これから、26年1月本格導入までの移行期間における報告内容について、ドラフトが公開されており、7月11日までパブコメ中です。
これからそのドラフトを見ていきますが、その前に、CBAMという法令の構成、変遷を確認しておきたいと思います。というのも、EUにおいて、どのような手順で規制が導入され、施行されるのか不明だと、具体的な対処が難しいと思うのです。
そもそも、CBAMは、European Green Dealの主要施策である、「Fit for 55」パッケージの一部として2021年7月14日に欧州委員会により提案されました。「Fit for 55」は、2030年までにEUの温室効果ガス排出を1990年比で少なくとも55%削減するという目標を達成するための一連の立法提案を含むパッケージです。
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その際に、欧州委員会から提出された法案がこちら。
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この提案に関する技術的な作業は、EU理事会がこの提案に関する交渉のために特別に設置したCBAMに関するアドホック作業部会で行われ、EU理事会では2022年3月15日合意に達し、欧州議会は2022年6月22日にその見解を採決しました。
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そして、立法機関であるEU理事会及び欧州議会と、法案を提出した欧州委員会の3者での交渉(トライローグと呼ばれます)が7月11日に開始され、2022年12月13日に暫定合意に至りました。つまり、事実上の決定です。
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この時は、noteでもご案内しましたね。
そして、「Official Journal of the European Union」、日本で言うところの「官報」に掲載されて、正式に「公布」されました。
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さて、日本の法律もそうですが、実施するために必要な具体的な内容は、法律には記載されません。EUでは「Commission Implementing Regulation」という実施規則(「施行令」あるいは「施行規則」という位置づけですね)を定め、詳細な規則を設定します。
なお、CBAMの「Regulation(規則)」35条7項により規定される実施規則は、2025年12月31日までの移行期間でのみ有効です。というのも、移行期間は事業者だけでなくCBAM当局にとっても「トライアル」であり、この結果を、正式の実施法にフィードバックする予定だからです。
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実施規則には、対象となる製品や算定方法などについて、詳細な説明があります。
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ということで、次回からは、こちらの実施規則を見ていきたいと思います。
お楽しみに。
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