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メンタル繊細さんとのお仕事

「自動販売機なんて地域活性にもまちづくりにもならん!」「自販機なんて機械的なもの、、、」と言われたことがある。
わたしは、自販機には様々な可能性があると思っている。

自販機を導入した理由については過去に記事を書いているので、こちらをどうぞ

補充に行く作業を誰かにやってもらいたい!

非対面で販売するという利点は、裏を返せば対面で働く事が難しい人が活躍できる場所になるのではないかと思い、働きたくても難しいひきこもりの人や小さな子どもを抱えているお母さんにしてもらい、わずかでも収入なるし、時間の制約もない。

やってみると、ひきこもりの人に出会えない。
家にひきこもっているから、、、

迂闊だった、、、

コミュニケーションをとる事が難しいのに、普通に求人を出したところで雇用というところまでは難しいという壁があった。
なかなか、進まずに自販機の補充は社員や私が担当していた。通常業務があるので、頻繁に行くことは難しく、賞味期限の確認のために補充に行くという作業に変わっていた。

そんな時に知り合いを通じて市の社会福祉協議会と繋がった。
生活困窮者の人たちが働く場所や働きたくても体調面やメンタルヘルスの問題などで長時間働くことが難しい人たちの支援をしていて、就労支援をしているけど、企業に受け入れてもらうにはどうしたらいいんだろう、なんかいいアイデアないかというお話しだった
超短時間雇用という制度もあり、最短15分から短時間から雇用できる制度がある。

週20時間未満(超短時間)の雇用のことです。
企業側にとっては、様々な仕事を抱えていて本来取り組みたい業務や「いつかやりたい」と思っていた業務に取り組むチャンスとなり、また、働く能力があるにもかかわらず、個々の状況等から長時間の就労が難しい方の就労機会の拡大や社会参加に繋がります。

神戸市

え、、それうちがやりたいこと!
わたしは、自販機の補充がなかなかできなくて困っている。
もともと、自販機の補充をひきこもりの人やシングルマザーなど、ちょっとだけでもお仕事をして生活の足しになったり、社会参加としてのきっかけになって欲しいと思っていた。

トントン拍子とはこのことかと思うけれど、
社協の人たちも、協力してくれる企業が見つからずモヤモヤしていた。
企業側の私も、この自販機が誰かの助けになるんじゃないかと思うものの、該当する人がみつからないということでモヤモヤしていた。

この奇跡が重なって、一人の男性と出会った。
最初は、俯いて声も小さく大丈夫かなと思った。

数回のお試しの作業をしてもらい、この仕事を気に入ってくれたらお願いしたいというと、本人もやりたいという事で、雇用にいたった。

就労支援の時には、シール貼りやデータ入力などをしていたみたいだけど
自販機の補充というのは、入れた商品が売れたら減っていく。
それは当たり前のことではあるけれど、自分がやったことが、誰かが買い、また商品を入れるという自分の仕事に人が関わったという成果が見えることは、これまで家の中でひとりきりでいた彼にとっては、社会との繋がりが実感できたのだろう。

何度かめの出勤のときに、「同じ商品でもこっちの自販機の方が売れますね」といった。「じゃあ、この商品を入れ替えてみよう!」と一緒に商品を入れ替えて、また売れるようになった。
彼がだんだん笑顔を見せるようになり、挨拶する声も大きくなっていった。

ある時、ご家族から電話があった。
お母様からだった、本当にありがとうございます。というお礼と共に彼がどんな学生時代を過ごし、どんな生活を送っていたか、家族の中での葛藤を話してくれた。
わたしも彼が、どんな様子で仕事をしているかを伝えた。

家族の中でも、ほとんど会話を交わすことなく彼のお母さんは将来の不安や、彼の行末を心配し、彼への声かけにも困っているようだった。

実は、私も娘が中学生の頃不登校を経験し、少なからず当事者でもあった、彼のお母さんの気持ちは、よくわかる。

彼のことは私の娘。彼のお母さんは自分のこととして投影している。
仕事がしたくてもできない、学校に行きたくても行けない。本人も大変なのはもちろんだけど、その家族も、どう接していいのか。このままではいけないという焦り、その悩みを打ち明ける場所がなく、家の中で問題を閉じ込めてしまう。

このご家族は、社協に相談をするという手段を取り、そこで少しだけ扉を開けた。社協の人たちも誠心誠意の相談に乗り、だけど社会参加という意味では、力が足りない。そこに第三者が入り少し穴を広げた。
家の中に閉じ込めていた問題に

穴をあける、風を通す。
動きが出る
外に澱みを出し新しい風が家に入る

いろんな思いがあって、長く家の中にとじこもっていたのだから、そう簡単に解決するものではない。
1日1歩、3日で3歩、3歩進んで2歩下がる
水前寺清子だってそう歌ってる。

わたしたちは、いつも急ぎすぎてる。
急な変化を求めたいし、成長したい。
だけどそんな人ばかりじゃない。

変わりたいという思いと戦っている彼の一歩は、
本当に365歩のマーチで、進んでいるときは周りも喜ぶし
停滞している時は心配になる。
だけど、着実に変化をしている。

わたしは待つことも大事なんだというのも彼に教わった。
少なくとも彼の存在が、私には少なからずの影響を及ぼしてる、
みんなが寛容な気持ちを持つことで、変えられることってあると思う。

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