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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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#EFRAG

EFRAGのアウトリーチ半端ない

EFRAG(European Financial Reporting Advisory Group)ご存知ですか? 欧州委員会の支援を受けて設立された民間組織で、欧州連合における財務報告基準の策定と承認に重要な役割を担っています。 EFRAGは欧州委員会の依頼を受けて、専門的な知見に基づき様々な法令のドラフトを作成します。欧州委員会はこれらのドラフトを参考にしつつ、最終的な法令化を行います。 CSRDにおける開示ルールである「ESRS」も、依頼を受けて作成。 欧州委員会

ESRSとGRIとInteroperability

3月1日に、SBBJ主催で、EFRAGとの公開セミナーが行われました。 3月7日に開催された日本版S1・S2のセミナーの影にひっそりと隠れる形になってしまった感がありますが、こちらも劣らず内容盛り沢山でした。 特に、後半の対談では、川西委員長が企業の忌憚ない質問を投げかけ、EFRAGでESRSの開発を担当した主要メンバーが、バックグラウンドや自身の経験を踏まえて、具体的に回答していました。 また、前半の川西委員長のESRSの理解や、SRB議長のEFRAGの位置づけ、SR-

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(1)

7月末、欧州委員会がESRS(European Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)の最終版を公開したことは、ご承知でしょう。 これについては、それに先駆けて、欧州委員会からドラフトを作成したEFRAG(European Financial Reporting Advisory Group:欧州財務報告諮問グループ)に対し、EFRAG案からの修正内容を説明した際、ご案内済みです。 ESRSはCSRD(Corp

EFRAG SRB会合に興味津々

8/23のEFRAG SRB 会合には、興味深いアジェンダが並んでいました。 こちらは、Interoperability、つまり、CSRDとGRI及びS1・S2の間で、ほぼ同じ内容の報告をできるようにしようというもの。 ダブルスタンダード、ダブルディスクロージャーを回避し、報告者の負担を軽減することを目的としており、アルファベットスープ状態であったサステナビリティ情報開示ルール統合の動きの中で、中心のテーマとなっていたものです。 何度もご案内しているので、皆さんにとって

開示ルールの整理をしておきましょう

これまでnoteで何度となく紹介してきた、非財務情報の開示ルール。 ドラフトが公開され、パブコメが実施され、フィードバックを精査してファイナライズ、最終版のリリースという各ステージで取り扱ってきましたが、複数のルールが並行して走っているのに加え、クレジットやらSBTやら、GHGプロトコルやら、他のイニシアチブもあったりで、自分自身混乱していたりします。 ということで、ここで立ち止まって、整理しておこうと思います。 まずは、先月末、大々的にリリースし、エマニュエル・ファベ

EFRAG案からの修正点

欧州議会とEU理事会が、CSRD、昨年22年の11月、それぞれにおいて採択され、発効した旨はお伝え済み。 CSRDにおいて開示が要求される項目の詳細はESRSで定められ、欧州委員会から依頼を受けてEFRAGが草案を作成、2022年11月22日に欧州委員会へ提出され、審議がされていました。 ようやく委員会内での審議において、いくつかの修正が加えられて「委任法(DA)」がまとまり、パブコメにかけられていましたが、詳細は不明でした。 伝えられていたのは、修正のポイントで、以下

ESRSリリースへ向けて一歩前進(2)

欧州委員会が現在パブコメにかけている、EFRAGが作成し、委員会が修正を加えたESRSの委任法草案について、説明しています。 その修正のポイントは、下記の3点でした。 前回は、1.について説明しました。 今回は、2及び3について説明していきたいと思います。 「2.中小企業などの報告負担を軽減すること」は、至極当然。 前回もご案内したように、CSRDの前身のNFRDが定めた開示のガイドラインが法的拘束力を有しないものであったのに対し、ESRSは法的拘束力を持つ訳ですから

EUタクソノミーから目を離すな

欧州委員会が「Sustainable finance package」を発表しました。 具体的な内容は、こちらです。 主な内容は、以下の3点。 1が重要です。 タクソノミーとは「分類法」といった意味の言葉で、EUのタクソノミーという文脈では、企業などによる経済活動のうちどのようなものが環境配慮と呼べるかを「分類」したものとなっています。 タクソノミーでは、以下の6つの環境保護目標を掲げています。 ここで、以下の4つの条件を満たした場合、タクソノミーに適合したグリー

ESRSリリースへ向けて一歩前進(1)

以前のnoteで、欧州議会とEU理事会が、2022年6月にCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive :企業サステナビリティ報告指令)について暫定合意、同年11月10日に欧州議会、11月28日にEU理事会でそれぞれ採択され、発効した旨をお伝えしていました。 CSRDにおいて開示が要求される項目の詳細は、EFRAG(European Financial Reporting Advisory Group:欧州財務報告諮問グ

開示ルールの進む道〜interoperability

4月1日、GRIスタンダードを設定する独立機関であるGSSB(Global Sustainability Standard Board)の議長に就任した、キャロル・アダムス氏がコメントを発表しています。GSSBより就任を伝えるメールが届きましたので、その内容をお伝えします。 キャロル・アダムスは、オーストラリア公認会計士協会のサステナビリティ報告に関するアドバイザーや、同国会計基準審議会のサステナビリティ報告諮問委員会の委員を務めるなど、サステナビリティ報告に関して国際的

IFRS S1 S2 2023年Q2末にリリースへ

22年3月31日にドラフトが公開され、22年7月29日までパブコメ実施していた、ISSBの【IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(S1基準案)】及び【IFRS S2号「気候関連開示」(S2基準案)】 当初は、22年の年末までにファイナライズされ、23年早々に公開予定だったところ、多数のフィードバックが寄せられたことから、後ろ倒しされておりました。 6月頃かと言われていましたが、「第2四半期末」で決定となったようです。 ここにおける

NFRDからCSRDへ、自主的から義務へ

2022年は様々な変化があった年でした。 環境分野を専門にしている立場からすると、何と言っても、情報開示項目の多様化と統一化です。 一見矛盾しているような表現に感じられるかもしれませんが、このようにしか表現できません。というのも、「情報開示」といえば、以前であれば「財務情報」であったように思いますが、昨年からは「非財務情報」の開示ルールが一気に花開いた感じです。 ・気候変動 ・サスティナビリティ ・生物多様性 ・人的資本 ・ダイバーシティ ・労働安全衛生 などなど つ