見出し画像

無料全文公開!『オンライン・セミナーのうまいやりかた』はじめに/おわりに/目次

本を選ぶ時、「はじめに」「目次」「おわりに」から読む方も多いのではないでしょうか。書籍の内容を多くの人に知ってもらうために、同パートを無料で全文公開します。

「はじめに」には、どんな経緯でこの本を書き、どういった考えで、どんな内容が書いてあるかを示しました。「おわりに」では、どんな人にどう役立ててもらいたいかといった「想い」を書いてます。目次を見ると、具体的内容の大枠が分かるでしょう。

はじめに

オフラインの仕事が消失し、急激なオンラインシフトが始まった

私の仕事は社会人向けセミナーをつくることです。
2019年は200件企画しました。しかし新型コロナ以降、オフライン(対面)のセミナーはゼロになりそうです。私の場合、主催・受託だけでなく、セミナーを通じて法人向け研修などの案件を得ていたので、営業機会も大幅に制約されてしまいました。

私の周りにも、セミナーが開講できなくなったスクール事業者、研修が全て延期か中止になった講師など、コロナで仕事が消失した人がたくさんいます。企業でも、新規営業ができなくなり困っているという相談がよくあります。

一方このような状況下で、オンラインへのシフトが急速に始まりました。

緊急事態宣言の頃を境に一気にオンラインにシフトしており、イベント管理ツール「Peatix」上のイベントは、常時4000件のオンラインイベントが公開され、内80%がオンラインだそうです。

オンライン化にいち早く対応して、コロナ前より売り上げを増やした人もいます。スクール売り上げがゼロになった私の知人は、3ヶ月で1000万円のオンライン売り上げを新規につくりました。オンラインセミナーで、対面営業よりも効率的に案件リードを取っている会社もあります。

私はオンラインシフトにどう対応したか

当初、対岸の火事のようであったコロナが深刻度を増し始めた2月下旬、このままではオフラインのイベントができなくなり、いつ元に戻るか分からないと判断し、オンラインに一気に舵を切る決断をしました。

とはいえ、全く知見がなかったので、ノウハウ共有コミュニティを立ち上げつつ試行を重ねました。その結果、比較的早い段階でセミナーやワークショップを全てオンラインに移行させることができました。それだけでなく、対面営業ができなくなった企業から、営業・マーケティングのためのセミナーの企画を支援する、新しい仕事の引き合いも増えてきました。

オンラインに最適化せざるを得ない

これからの日本は好むと好まざるとに関わらず、様々な活動をオンラインにシフトしなくてなりません。

東京都の1日あたりの新規感染者数は、一旦は20人を切ったものの再び200人を超えました。

東証一部上場のデジタルホールディングス(旧社名:オプトホールディング)は、グループ全社で在宅勤務を原則とし、本社ビルの賃貸契約の1/3を解約しました。働き方すらオンラインにシフトする会社が増える中、セミナーがオフラインに留まることはないでしょう。

周りの人々と話していても、直接人と対面する場を避ける心理が強くなっていると感じます。何よりオンラインの便利さを知ってしまったので、よほど対面の必然性を感じない限り、オフラインの場に参加する気にはならないでしょう。

対面がいいと考える人も依然多いですし、関係構築など、顔を突き合わせた方がいいことが多くあるのも事実です。状況が落ち着けば、いくらかはオフラインに回帰するかもしれません。オンラインとオフラインのハイブリッドも今後増えるでしょう。しかし、オンラインが前提となることに変わりありません。

オンラインシフトを好機と捉えよう

急な変化はチャンスでもあります。多くの人がビデオ会議に慣れ、これまで成立が難しかったオンラインセミナーが当たり前になりました。

実際、オンラインのセミナーやワークショップに参加してみると、リアルタイムでコメントできるなど、オフラインよりいいこともたくさんあります。

どの道オンライン化に対応しなければならないなら、むしろ積極的に最適化していく方がいい、というのが本書の立場です。

私はこの本で、これからオンラインセミナーを活用していこうと考える人々が、自ら企画、運営、継続できるようになるために、実践の中で得た知見をお伝えしたいと考えています。

本書は、私が1年間で200件に及ぶセミナーを企画・実施してきた方法論をベースに、オンラインセミナーを成功に導く基本的な考え方とノウハウについて、詳しくお伝えするもので、次の方々に役立つことを想定しております。

◉ オンラインセミナーで自社の商材の営業リード獲得をできるようになりたいと考える企業の方
◉ 自身のコンテンツを、オンラインに最適化していきたい講師の方
◉ 自身の学びのために、オンラインセミナーをプロデュースしたい方
◉ 自身の知見をセミナー化したい方

最初はどうしてもツールの比較や操作方法など、表層に目が行きがちです。私が実践を通じて理解したのは、オンラインかオフラインかに関わらず、重要な部分の8割は同じだということです。

基本を踏まえた上で、オンラインの特性に合わせた最適化の考え方や方法を、具体的な事例や注意点も交えて説明していきます。それにより、オフライン中心だった人が1人でも多くオンライン化の流れに適応し、成功することに役立てていただければ幸いです。

本書の構成と主な内容

第1章では、セミナーのオンライン移行の基本について説明します。取り急ぎどうすればいいか知りたいという方は、まずこの章をご一読ください。

第2章では、オンラインセミナーを成功させる基本となる考え方をお伝えします。また、多くの人が陥りがちな「間違った考え方」を詳しく説明し、なぜそうなってしまうのか、どうすればいいか示します。

第3章は、企画の立て方について詳説します。どのように企画を着想し、具体化していくかだけでなく、実現可能な構造をどうつくるか、ターゲットに価値が伝わる案内文にまでどう落とし込むか、未経験者でも順を追って行けば形にできるよう手順と枠組みに落とし込んでいきます。

第4章は、セミナーのプロデュースする際に多くの方が悩む集客についてお伝えします。

さて、いささか逆説的ですが、この本が「役に立てない」人を書くことで、基本的なスタンスを明らかにしてみようと思います。

1. 誰でも必ずうまくいく方法を知りたい

目的やターゲットなど、前提が異なれば最適解も異なります。私もターゲット、目的、コンテンツ、実施主体など、様々な条件に応じて、企画内容や実施形態を変えています。
私がお伝えできることは、前提を分析して仮説を立て、試行して検証し、改善を重ね、「成功確率を上げる」考え方です。

2. ツールの使い方やテクニックを教えてほしい

ツールやその使い方はすぐに変わります。私がオンライン対応を始めて4ヶ月ほどの間でも、多くの人が使っているビデオ会議サービス「Zoom」の機能変更はいくつもありました。そもそも、セミナーの目的、参加者のスキルや関係性などが異なれば、最適なツールやその使い方も異なります。
私がお伝えできるのは、自分に合ったツールや方法をどう調べ、どう選ぶかという「考え方」が中心となります。

3. 人が確実にたくさん来る集客テクニックを知りたい

目的なく参加者の頭数を集めようとすることが、セミナーのよくある失敗原因です。何のために、どんな人を、どれくらい集めるかがあって、誰にどうリーチするかが定まります。人を集めることばかりに気をとられていると、その基本を見失いがちです。
本書でお伝えできるのは、そのような集客についての普遍的な考え方であり、自分にあった集客方法を、自ら試し確立していくための方法論です。誰にでもすぐにできて必ず効果があるような、夢のようなハウツーではありません。

4. アウトソーシングしたい

目的・ゴール・ターゲットなどが定まらない状態でクリエイターに投げても、見栄えはいいけれど役に立たないコンテンツになってしまいます。ターゲットを絞り込まず「集客保証」をするメディアに投げても、その後の売り上げにつながらない参加者の頭数が集まるだけでしょう。
本書でお伝えするのは、仮説検証を重ねながら用件を具体化し、成功確率を上げる考え方です。

1人でも多くの人が、オンライン最適化できることを願って

残念ながら「誰でもすぐに成功するやり方」はありません。野球でたとえるなら、バッターボックスに立つ回数を増やすことと、ヒットやホームランを打つ確率を少しでも上げる施策の積み重ねしかできません。自分の体格や資質、相手や状況によって正解は異なるため、自分で一打席一打席考えるしかない、ということです。

1年間で200件のセミナーを実現している私でも、未だに時々失敗をして、反省することがあります。それでも、手探りで始めた頃よりは効率や確度は上がったと思います。考えながら仮説検証を重ねて言語化してきた方法論を、皆様に共有し、それを通じて、「役立つ知見を世に広めるオンラインセミナーづくり」に成功する人が1人でも多くなれば嬉しい限りです。

おわりに

私はこの本を、同じようにオフラインの活動に軸足を置いていた人が、自分でオンラインのセミナーなどの取り組みを始めるきっかけと道しるべになればと思って書きました。オンラインでセミナーは誰でもできます。オンラインになったことで、会場が不要となり、コストや調整工数の面でさらにハードルが下がりました。また、登壇側・主催側だけでなく参加者も一気に大勢がオンラインに移行したので、スタートラインはほぼ同じと言えます。

かくいう私も、今回のコロナを機にゼロから始めたのです。オフラインでは2年間で300件のセミナーを実施し、他にも個人で13年主催しているコミュニティなどで200件ほどイベントを形にしていながら、オンラインは0件でした。500件のオフラインイベント実施経験があり、それを方法論化していたので、オンラインへの適応部分だけ注力すればよかったですし、同じようにオンライン化に取り組む人々が周りにいたので、キャッチアップしやすい状況にはあったと思います。また、やってみて感じたのは、オフライン、オンラインと言っても、重要な違いは当日オペレーションやコンテンツの提供の仕方などの一部にとどまり、本質的な部分は共通しています。

ここで述べたことの一つひとつはどれも自分の身に置き換えて見れば当たり前のことのはずです。しかし、目の前の1回を必ず成功させようと考え、その「成功」もたくさんの人を集めることと、間違って定義すると、その参加者の立場になった時の当たり前が、提供視点になって見えなくなってしまうのです。私も同様の失敗をしてきた中で一つひとつ反省をして、それを誰でもできる方法論として改善を重ねてきました。私がお伝えできるのはその「誰でも始められる」ための方法論です。本当に考えなければならないこと、実は考えなくていいこととそれらの理由、また、具体的なやり方、そういったものです。

私は仕事でもプライベートでも、1人でも多く人が自分の「コンテンツ」を人に伝えられるようになる世界になってほしいと考えています。そのための場を自分でつくれるようになってほしいと思っています。そしてそれはさほど難しいことではありません。意志さえあれば、誰でも始められ、継続して改善を積み重ね、各人なりの成功に行き着くことが必ずできるはずです。最初が一番大変です。何がわからないか分からないし、理解者・応援者もいないからです。この本はその最初の道しるべと考えています。その先の「正解」は一人ひとり違います。しかし、最初に正しく歩み始められたのなら、自分で考え、自分の足で進めるでしょう。本書がその触媒や参考となり、1人でも多くの実践者・成功者が出ることを願っております。

最後に、私が運営するオンラインセミナーの知見を共有するFacebookグループです。ボランティアで運営する、無料のグループになります。最新のお役立ち情報などが随時シェアされますので、よろしければご参加ください

「オンラインイベント&リモートワークの知見・情報をゆるり共有(ゆる共)」
https://www.facebook.com/groups/online.events.knowledge/

また、noteに詳細なノウハウなど、今後続々と追記していきます。こちらももしよろしければ、フォローください。
https://note.com/conecuri

目次

第1章 オンラインシフトとは?

コンテンツをオンライン対応させる
1 セミナー自体の構成を変える
2 ファシリテーションを見直す
3 資料を再構成する
4 ツールと設備の選定
5 予行演習

オペレーションをオンライン対応させる
1 「入れない問題」を未然に対処する
2 受付と出欠管理をどうするか
3 サポートスタッフをアサインし、役割分担を決める
4 資料や動画の配布の目的と方法を決める
5 事後アクションの受け皿を用意しておく

営業のためのオンラインセミナー
案件獲得が目的のオンラインセミナー成功例

商品としてのオンラインセミナー
単体収益が目的のオンラインセミナー成功例
「大人数×低単価」のパターン
「少人数×高単価」のパターン
「中規模×中価格」のパターン

ビジネスとしてのオンラインセミナー
1 認知/2 潜在顧客の顕在化/3 クロージング
「顕在顧客化」は外注が難しく、企画の難易度も高い
顕在化目的のオンラインセミナーが有効な商材
顕在化目的のオンラインセミナーは、今後ニーズが高まっていく
「目的」「ゴール」「ターゲット」
他のオンラインセミナーから学ぶ
ツールをバージョンアップする

今こそオンラインシフトのチャンス

第2章 オンラインセミナー成功のポイント

オンラインセミナーが抱える課題
多くの主催者が収益化を課題と捉えている
無料イベントの比率は変わっていないが、単価が低下
集客の見通しが立ちにくくなっている

オンラインイベント有料化を阻む3つの要因
1 オンライン独自の価値がない
2 知名度がある人にとっては、無料の方が合理的
3 主催者に自信がない

オンラインセミナーを失敗に導く3つの落とし穴
〈落とし穴1〉 とにかく多くの参加者を集めようとする
〈落とし穴2〉 集客の手段ばかり気にする
〈落とし穴3〉 一発で結果を出そうとする

オンラインイベント収益化への5つの指針
1)3000円×100人以上
2)数万円×20人以下・複数回のゼミ
3)資料・権利・商品の販売
4)商材のコンバージョンにつなげる
5)参加者ではなく、企業から対価をもらう

集客は企画でほぼ決まる
集客を適切に成立させる考え方
集客は案内文が超重要

案内文ができたら次は公開
1 マス対応
2 個別対応

公開後の参加者数の読みとコントロール
歩留まりを見積もる
当日現金でも90%まで持っていける
継続による集客の蓄積

集客を盤石にする
追加施策を施す
共感・協力してくれる、影響力のある人の協力を得る
「恩を売る」ことを先にする
招待や割引について

第3章 セミナーを企画する方法

自分のセミナーを企画する
なぜ「誰もが教えるべき」なのか

セミナーづくりの誤解
〈誤解1〉 一流じゃないと教えるに値しない
〈誤解2〉 ニーズ調査や競合との差異化が必要
〈誤解3〉 メジャーなテーマじゃないとダメ
〈誤解4〉 1人がつくれるセミナーは1つ
〈誤解5〉 完璧にしてから出す

セミナーの基本要素を整理する
実際の企画プロセス
情熱の源泉を探る
「好きで得意」は、自らの中にヒントがある

セミナーの目的を再考する
目的とビジョンを言葉にしてみる
目的からターゲットを具体化する

セミナーコンテンツを再考する
伝えるものを言葉にしてみる

セミナーターゲットを再考する
「価値」を言葉にして、ターゲットを具体化する
「目的」「コンテンツ」「ターゲット」を整合させる
ターゲット層を広げるか、狭めるか

プロフィールをつくる
1 整合性/2 信憑性/3 再現性
略歴の具体例
方法論に関する要素
信憑性を増す要素
略歴を構成する

ターゲットの解像度を上げる
「似て非なる」ターゲットを峻別してミスマッチを防ぐ
目的の解像度を上げる
経験フェーズや習熟レベルの違い
範囲のフォーカスの違い

課題の解像度を上げる
課題発生の根源を考えてみる
ターゲットが直感的に反応する表現を考える

セミナーの価値を伝える
価値を言葉にする
的を絞る
バランスを考える要素
ターゲットの拡張とコンテンツの拡張

学びを設計する
受講前と受講後の変化を定義する
長時間のワークショップや複数日程のプログラムの場合

オンラインセミナーでうまく伝えられるようになる方法
セミナー前の準備段階
本番では
チェックと改善

第4章 セミナーをプロデュースする方法

オンラインセミナーは集客のひと手段
集客は目的によって形が異なる
向くもの、向かないもの、他手段との比較で考える

集客のやり方・考え方
仮説検証を繰り返す
継続するほど集客は安定する

集客を考える要素
母集団×リーチ×申込率
ペインの深さ
空中戦はお金がかかる
値決めと開催条件

集客にトレンドを活用する
考えてもしょうがないこと
全く理由がわからないこともある

確実な集客方法
エンゲージメントの高いフォロワーを蓄積する

他の施策との連携
SNS広告
受け皿を用意する
コンテンツの二次利用

集客メディアとツールはターゲットと自分に合うもので

よろしければTwitterもフォローください〜 https://twitter.com/Ryu_8cchobori