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ゆるいつながりの基本思想-2. 利他(Give)

人とのつながりとかご縁とかいうと、一般的には「人脈」のような一方的な自己利益をイメージさせる打算的なものや、「引き寄せ」的なスピリチュアルなものを想起させるかもしれません。

しかし、16年にわたり様々な場づくりに携わる中で、もっと現実的な、普通の人にも違和感のない考え方があると感じており、それらについて言語化してみます。

  1. 自力本願

  2. 利他(Give)

  3. 自分に合うこと(Be yourself)

今回は「利他(Give)」について。

見返りを期待しない「Give」が基本

ペンシルベニア大学ウォートンスクールの組織心理学者、アダム・グラントの著書『GIVE & TAKE〜「与える人」こそ成功する時代』では、人のためになることをする人の方が長期的にみて成功することを、長期の調査で実証しています。

これは、人がつながる場をつくっていると、経験的に納得感があること。

見返りを期待せず、相手のためになることを続けていると、やがて思いがけず、恩が返ってくるのをよく経験します。

下心は見透く

人に何かをするときに、見返りを期待していると、相手に伝わります。勘のいい人や経験豊富な人でなくても、直感的に感じ取るものです。

そのつもりがない人でも、無意識で期待していたり、自身の言動が相手にそう捉えられる可能性も想定しておく方が無難です。人は、自分に都合よく、また、気付かぬ間に傲慢になっているものだからです。

自分が使っている言葉にも気をつける必要があります。例えば、「〇〇して"あげる"」なんて表現には、施してあげたという上から目線や見返りの期待が、無意識下に潜んでいると思います。

Giveして、忘れる

人は、借りにはお返しをしなくてはと感じるもので、これを「返報性」といいます。

「情けは人の為ならず」、すなわち、人に何か良いことをすると、巡り巡って自分に返ってくる、ということわざにも通じます。

人はそういうもので、そのうち何かの形で返そうとするものだ「信じる」ことが、健全な態度ではないかと思います。

よって、Giveしたらすぐに忘れればいいのです。「貸し」として覚えておくのは、見返りを期待しているといえるからです(ただし、受けた恩を忘れてはいけません)。

また、恩は返す「べき」と考えるのは期待であり、これも「信じる」とは異なります。

期待は不満につながる

なぜ期待すべきでないかというと、期待した見返りが得られないと、恨みの感情が残るからです。

自分の勝手な期待など、相手には知ったことではありません。自分は100をGiveしたつもりでも、相手は10と捉えているかもしれません。そもそもGiveと認識していないかもしれません。

返すものの価値にも同様に、認識の相違があり得ます。想定している時間軸が違うかもしれません。

貸し借りで考えると、だいたいどちらかに不満が残りがち。なので忘れてしまい、思いがけず何か返ってきたらラッキー!くらいの方が、精神衛生上も良いです。

Giveすることに、価値がある

私も、ある人の取り組みに対して、無償で色々アドバイスをし、その後しばらく経ってから、「予算が取れたので、お仕事をお願いします」ということがありました。アドバイスしたことなど、すっかり忘れていたので、何だか得した気分です。

万が一何も返ってこなくても、そもそも何も貸しがないと考えれば、±0です。しかし、どこかしら何かしらにポジティブな影響は残っているものです。悪いことをしたと思えば悪人面になるように、良いことを積み重ねていれば人相も良くなるでしょう。それで十分だと考えます。

自己犠牲は避ける

Giveと自己犠牲とは、明確に区別しましょう。

心理的、工数的に負荷と感じることは疲弊しますし、世の中には自分だけが得をしようとする「Taker」もいて、そういった消耗することは避ける必要があります。

見解の相違は、気にしない

まれに、厚意を純粋に受け取らない人もいますが、仕方ないことです。

相手だって、限られた時間の中で、付き合う相手を絞り込んでいるかもしれません。タイミングや相性や誤解の問題かもしれません。

今はご縁が無かったのだとすぐに忘れ、他の人のためになることをすればいいでしょう。

そもそも、忘れていれば、Giveをしてやっているのに、という感情も起こらないはずです。

次回:自分に合うことをする

自分がやりたいと思えないことは続けられません。また、人は自分でないものにはなれません。

無理なく、自ら望むものでなければ、何かを続けることは難しくなります。

次回はその辺についてお話ししようと思います。

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