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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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#クレジット

GX-ETS制度設計始動(1)

政府は、GXの実現に向け、成功志向型カーボンプライシング構想の具体化を進めていますが、2026年本格稼働を前に、GX-ETSの具体案に関して、有識者や産業界の意見を踏まえた検討を行うWGを設置。その第1回会合が、9月3日開催されました。 内閣官房は、金融庁のようにライブ配信のみで無くアーカイブを残してくれるし、環境省のように資料のアップロードが遅いということもないので、好感が持てます。経産省(エネ庁)も同じ感じですね。 個人的には、非常に期待しています。 というのも、委

各国CPにおけるクレジットの扱いについて(1)

先日、世界銀行がリリースした「State and Trends of Carbon Pricing 2024」によると、全世界において、75の炭素税及び排出権取引(ETS)が実運用されており、過去12ヶ月で2国・地域増加しているそうです。 日本では「地球温暖化対策税」が相当しますが、燃料の供給段階で課税されるため、直截的には燃料を供給する事業者が納税義務を負います。 最終的なエンドユーザーには、燃料価格に税が転嫁される形になるのですが、過程が不明瞭ですし、転嫁できていなか

SHK制度 「排出係数」にご用心

皆さん馴染み深い「排出係数」 GHG排出量算定において、スコープ3については、無償で利用できる環境省のDBか、IDEAのような有償のDBか、はたまた、自社あるいは業界団体で独自に算出した係数か、などなど悩みは尽きませんよね。 さらに、粒度を上げようと思うと、サプライヤーから一次データを取得したいところ、第三者検証を受審しようとすると、エビデンスの確からしさの確認の容易さから、敢えて、汎用DBを採用せざるを得なかったり。 検証の場面でも悩ましいところではあり、お互いの落と

台湾のクレジット事情 現状確認

AlliedOffsetsの隔週発行ニュースレター「Policy Carbon Currents」 気になっていたイシューをタイムリーにレポートしてくれるので、非常に助かります。 今回は、台湾のクレジット動向がテーマ。 法規制関係は中国語のみが多いので、とかく情報収集に苦慮するので、めちゃくちゃ参考になりました。 昨年23年8月、台湾証券取引所と台湾当局系ファンドの国家発展基金が共同で、台湾初のカーボン・クレジット市場「台湾炭権交易所」を設立、関連する法整備などを行った後

米国から目が離せない?!

4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。 実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。 もしご覧になっておられないようでしたら、是非。 これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Fore

証書・クレジットと省エネ法

証書とクレジットの違いと、それによる使い方の違いを、温対法の報告にフォーカスしてお伝えしましたが、「省エネ法だとどうなるの」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。 これについても、証書とクレジットの違い同様、温対法と省エネ法の違いを理解すると「なるほど」と合点がいくかと思います。簡単に説明しますね。 省エネ法は、日本の省エネ政策の根幹となるもので、石油危機を契機に1979年に制定されたもの。対象事業者には、エネルギーの使用状況等について定期的な報告が義務付けられており

クレジットと証書の違いを押さえておこう(2)

前回は、カーボン・クレジットと証書違いの、根本的なところをご案内しました。「まずは違うと言うことを知っておいて下さいね」と。 1回目はこちらです。 ただ、理屈ではそうだと思うのですが、個人的には、「高品質なクレジット」であれば、積極的に購入してほしいと思っています。 というのも、バリューチェーン内であれば、製品開発や購買行動、取引先へのエンゲージメント等を通じて、全体の排出削減を図ることができます。 しかしながら、バリューチェーン外では影響力を及ぼすことができないとこ

クレジットと証書の違いを押さえておこう(1)

現段階では、コンプライアンスであれ、ボランタリーであれ、カーボン・クレジットを購入して、組織の排出量を「オフセット」し、その「調整後」の排出量を報告することは、GHGプロトコルではNGです。 一応、サス担の方々におかれては、この認識はある程度浸透してきたのでは無いかと、希望的観測をしております。 が、次に出てくる疑問が「クレジットと証書の違い」ではないでしょうか? というのも、混同しているが故の質問をよくお受けするからです。 ──────────────────── (

ISO14068−1を深掘りしてみた(1)

ISO14068−1 Carbon neutralityがリリースされたことは、先日報告しました。 皆さん、待ちに待っていたことでしょう。 一番の注目は「Carbon neutrality」の定義だったのではないでしょうか。 ですので、一部を抜粋しながら説明したいと思います。 ちなみに、ISOは著作物ですので、詳細は購入の上、参照ください。 ISOのウェブサイトでは、一部は参照できるようになっています。 その中の、章立てをご紹介しましょう。 気になるのは、ずばり「3.1

ISO14068-1がリリースされましたね

開発が続けられていた、カーボンニュートラルのISOですが、COP28期間中の2023年11月30日にリリースされました。 この規格は、組織や製品(建築物やイベント等の商品やサービス)において、定量化、削減、オフセットを通じてカーボンニュートライティを達成・実証するための原則、要求事項、ガイダンスを提供した規格です。 詳細については、ISOのウェブサイトを参照ください。 規格のサンプルを読むこともできます。 購入に当たっては、日本規格協会の「Webdesk」がお手軽でよい

カーボンプライシングとGX戦略(2)

「カーボンプライシング」と「GX戦略」を「脱炭素」というキーワードを絡めて、どのように活かしていくかを探るシリーズ、2回目です。 1回目は、こちら。 まずは、耳にタコかもしれませんが、定義のお話を。 「Emission Allowance」という「権利」を「取引(Trading)」するものなので、個人的には「排出量取引」ではなく「排出権取引」であるべきというスタンスですが、政府がこのように表現するので合わせておきます。ちなみに、「排出枠取引」と言っているメディアもありま

クレジットの使い方の悩みどころ

2009年6月に初めてクレジットが発行された「国内クレジット」 2008年11月にローソンと東京大学が申請したものが、第1号として認証されたものですが、それから、もうすぐ14年。当時は全く無名、「クレジットってカードでしょ?」の時代。 そのような、創生期から携わってきた私にとって、今の状況は、遅すぎた春ではありますが、非常費喜ばしいと感じています。 ただ、普及するときに問題となるのが、初心者の急増。 パソコン然り、ネット然り、スマホ然り、SNS然り。 2009年に併せ

省エネ法改正での注意点

昨日、省エネ法が改正されるに当たってのポイントをお話ししました。 これについて、注意しておきたい点を補足しておこうと思います。 とにかく、データの整理方法は、変更しない方がよいです。 報告の方法が変われども、使用する活動量は変わりません。 料理の仕方、レシピが変わるだけです。 そもそも、収集の所から変えることはないでしょうから、報告担当部署における、データの持ち方、整理の仕方だけの話でしょう。 省エネ法の報告だけを行っているのであれば別ですが、CDP回答及びSBTiの