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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま… もっと読む
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2023年2月の記事一覧

2つの省エネ法~縦割りの影響がここにも

改正省エネ法・温対法については、シリーズで内容をお伝えしてきました。 ここで、省エネ法には2種類あることをご存知の方はいらっしゃいますか? 正式な名称は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」です。 東日本大震災以降、国内エネルギー需給が逼迫する中、建築部門のエネルギー消費量は著しく増加しており、省エネルギー対策の抜本的な強化が必要であるとの考えから、平成27年7月に新たな法律として公布されたものです。 この法律では、建築物のエネルギー消費性能

IFRS S1 S2 2023年Q2末にリリースへ

22年3月31日にドラフトが公開され、22年7月29日までパブコメ実施していた、ISSBの【IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(S1基準案)】及び【IFRS S2号「気候関連開示」(S2基準案)】 当初は、22年の年末までにファイナライズされ、23年早々に公開予定だったところ、多数のフィードバックが寄せられたことから、後ろ倒しされておりました。 6月頃かと言われていましたが、「第2四半期末」で決定となったようです。 ここにおける

ISSBとCSRDはやっぱり表裏一体?

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、2022年3月31日、「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的な要求事項(IFRS S1)」と「気候関連開示(IFRS S2)」からなる、新フレームワークの草案を公表しました。 7月29日にはパブリックコメントの募集を締め切り、今年の23年6月の最終決定に向けて、昨年より精力的に議論が進められています。 2022年10月及び12月の会合の内容については、先にご案内しました。 サステナビリティ基準委員会(SSBJ)も

Fit for 55:2035年に新車とバンの排出量をゼロに

もう既に、国内の各紙でも報道されているところですが、欧州の「Fit for 55」施策の一環として、2035年に、新車の乗用車及び小型商用車については排出量ゼロとする法案が可決されました。 目的は、次の3点にまとめられると思います。 発表された内容は、このようなものです。 何度もお伝えしていますが、EUにおいては、法案を提出するのは専ら欧州委員会。その法案をEU理事会及び欧州議会において審議、可決することで法律となります。 なので、EU理事会の合意を欧州委員会が支持し

改正省エネ法・温対法の小径(3)

23年4月、改正省エネ法及び温対法が施行となります。 そこで、改正に至るまでのバックグラウンド及び概要をシリーズでお届けしています。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」について説明しました。 2回目からは「エネルギー使用量の報告」についてご案内しています。 2回目では省エネ法のみの説明でしたので、3回目は温対法からみです。 「非化石エネルギー」も「エネルギー」となったことによる余波の一つは、「非化石燃料」も報告対象となったことでした。これは、省エネ法だけでなく温対法にも

改正省エネ法・温対法の小径(2)

22年5月、改正省エネ法及び改正温対法が改正されました。 施行日は23年の4月1日です。 そこで、改正にいたるバックグラウンドや、検討の変遷、内容について、WGや小委での検討資料を参照しながら、個人的な感想も含めて、複数回に分けてお届けするシリーズを展開しています。 1回目はこちら 担当者の方は大変でしょうが、コーヒーブレイク感覚でお読み下さい。 1回目は「エネルギーの定義の見直し」についてお届けしました。 2回目は「エネルギー使用量の報告」についてご案内したいと思い

改正省エネ法・温対法の小径(1)

22年5月、改正省エネ法及び改正温対法が改正されました。 これについては、 noteでも何度かご案内してきました。 施行日は23年の4月1日です。 担当部署の皆さん、準備の方はいかがでしょうか。 施行日が今年ですので、原油換算のエネルギー使用量及びCO2換算温室効果ガス排出量の報告は、令和5年度報告となる24年7月報告分から対象ですが、中長期計画書などは今年23年7月提出分から対応する必要があります。 また、報告は来年度でも、今年度から対象となるデータは収集しておく必要

CBAM in motion(5)

2023年10月より導入が事実上確定したEUの炭素国境調整措置(CBAM)について、EY新日本有限責任監査法人が開催したウェビナーの資料を用いながら、内容について見ています。 1回目では概略の説明をしまました。 2回目は、「輸出業務が変わる」ことをお伝えしました。 3回目は、「検証業務が変わる」ことについて考察しました。 4回目は、どのようなビジネスチャンスがあるか、考えて見ました。 5回目は、自分なら…というものを紹介したいと思います。 それはズバリ「CBAM対

CBAM in motion(4)

2023年10月より導入が事実上確定したEUの炭素国境調整措置(CBAM)について、EY新日本有限責任監査法人が開催したウェビナーの資料を用いながら、内容について見ています。 1回目では概略の説明をしまました。 2回目は、「輸出業務が変わる」ことをお伝えしました。 3回目は、「検証業務が変わる」ことについて考察しました。 4回目は、どのようなビジネスチャンスがあるか、考えて見たいと思います。 CBAM関連業務は、大きく分けて5つあると考えます。 1.CBAM対象品の特定

CBAM in motion(3)

2023年10月より導入が事実上確定したEUの炭素国境調整措置(CBAM)について、EY新日本有限責任監査法人が開催したウェビナーの資料を用いながら、内容について見ています。 1回目では概略の説明をしまました。 2回目は、「輸出業務が変わる」ことをお伝えしました。 3回目は、「検証業務が変わる」です。 理由は明らかですね。 CBAMには「法的拘束力」があるからです。 2022年からGXリーグ賛同企業によって検討が進められ、23年4月より試行開始されるGX-ETS。これ

CBAM in motion(2)

2023年10月より導入が事実上確定したEUの炭素国境調整措置(CBAM)について、EY新日本有限責任監査法人が開催したウェビナーの資料を用いながら、内容について見ています。 1回目では概略の説明をしたところです。 2回目は、CBAMが及ぼす影響を、自分なりに考えたいと思います。 何と言っても「輸出業務が変わる」ことですね。 「当たり前だろ」と思われるでしょうが、当該業務に従事する方にとって「CO2排出量の算定」って未知の世界だと思います。 脱炭素に関する人材育成に

CBAM in motion(1)

EUの炭素国境調整措置(CBAM) が、13日、欧州議会とEU理事会がCBAMの導入について合意に達したことで、事実上導入が決定したことは、既にお伝えしておりました。 あとは、EU各国及び欧州議会において、セレモニー的な「採択(adoption)」が行われて最終決定となります。 詳細はどうなるのかなぁと思っていたところ、EY新日本有限責任監査法人がCBAMとCSRDについてのウェビナーを開催してくれたおかげで、かなり理解が進みました。 ということで、レジュメを使いながら

EUの法律ってどのようにして決まるの?

先日のnoteで、欧州議会とEU理事会がCBAM導入について暫定且つ条件付きながら、合意に至ったという話を致しました。 ここで、「法律って、立法府である国会で決まるのじゃないの?」と思いませんでした? 私は、前々から不思議に感じていました。「EUの国会である欧州議会が決めるものでしょ」と。 ということで調べてみると、駐日欧州連合代表部のサイト「EU MAG」に説明がありました。それによると、EUには以下の7つの機関があるそうです。 この中で、立法に関わるのは以下の3つの