見出し画像

コラム|ビャルケ・インゲルスの欺瞞| 4/5~4/11のメニカンjournalまとめ

今週のメニカンjournalまとめ

メニカンjournalは、デザイン・建築・都市に関連する最新情報を紹介する企画です。メニカンのtwitterアカウント(@ConfMany)にて毎日更新、現在テスト運用中。ご意見・ご要望・リクエスト等あれば、こちらのフォームからどうぞ!

それでは今週のまとめとコラムをどうぞ。

4/5|“Not In My Back Yard”(我が家の裏には御免)ismと公衆衛生

【コロナとNIMBYism】コネチカット州で新型コロナ対応のための施設計画が地元住民の反対により頓挫。NIMBY(not in my backyard)運動は、家賃の高騰だけでなく、公衆衛生上の危機をも構成しつつあると訴えるオピニオン記事

4/6|建築・都市における伝染病対策

【建築・都市における伝染病対策】ハーバード大学GSDで「Public health in an era of epidemics: from the camp to the building」の講師を務める伝染病対策の専門家、エルヴィス・ガルシア博士による寄稿文。

4/7|公衆衛生と建築教育

【公衆衛生と建築教育】ハーバードGSDの授業「Public health in an era of epidemics: from the camp to the building(伝染病時代の公衆衛生:キャンプから建築まで)」の紹介動画。講師のエルヴィス・ガルシアは国境なき医師団での活動歴を持つ。

4/8|ビャルケ・インゲルスの欺瞞、グリーン・ウォッシング批判

【ビャルケ・インゲルスの欺瞞】気候変動否定論者で知られるブラジルのボウソナロ大統領と「観光」について協議する、というビャルケの行動は建築家コミュニティの不興を買った。スターアーキテークトによる"グリーン・ウォッシング"を痛烈に批判する記事

4/9|「都市の密度」とコロナ以後の都市

【都市生活】それでもなお、都市の「密度」が人々の生活を向上させてきた事実は変わらない。新型コロナ以後の都市を考える、NYタイムズ記者のオピニオン記事。

4/10|「住みやすさ」ランキングの問題点

【「住みやすさ」ランキングの問題点】国際都市の「住みやすさ(livability)」ランキングは、都市生活を本当に反映しているのか? 国外居住者(ex-pats)を念頭に置いた評価基準に疑問を投げかける記事。

4/10|英国のコロナ対策。展示場を緊急病院に。

【英国のコロナ対策。展示場を緊急病院に。】わずか9日間で500床、最大4000床のベッド増床に成功した建築家やエンジニアらの設計チームBDPの活動と、Medical Architectureによるコロナ用緊急病院の設計ガイドラインについての記事

4/11|名作改修の是非、バービカン・エステートの場合

【名作改修の是非】英国ブルータリズムの傑作、バービカン・エステートの改修計画をどう考えるか?


今週の担当者コラム|ビャルケ・インゲルスから現代建築界を考える

メニカンjournal、7週目の担当者コラムをお届けします。

今週、特に注目を集めたのは、FailedArchitecture(@FailedArch)に掲載された論考を取り上げた「4/8|ビャルケ・インゲルスの欺瞞、グリーン・ウォッシング批判」でした。ビャルケ・インゲルス率いる設計事務所BIGは、ここ数年飛ぶ鳥を落とす勢いで世界中の巨大プロジェクトを手がけています。最近ではトヨタが静岡県裾野市で手がけるトヨタ版スマートシティ、「Woven City」の設計を手がけたことで、国内でも知名度が一段と広がったように感じます(あるいはNetflixで彼の顔をみた人もいるかもしれません)。彼はいまや、押しも押されぬスターキテクト(starchitect)のひとりです。

Woven Cityについて、スマートシティを取り巻く言説をデザイナー向けに解説した記事としては、design alternativesによるこちらがおすすめです。

こうした状況の中で書かれたこの論考、原題は『Bjarke Ingels and the Art of Greenwashing』といいます。日本語に翻訳するなら『ビャルケ・インゲルスとグリーン・ウォッシングの技芸』といったところでしょうか。「グリーン・ウォッシング」とは何か。なによりビャルケの何が問題だったのか。今週はこの骨太な論考を掘り下げてみます。

記事は大きく3つの話題が展開してゆく構造になっています。まずビャルケ・インゲルスという建築家を読み解く前フリの部分、次にビャルケが今年一月に行ったブラジルのボウソナロ大統領との対談"事件"、最後にそれらを踏まえたスターキテクトたち、とくにビャルケへの痛烈な批判と、建築家コミュニティへの提言です。

ここから先は

2,646字

¥ 200

メニカンの活動を続けるため、サークルの方でもサポートいただける方を募っています。良ければよろしくおねがいします..! → https://note.com/confmany/circle