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「バディ」の要件

コミュニティやイベントの主催者に対して「ワンオペでできないか考える」「自分でやりきるつもりで」と繰り返し言うので、責任者は孤独であるべき主義者と勘違いされるかもしれないが、実はそうではない。

長く健全に続く場をつくるには、「バディ」が欠かせないと思っている。長く続けていれば嫌になることもあるしやる気が出ない時もある。一人の人間の思考の幅など高が知れている。

そもそも、何もないところから何かを初めるような人間は、どこかネジが外れていて、意外に基本的なことができない。補完をしてくれる真人間が必要だ。

そんな、主催者の欠落を機能的に補ってくれて、さらに人としても価値観や気が合う人間を言い表すのに、刑事モノで、事件現場に一緒に飛び込んで背中を安心して任せられる相棒をさす「バディ」という言葉以上のものが思い浮かばない。

そんな「バディ」の要件を考えてみようと思う。

補完してくれる

例えば私は案外目の前の人間の気持ちのケアができない。企画、コンテンツ案内文、会場導線など、事前に誰が何を見てどう感じるかを考えたりはするけれど、目の前の個別具体の人間感情への対応は人並み以下だったりする。

あと、収支の設計はできるが、いい塩梅の会費の計算もできない。そんなところを丸々任せられるとストレスが大幅に減る。

まあそれは一方的な補完ではなく、相手がすぐ頭に血がのぼるのに対して、自分は滅多なことでは感情的になはらないなど、お互い凸凹な、相互補完的なものだ。

背中を任せられる

店を選ぶ、何かを手配するなど、頼んだことはいい塩梅でやっておいてくれる。ちゃんと好みのツボにも合うようなチョイスで、言っていないことも(そもそもそんなに細かなことを言わなくてもいいようになっている)ケアしてある。

それは色々な苦楽を共にして相互の頭の中が分かるようになっているからか、元々考え方が似ているからかは分からない。性格も思考パターンも嗜好もかなり違うのに、何かが通底しているのか、頼んだら、あるいは頼まなくても、必要なもの、深層も含めて望むものが準備されている。

管理する意識も起こさせないので、頼んだら忘れてしまい、必要な時に出来上がっている、ということも多い。

「違う」と言ってくれる

人は時に暴走する。独りよがりな考えに気付かず、むしろ相手は喜ぶと考えて、明後日の方向の企画に没頭していることがある。

そういう時に「それは違うと思う」と言ってくれる人は、案外少ない。主催者の目線で、自分のことを理解した上で、素朴な参加者の視点も並存させて、指摘できる人は少ない。考え抜いてそれがいいという結論に至り凝り固まっている最終責任者に対して、何度反論されようと自身の直感を素直に通せる人は、本当に少ない。

大抵は折れ、折れることが続けば口を噤むようになる。そうして裸の王様と面従腹背がはびこり、コミュニティと主催者は自滅する。

気力の拠り所

長く続ければ嫌なこともある。心ないことを言われる、意味のわからない勘違い、配慮を踏みにじるような自己中心的行為など、数えればきりがない。

まあ好きでやっているし、それ以上に嬉しいことも楽しいこともある。この人たちが喜んでくれるなら、と思える人々の方が割合としても多い。それでも気が滅入ることはある。

どういうわけかやる気が出ない時もある。なるべく同じことは続けまい、同じことの中にも新しい何かを見出そうとして、実際そうして続けてきたとしても、何か沼の底に落ちるようなことはある。頭でわかっていても、自分を鼓舞しようと体を動かしても、どうしようもない時がある。

そんな自分でどうしようもできない時も、相棒との何とない会話でふとまたやる気が蘇ることがある。話さなくても、奴がいるのだからさあやろう、と思える思わせてくれることもある。

ここで戻れなければ「心停止」に陥り、コミュニティは寿命を迎えるかもしれない。

気が合う

上に述べたことを満たせるのは自分とかなり違う人間のはずだ。それでも気が合う、根っこの部分で通ずる人というのが稀にいる。

そうそう見つかるものではない

まあそんな輩はそうそう見つかるものではない。ソニーをソニーたらしめたのは井深大と盛田昭夫のコンビネーションだし、本田なら本田宗一郎と藤沢武夫だ。AppleやMicrosoftやGoogleもそうかもしれない。

自分たちをそんな人々と比肩させるつもりもないが、そこまでのコンビがそうそう思い浮かばないという事実は、そんなコンビが滅多にできないということだし、それぞれが世界を制するくらいの会社であることを考えると、かなり効果は絶大ということだろう。

そんな相手が見つかれば理想的だが、現実はなかなか難しく、何かしら不十分な中で折り合いをつけ、やりくりをしなければならない。そもそも、人に助けてもらって贅沢を言うのも烏滸がましい話だ。

うまく巡り会えばめっけもんというくらいの気軽さで、基本は自分の場づくりを極めればいいと思う。

今日はそんなとりとめもないことを書いてみた。

ご参考:オンライン・コミュニティの実験場

ご参考:オンラインセミナーの方法論

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