食品自販機-シェアキッチンの新しい販売の仕組み-
これまでの販売方法が当たり前でなくなってしまい、非対面販売、非接触販売に注目が集まっています。製造許可を持たないフードクリエイターさんが利用されることの多いシェアキッチンで作られた食品の販売方法は、マルシェやイベント出店です。しかし、感染防止対策による相次ぐイベント中止でフードクリエイターさんは、販売する場所を失い、作る機会さえも失っています。
これまでのシェアキッチン
菓子製造業許可付きシェアキッチン「ちょいみせキッチン」を2018年7月に岐阜県大垣市に初めて開業しました。シェアキッチンとは、一定の条件のもと保健所の製造許可のあるキッチンを時間貸しするしくみです。
当時、県内にはほとんどシェアキッチンはなく順調に利用者も増え、いつかカフェを開きたい、お菓子屋さんをオープンしたいと夢を抱く、フードクリエイターで賑わっていました。
クリエイター同士の交流も生まれ一緒にマルシェに出たり、イベントを独自で開催したりと運営側からみても皆さんがとてもキラキラと楽しそうに活動されていました。
2020年3月の最初の緊急事態宣言までは、、、、
シェアキッチン存続の危機
お菓子を作って販売する場所がなくなると、作るきっかけがない為にキッチンから利用者さんがサーッっと離れていくのを感じました。
予約も入らず誰も使わない空っぽのキッチンが連日続き
ひとりきりのキッチンで
このままではいけない。
日常の生活が戻ったときにちょいみせキッチンがなくなり、作る場所がなくなれば、せっかく夢を抱いてちょいみせキッチンに訪れて一歩ずつ夢に近づいていたフードクリエイターさんたちが夢を諦めてしまう。
だけど、シェアキッチンの存続も危うい。
だけど、やめるわけにはいけない。
みんながお菓子を作り続けるためにはどうしたらいいのかを、日々模索していました。
インターネット販売の壁
わたしは、シェアキッチンの運営の他に法人向けの食品のネットショップのコンサルティング業務を行っています。ネットショップで食品を売るのは、ちょっとだけ得意だと思います。過去に一夜に数百万、月に数千万と販売してきた実績もあります。
小さなキッチンで、ここまではいかないとしても、みんなにネットショップの作り方や運営方法を伝授してみよう!とオンラインレッスンをしたり、シェアキッチンの利用者さんの商品を集めたネットショップを作って委託販売する仕組みをつくりました。
これが、なかなか売れないのです。
インスタでリンクを貼っても「美味しそう、どこで買えるのですか」とコメントがあったとしても、ネットショップで購買までいたらない。
売れない原因は、なんとなくわかっていました。
キッチンを持たないフードクリエイターさんの売り先は、これまで地元のマルシェやイベント出店での販売です。そのお客様は地元の方。地元で作られているものをわざわざ、送料を払ってまでお菓子を買う理由にならないのです。
食品自販機との出会い
シェアキッチンの運営会社で私が代表を務める会社 Coneruでお取引のある会社さんで、東京都渋谷区でコインランドリーを2店舗展開するしろふわランドリーさんがコインランドリー内に食品の自販機を置きたいのでその中に入れるオリジナル商品を作って欲しいと依頼がありました。
東京では非常事態宣言が続くなか、オーダーが入り売り上げは好調。不要不急の外出は出来なくても洗濯には定期的に通う人がいて、待ち時間や自宅で食べるために食品自販機で購入される人がいることがわかりました。
これかも!!!
一大チャレンジではあるけれど、わたしの中ではシェアキッチンの新しい販売方法は食品自販機しかないと思っていました。
食品自販機選び
食品自販機を検索するといろんなタイプが出てきます。冷凍、冷蔵ができるもの、ロッカー形式なものなど様々です。
検索しすぎて、自販機を見ただけで型番が言えるようにまでなりました。
シェアキッチンで作られるものは、クリエイターさんのこだわりのある食品で量産されているものとは異なります。マルシェで購入されていたお客様は、その商品を実際に見て「買おう!」と決断するので、写真やサンプルではなく商品そのものを見て購入ボタンを押してもらうという導線が絶対条件と決めました。
また、多くの人の目に止まって欲しいので外置きできるもので、外気温に左右されず温度がある程度保つことができるものと絞っていきました。
そうなると選択肢がかなり絞られてしまいますが結果、今の自販機になりました。
この自販機のラッピングも当社でオリジナルデザインしました。
デザインの背景は、発酵をイメージしています。
食品庫という意味のPANTRY(パントリー)は、フードクリエイター達のこだわりの食品が並び、このPANTRYを通して地域とクリエイターが繋がるツールになり、発酵するように地元に根付き広がり膨らんでいていって欲しいという願いを込めました。
余談ですが、ロゴは、紙袋をゴソゴソとしている猫です。
実は我が家の猫がモチーフになったりしています。
作る場所、売る場所
何事も入り口があれば、出口がなければいけません。
商品を作ったら、売る場所がなければ溜まる一方です。
シェアキッチンではこれまで、「出口」つまり売る場所はマルシェやイベントでしたが、開催自体が危ぶまれたり、急な中止になる現状。今まで通りではいけないのです。
もっと手軽に、天候や社会情勢に左右されない販売方法が今回のPANTRY自販機です。
食品自販機自体は、新しさはありません。ただ、シェアキッチンの新しい販売方法として当たり前になり、作ったものをすぐに自販機に入れられるしくみを作っていきたいと思います。
ありがたいことにメディアにも取り上げられているので一部ご紹介します。
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