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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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2023年4月の記事一覧

ウォッシュを許さない文化を創ろう

今年2月6日、VerraがCDMの方法論「AMS-III.AU(稲作における水管理方法の調整によるメタンガス排出量の削減)」に基づくVCSを停止していると、CARBONCREDIT.COMが報道しており、どうなるだろうと思っていました。 この方法論は、稲作における有機物の嫌気性分解を低減することによる、GHG排出回避です。 これには、以下のようなプロジェクトや活動が含まれます。 ・中干しの実施もしくは中干し期間の延長 ・間断灌水もしくは好気性稲作 ・移植栽培から直播栽培

削減貢献量について考えて見る(1)

WBCSDが2023年3月22日、削減貢献量(Avoided Emissions) の算定・報告に関するガイダンスを発行したことを受けて、一斉に報道がなされていることは、皆さんもご案内の通りかと思います。 削減貢献量という概念は、LCA学会や経産省、産業界の産学官が連携して、普及に務めてきたという経緯があります。 検討の中心であるLCA学会の環境負荷削減貢献量評価手法研究会からは、2015年3月に初版、2022年3月に第2版の「温室効果ガス排出削減貢献量算定ガイドライン」

CCPがリリースされました(3)

「高品質なクレジット」の要件を定めたCCP(Core Carbon Principles)を2回にわたってご案内してきました。 3回目は、フレームワークについて考えます。 ICVCMは下記2種類のレベルを設定していることをご案内しました。 筆者なりに、章立てを下記のように整理してみました。 「Program-level」は、プログラムオーナー、運営主体が受ける認証であるところ、「Category-level」は方法論(およびその方法論において認証されたクレジット)につい

CCPがリリースされました(2)

待ちに待っていた、「高品質なクレジット」の統一ルール。 前回は、ドラフトとの相違などについてご案内しました。 今回は、政策決定者向けの内容について。 踏み込んでの説明はとてもできませんので、章立てを著者なりに整理して、概略をご案内していこうと思います。 CCPは、1回目でもご案内したように、10の原理からなります。 政策決定者向けの章では、もちろん、それぞれについて簡単に説明されていますが、「CCP Attributes」とCCPs及びフレームワークの継続的な改訂につ

CCPがリリースされました(1)

どのような要件を備えていれば「高品質なクレジット」なのか。 グリーンウォッシュが問題となる中、昨年、ICVCMが統一ルールである「Core Carbon Principles:CCP」を策定、パブコメを実施していました。 高品質なクレジットを適切に活用することにより、地球全体の温暖化対策につながると言う立場で応援しており、こちらのnoteでも繰り返し、ご案内してきました。 また、国連が旗振り役となっている、「Race to Zero Campaign」でも、クレジットの