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企業アルムナイのつくり方-2.コミュニティの基本を理解する

企業アルムナイのつくり方を、ソニー有志アルムナイ含め、複数のコミュニティの立ち上げや運営をしてきた実践家が詳説します。

今回はアルムナイの本質を理解するために、コミュニティの基本要素について解説します。

コミュニティの基本要素:旗、軸、仕組み

そもそもアルムナイはコミュニティの一種であり、うまく立ち上げ運営するには、コミュニティについて理解しておく必要があります。

コミュニティとは「共通の関心で結ばれた人の集まり」とされますが、アルムナイの核となるのは出身企業という”属性”で、関心ではありません。

よって、関心を核として人を集めた通常のコミュニティと比べて参加者の関心に幅があり、立ち上げや運営の仕方も異なります。

以下が、コミュニティの主な要素の全体像です。

各要素の説明は以下の通りです。

  • :趣旨を簡潔に示したもの。主催者にとっては大義名分であり、参加者にとっては参加理由となる。

  • :どんな人が、どんな活動をする場なのか、活動の概要。

  • 仕組み:メンバーが活動に参画して場に価値をもたらし、それが自身を含むメンバーに還元される、価値増幅の連鎖。

コミュニティが価値を増幅させる「仕組み」の例

仕組みについては、より具体的に理解しておく必要があるので、レシピサイトを例に、より詳しく説明しましょう。レシピさいとのような所謂CGM(Consumer Generated Media)は、ユーザーがコンテンツを提供するという点で、コミュニティ的な性質を持ちます。具体的には次のようなサイクルで、参加者が価値を生み出す連鎖が回ります。

  1. ユーザーがレシピをUPし、

  2. レシピが大量・網羅的に集まることでサイトの魅力が高まり、

  3. 多くの人がサイトを見るようになり、

  4. 人気のレシピを多く挙げた人に、仕事が来るようになり、

  5. それが、他の人がレシピを上げる動機となる

  6. このサイクルが繰り返され、価値が連鎖的に増加していく

アルムナイにおいても、このような参加者による価値創出の連鎖が回るようにし、結果として、主催側の目的を達成させるようにする必要があります。

コミュニティにおける関係性の特徴

コミュニティにおける関係性は、会社組織やイベントとは異なります。会社の仕事や日常の生活で無意識に染み付いている感覚で対応すると失敗するので、違いを踏まえて理解しておく必要があります。

誰もが対等、公平

コミュニティにおける人と人との関係は「互いに対等」が前提です。主催者や運営リーダーも例外ではなく、会社組織のように指揮命令で人を動かすことはできません。よって、参加者価値を設計した上で、参加者が自発的にアクションしたくなる「提案」をするしかありません。

社内の人のように、言えば(命令すれば)動く前提で対応すると、そっぽをむかれてしまいます。

継続的な横の関係

セミナーのようなイベントとの比較で説明すると分かりやすいでしょう。セミナーでは、講師から一方的に学びという価値が提供されます。参加者同士が継続的に繋がる必要もありません。

一方、コミュニティは継続的な活動であり、メンバー同士が横に繋がる必要があります。単に交流会で人を集めても、工夫がなければ、参加者同士が繋がり自主的な活動にはつながりません。

協働、共創

レシピサイトの例で説明したように、各メンバーが他の参加者や場に価値を提供する側にもならなければ、コミュニティは成立しません。そのような参画や貢献自体が楽しみやベネフィットになっていなければ、コミュニティは盛り上がりません。

会社が一方向的にコンテンツを提供するだけだと、受け身で利益を享受するだけの「お客さん」にばかりになり、盛り上がらなくなってしまいます。

次回:コミュニティの基本要素を具体化する

今回はコミュニティの基本要素から、アルムナイを理解する枠組みを整理しました。次回は、アルムナイの内容を考える具体的なプロセスを、内容を考えるための「問い」と併せて解説します。

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