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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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2022年6月の記事一覧

JクレとJCMがCORSIA申請(4)

国際線を有するエアラインの参加が義務づけられる排出量取引制度、「CORSIA」で使用することができるクレジットとして、J-クレジットが承認されたら、どのようなことができるのでしょうか。 ここまで、3回にわたってご案内してきましたが、一番書きたかったこと。 それは、その活用方法です。 そもそも、カーボン・クレジットとは、目に見えない環境価値を証書化し、流通できるような形態にしたものです。売りたい人と買いたい人が存在することにより「金銭的価値」が発生し、取引が成立します。

JクレとJCMがCORSIA申請(3)

前回は、「太陽光発電設備の導入」方法論によるクレジットを、先行的に申請しようとしている旨お伝えしましたが、実際既に申請済みです。 受理後、3月25日から4月24日までパブコメを受け付けていました。 既に締め切られており、TAB(Technical Advisory Body 技術諮問組織)にて、EUC(Eligible Unit Eligibility Criteria)を踏まえた審査がなされている段階と思われます。 この後、各申請主体へ③勧告がなされ、それに対する修正・

JクレとJCMがCORSIA申請(2)

J-クレジットがCORSIAという、国際民間航空機関(ICAO) が主管する排出量取引制度で使用できるクレジットに申請した、という話をしています。 J-クレジットが申請した理由は明快。J-クレジットの活性化です。 運営委員会でも「2050年カーボンニュートラル実現に資する」として、 活性化策について、検討が続けられています。 2009年の発足当時を知る人間として、このようなPR資料を委員会が作るというのは、つくづく、時代が変わったなぁと思わざるをえません。 確かに、ぎ

カーボン・クレジット・レポート

「カーボンニュートラルの実現に向けたカーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会」という経産省の審議会で、「カーボン・クレジットとはどうあるべきか」という議論がなされていました。 これは、2020年10月に菅義偉首相(当時)が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、2021年4月には2030年の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標を表明したことに、端を発します。 皆さん、覚えていらっしゃいますか? 目

JクレとJCMがCORSIA申請(1)

皆さん「CORSIA」ってご存知ですか? 1000人に聞いて、1人もいないと思います。 1 ‰以下。(パーミル:千分率、パーセントより一桁下ですね) それくらいマイナーな仕組みですが、私は非常に関心を持っています。 Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation ICAO(国際民間航空機関)が創設した国際航空における排出量取引制度です。 国際航空と国際海運は、いずれも世界の排出量の約2%

正確な記事、適切な紹介を望みたい

2009年、日本国内で初めて「カーボン・クレジット」と言う「環境価値」を取引できるスキームが生まれてからこの方、クレジットの創生やその利活用、特に地域活性化に携わってきた人間からすると、このような記事には残念でなりません。 内容は、Noriというスタートアップが、CO2の除去・吸収量をクレジット化するとともに、それを流通させる市場を設立、運営しているという話です。 吸収系だけでなく削減系のクレジットでも、現在は基本相対取引です。WEB上で検索し、売買もWEB上で完結させる

カーボンニュートラル○○にはご注意を

問合せを受ける中で、お伝えしておいた方がよいと思ったので、取り急ぎ。 このところ「カーボンニュートラル○○」という製品が上市されていることは、皆さんもご承知でしょう。 特に、エネルギー、とりわけガス。 ・カーボンニュートラルLNG ・カーボンニュートラルLPG 以前、ご紹介したこともありました。 ただ、CDPの回答に当たっては「ゼロ」カウントとすることはできません。 確かに、削減系ではなく吸収系のクレジットでオフセットしているようですが、今のところ「使えない」というス

クレジット予見可能性 使える?使えない?

前回、吸収系のクレジットの需要が増えるのでは?という話をしました。 これは主に、生み出す側にたった話です。 削減系と比較すると、環境や地域経済への貢献度合いが高く、創出されるクレジット量も多いものの、吸収系は費用的にも技術的にも難しいことから、中々実施しようとする自治体、事業者が増えない現状に対するソリューションを、国が本気に考えています、ということを伝えています。 今回は、利用側視点で考えて見ます。 これまで私は、以下の3点を指摘してきました。 1.どんな商品がある