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社内向けプレゼンのつくり方-6.スライド作成のポイント

敢えて社内向けにフォーカスした、プレゼンのつくり方を詳説する試みの第6回は、スライド作成のポイントについて。

※ある仕事で、社内プレゼンの作り方をレクチャーするにあたり、頭の整理を兼ねて、記事にまとめています。

文章のポイント

各スライドのメッセージは、文章で書かれるので、まずは文章のポイントについて。

余談ではあるが、私がサムスン電子の企画部門で、グループ会長にも読まれる文書を作る時によく言われたことがある。

それは、超多忙な経営者が貴重な時間を割いて読むのだから、価値ある内容を簡潔に書け、ということだ。

例えば、衆議院選挙の結果が出たとして、何党が何議席取った、という事実関係だけでは不十分。それが、自社のどんな事業にどんな影響を及ぼし得るのか、それに対して、どんな備えを考慮しなければならないのか、という、経営の意思決定やアクションにつながる示唆が含まれていなければならない。

とはいえ、その内容を何ページに渡って詳細に書くわけにもいかない。分刻みで動く忙しい人なので、メインのトピックでも、文章と簡単な表など含めてA4のワード1ページ、その他は半ページくらい、コンパクトに収めることが求められる。

分量を絞るだけでなく、速読しやすく、すぐに内容が分かるように洗練することも必要。

以下のことを意識していたと記憶する。

  • レイアウト(見出しや冒頭文)が見やすく、パッと見て頭に入る

  • 論理構成が明快で、思考の自然な流れに沿っていて、納得感がある

  • 記述が分かりやすく、簡潔

  • 定量・定性の事実や推論などが、客観的で正確な材料から構成されている

  • 図表はシンプルで明快

簡潔な文章を書くときには、以下のことを意識している。

  • まず、相手の知りたいことを伝える

  • 読ませるのではなく、「見せる」意識

  • 頭から読んで自然に頭に入る流れ(時系列、原因→結果、前提→主張、など)。

  • 必要最低限の要素で、簡潔に構成する。

  • 田舎の母親/小学4年生でも分かる易しい表現にする。但し、相手の分かりやすさに合わせた、漢語・英語や専門用語とバランスも意識。

  • 数字や固有名詞など、人による解釈の相違が生じない、客観的な表現にする。

ただ、最初からきちんとした文章を書こうとすると手が動かなくなるし、簡潔にすることを過度に意識するとむしろわからない文章になってしまう。

まずは必要なことを十分書き切ってから、構成を工夫し、無駄を削り、表現を改める。

デザインのポイント

下書きの時点では、色を使わず、線も文字も1種類で効果を入れず、とりあえず必要なことをラフに書き出す。

ある程度内容が固まってから、それを分かりやすくデザインする。

ここは専門ではないので、デザイナーの住谷もえみさんの受け売りをベースに紹介したいと思う。

フォント

圧が少なく読みやすい明朝体は、長い文章に向く。ピリッとするので社外プレゼンにおすすめ。Windowsなら游明朝、Macならヒラギノ明朝。

目立たせたいならゴシック体。メイリオやヒラギノの柔らかい印象のフォントは、社内プレゼンに向く。MSゴシックは文字間が狭く読みにくい、線が一律ではないなど、使いにくいので避ける傾向にある。

文字

大きさは、種類別にポイント数を分ける。

・見出し:36pt
・小見出し:30pt
・本文:18-24pt

出典などの補足情報は、流し見でいいと伝わるよう、9-11ptにする。

なお、最近はオンラインで画面共有することが多いので、印刷して見ることが当たり前だった時代と比べ、字のポイントを大きくする傾向にある。

文字は、色よりも、太字や下線で強調する。

グラフ

円グラフは凡例が必要で、視線移動が生じる。棒グラフの方が直感的に見やすい。

右→左は時系列を意識させるし、人間の目は左右より上下の方が動かしやすいので、単純な量の比較なら、上下に並べる横棒グラフにする。

時系列の推移を見るのには、折れ線グラフが適している。

背景の線、不要な数字など、標準で表示される余計な要素は消す。

同じ要素は同じ色で統一する。

強調したい要素以外はグレーにして目立たせる。全てグレーでも濃淡があれば見やすくなる。

ペーパーレスとはいえ、プリントされる可能性があるので、強調は濃い色にする。

カラーセットを作る場合

コーポレートカラーなどでメインカラーを決め、濃淡のバリエーションを3つ(100%、50%、25%)作る。

それに対してもう一色、強調用の色を選ぶ。基本はオレンジなどの目立つ色だが、メインカラーが赤・黄系列の注意色の場合、青系の色にするなど、コントラストとなる色にする。

素材の配置

あちこちに視点移動させないよう、要素を減らし、配置する。

人は、左や上から見始めるので、大事なこと、最初に見てほしいことは、左や上に配置する。

同じ要素は配置を寄せ、塊が分かるように上・下や左などを揃え、間隔なども調整する。

細かなことを挙げるとキリがないが、以上が基本中の基本として、まずは意識することだ。

次回は、他の人に作業を依頼する場合について。

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