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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま… もっと読む
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#CSRD

中国版S1・S2? ESRS? したたかな戦略

上海・深圳・北京という、中国の主要証券取引所が、サスティナビリティ情報開示ルールのドラフトを公表、コンサルテーションを実施しています。 noteでも繰り返しご案内しているように、昨年ISSBがIFRS S1・S2基準をリリースして以降、各国・地域の規制当局が、それぞれの事情を反映させたS1・S2基準を策定してきています。 日本版は、昨年度末日にSSBJが公開したことが、記憶に新しいところ。 上記に記載がありませんが、香港政府も2024年度から段階的に導入開始し、2026

CSRD 監査意見は誰が表明できる?

国内では、昨年度末にSSBJが公開草案を公表したことを受けて、サスティナビリティ情報開示界隈が盛り上がっていますが、欧州では、CSRDが今年の1月に発効し、EU域内の大企業など一部の企業は既に「法定開示」の義務が発生しています。 EU域外企業向けは2年間後ろ倒しされたとは言え、「確定された未来」。 駆け込み対応できる訳ではありませんので、後ろ倒しすることなく、前倒し手準備を進めたいところですよね。 何よりもまず情報収集、ということで、監査法人やシンクタンクのレポートが頼り

CSRD発効秒読み段階〜浸透図る準備着々

来年24年1月1日、CSRDが発効します。 これについては、昨年22年11月に決定しており、ご案内はしていたところ。 その開示ルールであるESRSについては、欧州委員会の要請を受けたEFRAGがドラフトを作成、速やかに、教育用の動画も公開しました。 この動画は、ショートバージョンとロングバージョンの2種類を用意するなど、EFRAGの並々ならぬ意欲を感じるものでした。 ところが、欧州委員会の審議の結果出てきた最終案は、ドラフトから大幅な修正を受けたものでした。修正点は、次

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(5)

EFRAGが作成中の、ESRS導入ガイダンス。 8/23の会合でドラフトが公開されたのを受け、紹介しております。 「Value Chain Implementation Guidance(VC IG)」と「Materiality Assessment Implementation Guidance(MA IG)」の2種類があり、前回からMA IGの方をご案内しています。 4回目では、MAステップの、A及びBまでご案内しました。 今回は、最後の「C.現在及び潜在的な影響の

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(4)

EFRAGが作成中の、ESRS導入ガイダンス。 8/23の会合でドラフトが公開されたのを受け、紹介しております。 「Value Chain Implementation Guidance(VC IG)」と「Materiality Assessment Implementation Guidance(MA IG)」の2種類があり、前回からMA IGの方をご案内しています。 3回目では、MAにおける重要な概念、「Impact materiality」と「Financial m

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(3)

EFRAGが作成中の、ESRS導入ガイダンス。 8/23の会合でドラフトが公開されたのを受け、紹介しております。 「Value Chain Implementation Guidance(VC IG)」と「Materiality Assessment Implementation Guidance(MA IG)」の2種類があり、2回目ではVC IGを紹介しましたので、今回はMA IGの方をご案内していきます。 個人的には、ISSBなど、他のサステナビリティ情報開示スキーム

「作る」から「使う」へ、フェーズチェンジ始まる

欧州委員会がESRS(European Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)の最終版を公開したことを受け、EFRAGが、報告の核となる2つの重要な概念についてのガイダンスを発表しました。 これにつていは、noteで順次ご案内していこうとしているところです。 (執筆段階で、1まで説明済み) 対象が大企業及び大手銀行に限られていたNFRDから、上場している中小企業まで含む50,000社へと拡大することから、欧州委

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(2)

7月末に公開された、ESRSの最終版。これから、EU理事会及び欧州議会での審議が始まりますが、現在のNFRDで既に対象となっている大企業は、2024年会計年度から適用が開始されますので、ルールを読み込んで、開示の準備を進めておかなければなりません。 また、2022年11月に公開されたEFRAGのドラフト版からは、重要な修正が入ったこともあり、欧州委員会も速やかな導入を図るべく、EFRAGがガイダンスの作成に入ったことを、前回ご案内しました。 今回は、「Value Chai

ESRS導入ガイダンスのドラフト公開(1)

7月末、欧州委員会がESRS(European Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)の最終版を公開したことは、ご承知でしょう。 これについては、それに先駆けて、欧州委員会からドラフトを作成したEFRAG(European Financial Reporting Advisory Group:欧州財務報告諮問グループ)に対し、EFRAG案からの修正内容を説明した際、ご案内済みです。 ESRSはCSRD(Corp

EFRAG SRB会合に興味津々

8/23のEFRAG SRB 会合には、興味深いアジェンダが並んでいました。 こちらは、Interoperability、つまり、CSRDとGRI及びS1・S2の間で、ほぼ同じ内容の報告をできるようにしようというもの。 ダブルスタンダード、ダブルディスクロージャーを回避し、報告者の負担を軽減することを目的としており、アルファベットスープ状態であったサステナビリティ情報開示ルール統合の動きの中で、中心のテーマとなっていたものです。 何度もご案内しているので、皆さんにとって

EFRAG案からの修正点

欧州議会とEU理事会が、CSRD、昨年22年の11月、それぞれにおいて採択され、発効した旨はお伝え済み。 CSRDにおいて開示が要求される項目の詳細はESRSで定められ、欧州委員会から依頼を受けてEFRAGが草案を作成、2022年11月22日に欧州委員会へ提出され、審議がされていました。 ようやく委員会内での審議において、いくつかの修正が加えられて「委任法(DA)」がまとまり、パブコメにかけられていましたが、詳細は不明でした。 伝えられていたのは、修正のポイントで、以下

ESRSリリースへ向けて一歩前進(2)

欧州委員会が現在パブコメにかけている、EFRAGが作成し、委員会が修正を加えたESRSの委任法草案について、説明しています。 その修正のポイントは、下記の3点でした。 前回は、1.について説明しました。 今回は、2及び3について説明していきたいと思います。 「2.中小企業などの報告負担を軽減すること」は、至極当然。 前回もご案内したように、CSRDの前身のNFRDが定めた開示のガイドラインが法的拘束力を有しないものであったのに対し、ESRSは法的拘束力を持つ訳ですから

EUタクソノミーから目を離すな

欧州委員会が「Sustainable finance package」を発表しました。 具体的な内容は、こちらです。 主な内容は、以下の3点。 1が重要です。 タクソノミーとは「分類法」といった意味の言葉で、EUのタクソノミーという文脈では、企業などによる経済活動のうちどのようなものが環境配慮と呼べるかを「分類」したものとなっています。 タクソノミーでは、以下の6つの環境保護目標を掲げています。 ここで、以下の4つの条件を満たした場合、タクソノミーに適合したグリー

ESRSリリースへ向けて一歩前進(1)

以前のnoteで、欧州議会とEU理事会が、2022年6月にCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive :企業サステナビリティ報告指令)について暫定合意、同年11月10日に欧州議会、11月28日にEU理事会でそれぞれ採択され、発効した旨をお伝えしていました。 CSRDにおいて開示が要求される項目の詳細は、EFRAG(European Financial Reporting Advisory Group:欧州財務報告諮問グ