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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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2023年10月の記事一覧

カーボン・クレジットの業界地図

先日、海外のプロバイダーから「このところVerraの動きが遅い」という話を聞きました。自身は国内のクレジットしか扱っていないので感覚は無かったのですが、改めて考えると宜なるかなと思いました。 以降は、完全に個人的な見解、というか、妄想かもしれませんが、お付き合い頂ければと思います。 JPXがカーボン・クレジット市場を開設し取引が開始されたことで、これまでは「知る人ぞ知る」状態だったクレジットも、市井の方々にも知られるところとなったかとは思います。 世界的には日本とは比較

GSがCCP(プログラムレベル)評価を申請

こちらのnoteで、しつこいくらいにお届けしている「高品質なクレジット」 その共通ルールとなるべく、ICVCMが「Core Carbon Principles:CCPs」の第一弾を3月に公開、第二弾を7月に公開して「完全体」になった旨も、いち早くお届けしました。 CCP認証は次の2種類の認証がありますが、ICVCMが行う認証は「1.プログラムレベル」のみです。 「プログラム」とは、例えば、Verraの「VCS」やゴールドスタンダードの「GS」などの「カーボン・クレジット

価値基準は、金銭価値から環境価値へ

クレジットが創成されるためには、計画書(PDD:Project Design Document)を作成して実施するだけではダメで、実施した後に検証を受けなければなりません。計画書が登録される際には第三者検証機関による「有効化審査」を受けますが、必ずしも、実施後にクレジットが発行されるとは限りません。 ただ、これでは、実施した後、実績確認を行って検証を受け、めでたくクレジットが発行されてからしか販売できません。プロジェクト実施中は収入が見込めないため、特に初回の場合はこの期間

クレジットで地球をもっと元気にしよう

「クレジットを創りたいんですけど」 この1年、何度このセリフを聞いたか分かりません。 2009年に、国内クレジット及びJ-VER(現在のJ-クレジット)が立ち上がった当初から関与してきた自分からすると「感慨もひとしお」なのですが、必ずしも喜ばしい状況とは言えません。 京都議定書において、削減目標を達成するための手段として、排出権取引が導入された頃、金融商品の位置づけとして、つまりマネーゲームの一形態として注目を浴びたこともありましたが、現在は、加えて、「ブロックチェーン」

カーボン・クレジットマーケット元年

先月末、JPXが「カーボン・クレジット市場」の開設日を発表しました。 メディアが一斉に伝えましたので、皆さんもよくご案内のことでしょう。 2022年9月から2023年4月まで実施した試行事業では、実証参加者は183者、実際に注文したのは60者、売買が成立したのは55者だったとのこと。活況とは言えない状況ではありましたが、本稼働ではどうでしょうか。 取引対象は、当面はJ-クレジットのみですが、JCMやGXリーグの超過排出枠にも対象を拡げたいとしています。また、立会外取引も想

カーボン・クレジットの将来は明るい?

Environmental Financeが毎年実施している「Environmental Carbon Market Ranking Award」が今年も発表されました。 この賞は、環境市場における持続可能性や環境保護への取り組みを促進し、その業績を広く知らせるためのものとなっています。 馴染みがないかと思いますので、簡単に説明しておきますね。 今年のランキングは、エントリー数、投票数ともにこれまでで最多。22のカテゴリーで合計4,300票の投票があり、今年は新たに「ベ