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JクレとJCMがCORSIA申請(4)

国際線を有するエアラインの参加が義務づけられる排出量取引制度、「CORSIA」で使用することができるクレジットとして、J-クレジットが承認されたら、どのようなことができるのでしょうか。

ここまで、3回にわたってご案内してきましたが、一番書きたかったこと。
それは、その活用方法です。

そもそも、カーボン・クレジットとは、目に見えない環境価値を証書化し、流通できるような形態にしたものです。売りたい人と買いたい人が存在することにより「金銭的価値」が発生し、取引が成立します。

これまで、売りたい人が多い一方、買いたい人が少なかったために、価格は低空飛行をしておりました。

近年では、RE100という環境イニシアチブの存在や、EU-ETSなどのような法的拘束力を有する取引市場、温対法の報告のような優遇措置をとる法規制などによって、高騰するクレジットもありましたが、「活況を呈する」という状態ではありませんでした。

もちろん、CORSIA適格ユニットとなったからといって、人気銘柄になることは無いでしょうが、引き合いは多くなると思っています。

まず、対象がJAL・ANAだけではありません。
日本発着便を有するエアラインで一定の条件を満たす場合、当該ルートにおいて排出する排出量のうち一定量をオフセットしなければなりません。

このとき、海外のエアラインは、CORSIA適格排出ユニットであれば、何を使っても構いません。まぁ、でも、自国のクレジットがあれば優先的に使用するでしょうね。

ですが、就航地のクレジットでもよいわけです。
むしろ、その方がプラスであると考えます。

クレジットを購入することは、クレジットを創出した地域や自治体、事業者に資金が還元するということです。資金が入るということは、事業を続ける、あるいは拡大できることにつながります。応援することになるんです。

これは、私が今まで、森林吸収系のクレジットを販売するときに使っていたセオリー、営業トークです。事業が継続できれば、森が元気になりますし、地域が活性化します。

例えば、東京に本社を持つ企業が、新規に九州へ進出するとしましょう。
その際に、九州のクレジットを購入して、「皆さんの地元の森を守る取り組みを応援しています」とPRに使ってもいいわけです。知名度向上にも寄与してくれるでしょう。(クレジット創出者は自治体の場合が多いので、役場へ行きやすくなるメリットもあったりします)

これと同じことが、海外のエアラインにも当てはまると思うのです。

自国では、十分に名の通った存在でしょう。
でも、就航地、特に初めて発着枠を得たような場合、無名かもしれません。
クレジットを購入することで、日本での浸透が図られることに加え、自治体受けをするかもです。

ただ、繰り返しになりますが、日本には、使い勝手のよいクレジットのマーケットがありません。欧米のフラッグキャリアならまだしも、そうでない場合は、ハードルが高い。でも、逃すには惜しい。是非、使って欲しい。

私なら、空港会社にアプローチします

今、国内の空港は続々と民営化しています。
成田、関西、福岡、新千歳、熊本、仙台、静岡….
売上増を狙い、空港ビルの活用に加え、着陸料などの空港使用料を減免したりして、海外のエアラインに対し新規就航の営業攻勢をかけていました。

コロナの勢いも落ち着きを見せる中、観光ビザも発給再開されましたし、1日当たりの入国者数上限も引き上げられました。以前とは同じとは言えないまでも、訪日外国人旅行者数も戻ってくるでしょう。

地方空港は、羽田便の有無で収益が大幅に変動する。さらに、売上を伸ばそうとすると国際線しかない。ということで、地方空港間の競争は激しい。

空港使用料値下げ競争は、単なる消耗戦。そこに、要望に添ったクレジットの手配を行うサービスを無料で提供できるとなれば、差別化できるんです。

空港会社としても地元に貢献できるし、自治体は、鳴かず飛ばずだったクレジットを売ってもらえる。エアラインにして見れば、手間なしでお膳立てしてくれる。地方空港では民営化されていない場合も多いので、さらにマル。

つまり、J-クレジットがCORSIAで使えるようになるということは、このような、クレジットを活用した地域活性化モデルが、さらに拡がりをみせるこことだと考えます。

私としては、このビジネススキームを、海外へも展開したい。

JALやANAなど、日本のエアラインが就航する相手国において、現地のクレジットを斡旋するのです。海外のエアラインが日本のクレジットを使うのと同じ論理で、需要は見込めるのではないでしょうか。できれば、JCMも使いたいですね。(承認されればですが)

決まってもいない段階で….とツッコミが入るのは承知の上で、想像たくましくしてみました。

航空会社、空港運営会社、旅行会社、自治体の皆様。
飛行機が運ぶのは、ヒト・モノだけではありません。
これからは、マルチトラックで動き出すでしょう。

種を蒔いておかないと、花は開きません。収穫も無しです。
一緒に耕していきましょう。


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