空耳図書館のおんがくしつ①音のない音楽
引き出しの奥にあった
蜜蝋キャンドルを思い出して
火を灯してみる。
思えば、2011年の冬に作った。
ちいさな炎が現れた瞬間、
ああ、これは音楽だと思った。
ゆらゆらとゆれる
静寂のムジカ・ムンダーナ。
うっすらと蜂蜜の香りがする。
近づかないことが信頼。
会わないことが愛。
手を伸ばしても届かない関係性。
世界中のウチとソトが、
どんどん切り離されていく。
ココロとカラダが、大切な人たちが引き裂かれていく。
私とあなたの「間」に生まれたココロの軋み。
悲しみや苦しみや怒りに、
耳をすます│耳をひらく。
その音風景を絶対に忘れないでおこうと思う。
慣れてしまってはいけないのだから。