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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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#VCM

台湾のクレジット事情 現状確認

AlliedOffsetsの隔週発行ニュースレター「Policy Carbon Currents」 気になっていたイシューをタイムリーにレポートしてくれるので、非常に助かります。 今回は、台湾のクレジット動向がテーマ。 法規制関係は中国語のみが多いので、とかく情報収集に苦慮するので、めちゃくちゃ参考になりました。 昨年23年8月、台湾証券取引所と台湾当局系ファンドの国家発展基金が共同で、台湾初のカーボン・クレジット市場「台湾炭権交易所」を設立、関連する法整備などを行った後

インドネシアのカーボン・クレジット市場(2)

隔月で、国・地域のクレジット市場を深掘りしたレポートをリリースしているACX。今回は注目していた「インドネシア」をフィーチャーしていましたので、その内容についてご案内しております。 前回は、セクター別まで説明しておりました。 このように、Waste DisposalとRenewable Energyで、CDMレジストリに登録された全クレジットの70%以上を占めていることが分かりました。 ですが、グラフから内訳は分かりませんので、UNFCCC CDMプロジェクト検索ツール

ブラジルのVCMが熱い?!

昨年、「アジアのカーボン・マーケットが熱い」というお話をしました。 既に稼働している中国や韓国はもとより、台湾やインドネシア、ベトナムで取引市場設立が予定され、インドでも模索しているというものでした。 また、気候変動だけでなく、サスティナビリティ情報開示のインフラを共通化し、統一したESG指標を導入するといった動きも出ていました。 個人的にも、台湾でブルーを創生しようと青図を描いていたところなのですが、地球の反対側、ブラジルでも「カーボン・マーケットが熱い」というお話をお

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(4)

BeZero Carbonのレポートを、簡単な説明と、個人的見解を交えてご案内しているシリーズ、最終回。 前回までで1〜6まで紹介しましたので、今回は、残りの7〜10です。 よろしければ、こちらもご参照下さい。 10のイノベーションはこちらでした。 7. Insurance - giving the risk to people who want it クレジットを買う側からすると、これまでは、プロジェクトが実現するか、イニシャルのリスクが大きかったように思います。つ

クレジットと証書の違いを押さえておこう(2)

前回は、カーボン・クレジットと証書違いの、根本的なところをご案内しました。「まずは違うと言うことを知っておいて下さいね」と。 1回目はこちらです。 ただ、理屈ではそうだと思うのですが、個人的には、「高品質なクレジット」であれば、積極的に購入してほしいと思っています。 というのも、バリューチェーン内であれば、製品開発や購買行動、取引先へのエンゲージメント等を通じて、全体の排出削減を図ることができます。 しかしながら、バリューチェーン外では影響力を及ぼすことができないとこ

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(2)

格付機関のBeZero Carbonが、VCMの現状を打破してくれる10のイノベーションについてレポートをリリースしています。ただ、クレジットに馴染みのない方にとっては「?」となるところもありますので、分かりやすく説明しながら、内容をお伝えしていきたいと思います。 前回は、前置きで終わってしまい、申し訳ありません。 ですが、背景についてご案内していますので、よろしければ参照ください。 10のイノベーションを、再掲しておきますね。 今回は、1〜3についてご案内していきます。

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(1)

クレジットの創生に東奔西走する私としては、捨て置くわけにはいかないタイトルのレポートを、BeZero Carbonが出していました。 BeZero Carbonは、独立したリスクベースでプロジェクトの品質を評価するカーボン・クレジット格付企業です。 専門のアナリストと独自のモデルにより、ライフサイクルのあらゆる段階に対するレーティングとリスク分析を行っており、その方法論や評価フレームワークが常に公開されていることから、個人的に期待しています。継続的に監視され更新されるのも

VCMのプラットフォーム〜ACX

VCMの動向をチェックするのにお世話になっているのが「ACX」 カーボン・クレジットの取引が全てウェブ上で完結するマーケットを提供する企業です。安全で信頼性が高く、堅牢なプラットフォームを提供、透明な価格設定、効率的な取引、決済リスクの軽減、低い手数料を謳っています。 皆さんご存じのように、ボランタリークレジットは、まだまだ相対取引がほとんどを占めているため、いくらで取引されたのかは分かりません。そこに、ACXのような、クレジット価格がウェブ上で確認できる市場の存在価値は

中国のETSとVCMの現在(2)

みずほ銀行のレポートを情報源に、中国のETSとVCMの現状をキャッチアップしております。前回は、イントロだけで終わってしまいましたので、今回は、中身に入っていきたいと思います。 ETSとVCMとは何ぞや、について簡単に説明していますので、ご関心のある方は、参考になさって下さい。 さて、前回説明したCCER(China Certified Emission Reduction)から話を始めましょう。中国が温室効果ガスの排出量を削減し、環境保護目標を達成するために設計されたも

2023年のVCMを振り返ってみよう(3)

cCarbonのレビューを拝借して、2023年のVCMについて振り返って見るシリーズも3回目。2回目はクレジットの多様性について説明しました。 この4年を見るだけでも、方法論やプレーヤー、使用しているクレジットスキームなど、多様になっていることが、分かってきました。 今回は、発行量の時期的な移り変わりを、一緒に見ていきましょう。 1回目に、償却量(retirement)について見たときに、季節性を考慮しても、12月が突出して多かったことをお伝えしました。他方、発行量(is

2023年のVCMを振り返ってみよう(2)

cCarbonが、2023年のVCMについて分かりやすくレビューをしてくれていました。ですので、それを参照しつつ、個人的なコメントも織り交ぜて、お届けしております。 前回は、カーボン・クレジットの償却量(二度と使えなくする処理で、利用量と考えてもらってよいです)について説明しました。今回は、その種類と発行量について見ていきたいと思います。 方法論毎の発行量がこちら。 2020年から2023年までの4年間という短い期間ですが、再エネ導入からREDD+、そして高効率機器への

2023年のVCMを振り返ってみよう(1)

VCMの動向をチェックするのにお世話になっている「cCarbon」 新年を迎え、2023年をレビューする記事を公開してくれていました。 日本でもGX-ETSが始動するなど、カーボン・クレジット界隈が賑やかになり始めた年でもありましたよね。このレビューでは、Verra(VCS), Gold Standard(GS), American Carbon Registry(ACR), Climate Action Reserve(CAR)の4大メジャーのVCMのデータを集計していま