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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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#カーボンクレジット

2023年のVCMを振り返ってみよう(1)

VCMの動向をチェックするのにお世話になっている「cCarbon」 新年を迎え、2023年をレビューする記事を公開してくれていました。 日本でもGX-ETSが始動するなど、カーボン・クレジット界隈が賑やかになり始めた年でもありましたよね。このレビューでは、Verra(VCS), Gold Standard(GS), American Carbon Registry(ACR), Climate Action Reserve(CAR)の4大メジャーのVCMのデータを集計していま

Verraのクレジットが使いやすくなりそう

カーボン・クレジットの使い方については、繰り返し説明してきました。 目的によって、「使える」「使えない」が変わってくるんですよね。 これまでは、作る方もボランタリーであれば、使う方もボランタリー。 互いが互いを信用していれば「契約成立」でOKでした。 ところが、2050年ネットゼロという目標が世界的に認識される中、それを達成しようとするイニシアチブが複数立ち上がり、それを求める機関投資家が現れ、それに応えようとする企業が現れてきました。 それに応えようとする企業を応援

削減クレジットと再エネ証書の違い

J-クレジットの省エネ由来のクレジットのような削減系のクレジットとグリーン電力証書や非化石証書のような再エネ証書(属性照明) いずれも、排出量削減に寄与するものと考えられがちですが、全く異なります。まず、覚えていて頂きたいのが、 削減クレジット→SBT・RE100に使えない 再エネ証書→SBT・RE100に使える ということです。 削減クレジットは、従来と比較して排出量が減っているというだけで、実際にはCO2を排出しているわけです。他方、証書は間接的に再エネで発電した電

登米市の森づくりを応援します

私のnoteを見て「カーボンオフセット商品」に興味を持って連絡頂いた佐賀県の熊本電気工業様から、早速のご依頼を受けました。 熊本様は電気工事会社として創業されましたが、業務を通じてお客様の省エネ意識の高まりを実感し、次々と環境保全、排出量削減に寄与する製品を開発、販売するにいたっているとのこと。 今般、環境に排出されると多大な被害をもたらす油分を完全に無害化する製品「ミセルクリーン」を開発されました。 この販売に当たって、単純に環境を破壊しないという効果に加え、さらなる

J-クレジットの使い道

J-クレジットの使途として一番多いのは、温対法の報告です。(SHK制度) 特に、電気事業者によるものが過半数を占めます。 以前のnoteでも紹介したように、再エネ由来のクレジットは温対法に加え、RE100でも利用可能であることから、削減系よりも遥かに多くの需要があります。 なお、使用できるクレジットはこちらになります。 具体的には、報告書の「第5表の1」にこのように記載します。 では、使用できないクレジットを購入する意義がないのかというと、そうでも無く、任意報告におけ

カーボン・クレジットって難しいですねぇ

国内において温室効果ガス排出削減・吸収量をオフセット・クレジットとして認証する制度は、2008年の国内クレジット制度とJ-VER制度が最初です。 ただ、この2つは京都議定書に基づくスキームであったため、第2約束期間に日本が参加しなかったことから制度の見直しが行われ、2013年から両者が統合された「J-クレジット制度」となりました。 他方、海外では複数存在し、以下のようなものがあります。 「プロジェクトが存在しなかった場合の排出量(ベースライン排出量)」から「実際の排出量