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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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2023年7月の記事一覧

開示ルールの整理をしておきましょう

これまでnoteで何度となく紹介してきた、非財務情報の開示ルール。 ドラフトが公開され、パブコメが実施され、フィードバックを精査してファイナライズ、最終版のリリースという各ステージで取り扱ってきましたが、複数のルールが並行して走っているのに加え、クレジットやらSBTやら、GHGプロトコルやら、他のイニシアチブもあったりで、自分自身混乱していたりします。 ということで、ここで立ち止まって、整理しておこうと思います。 まずは、先月末、大々的にリリースし、エマニュエル・ファベ

移行期間のCBAMルールを考える(5)

今年23年10月から、CBAMの報告義務が始まり、報告期間限定の実施規則のドラフト及び附属書が公開されたことを受けて、4回に亘って読み込んできました。 4回目では、「個人も対象になるんだ」というお話をしました。 今回も、第5章 無視できる価値の貨物の続きをもう少しだけ。 同章には、このような項目もあります。 そう、案の定ですが、軍事関係は対象外となっています。 まぁ、現段階で、軍事関連の排出量については、開示の枠組みが無いので、当然と言えば当然。確かに、スコープ1・2

移行期間のCBAMルールを考える(4)

今年の10月から始まる、報告義務だけが課せられるCBAMの移行期間に適用されるルールについて、CBAM規則及び実施規則・附属書を参照しながら、主に算定周りを確認してきました。 3回目はこちらです。 具体的なルールが記載された附属書は一通り読んだので、最後に、CBAM規則と実施規則に目を通していきたいと思います。 まず、気づいたのが、第2条3項。 第2条は「Scope」つまり、適用範囲を定めている条項になります。 第1項が原則。まぁ、お決まりの記載内容。 第2項は「関

移行期間のCBAMルールを考える(3)

今年23年10月から、CBAMの報告義務が始まり、報告期間限定の実施規則のドラフト及び附属書が公開されたことを受けて、中身を読み込んでいます。 詳細を確認したい方は、こちらで原文に当たってください。 もちろん、英語ですが。 前回は、報告の項目と対象となる温室効果ガスを紹介しました。 今回は、「事業所レベルの排出量、生産プロセスの帰属排出量、商品の組込排出量、支払炭素価格」という章を読んでいきます。なお、対象セクター毎の測定方法は極めて技術的なので、一般的なものだけにした

移行期間のCBAMルールを考える(2)

今年23年10月から26年1月までの移行期間における報告内容を規定する実施規則のドラフト及び附属書が公開されましたので、その内容を見ていこうと思います。 なお、7月11日までパブコメを実施していましたので、10月からの移行期間前に発表される正式版では修正が入るかとは思いますが、その場合は、適宜キャッチアップしていこうと思っています。 CBAMについては繰り返しご案内しています。 詳細については、こちらを参照ください。 さて、1回目は、CBAMの変遷や位置づけをご紹介して

移行期間のCBAMルールを考える(1)

23年10月から、CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism)に基づいて、含有炭素量などの報告が義務づけられます。 これから、26年1月本格導入までの移行期間における報告内容について、ドラフトが公開されており、7月11日までパブコメ中です。 これからそのドラフトを見ていきますが、その前に、CBAMという法令の構成、変遷を確認しておきたいと思います。というのも、EUにおいて、どのような手順で規制が導入され、施行されるのか不明だと、具体的な対

EUのマイナアプリ?

日本では、マイナンバーカードが一連のトラブルにより、ガラガラポンの状況を呈しているのは、皆さんご案内のことと思います。 折しも、KDDIが2022年7月に起こした大規模通信障害から2023年7月で丸1年になりますが、ことほど左様に、日本はシステムの「運用」においては途上国レベルですね。 他方、欧州では、欧州デジタルIDの法的枠組みに関する提案の主要な要素について、欧州議会とEU理事会が暫定的な政治的合意に達したろ、欧州委員会が発表しました。 この枠組みの中心的な革新的要

気候関連情報開示ルールの策定状況

今年23年6月26日、IFRS財団のAnnual Conference において、ISSBが満を持してIFRS S1&S2をリリースしたのは、皆さんもよくご存知かと思います。 その後、一週間に亘って、フランクフルト、ヨハネスバーグ、ラゴス、ロンドン、ニューヨーク、サンチャゴの各証券取引所及びシンガポールのASEAN Capital Markets Forumでローンチイベントが開催されるなど、6月最終週は、まさにISSB一色でしたね。 各国の金融監督官庁を始め、パートナー

カーボンプライシングとGX戦略(7)

「カーボンプライシング」と「GX戦略」を「脱炭素」というキーワードを絡めて、どのように活かしていくかを探るシリーズ、7回目です。 6回目では、行動を起こす動機付けになるような、排出量削減がもたらすベネフィットについて、「ゼロ→プラス」側面。「やった方が得をしますよ」というお話のうち「見えにくい価値」についてご案内しました。 今回は、「見える価値」「見えにくい価値」両方の可能性のある取組についてご案内したいと思います。 それは、2回目にご案内したカーボンプライシングの一つ