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社内向けプレゼンのつくり方-7.他者に一部お願いする場合

敢えて社内向けにフォーカスした、プレゼンのつくり方を詳説する試みの第7回は、他者に情報の提出やスライドの制作をお願いする場合について。

※ある仕事で、社内プレゼンの作り方をレクチャーするにあたり、頭の整理を兼ねて、記事にまとめています。

人にお願いする時に、よく起こる問題

他部署の人などに、スライドをつくるためのデータや情報などの素材や、一部スライドの作成をお願いする場合、いろいろな問題が生じ得る。

  • 期限通りに出てこない、遅れる

  • 出てきたものが、欲しい形式やレベルではない

しかし作成者は、それらにも対処した上で、スケジュール通り必要な品質のプレゼンを完成させる責任がある。

求めたものがきちんと出てこない原因は、おおむね以下だろう。

  • 頼まれた側にとっての優先順位が低い。

  • 頼まれた側が、何をすればいいか理解できていない。

そこで、これらを解決する工夫について述べる。

1)負荷を引き受ける姿勢を示す

営業と開発部門で一緒に案件を取りにいくような一蓮托生のケースでもない限り、他部門のプレゼンづくりへの協力は、頼まれる側にとっては、社内だし、頼まれたからやるけれど、というのが、正直なところだろう。

なので、相手の置かれた状況や心情を汲み取りつつ、以下のように、謙虚にお願いするといい。

  • 相手の考えることや、手を動かすことを、依頼側で巻き取る工夫をする。

  • 一緒に考え、一緒につくり、問題が発生したら、一緒に解決する。

  • 要望や事情など、いつでも気軽に相談に乗るので、遠慮なく言ってほしい。

2)相手にとっての関連やベネフィットを考える

現実的には、一方的なお願いにならざるを得ないことが多いとはいえ、依頼内容が、相手の仕事にとってどんな関わりがあるのか、どのようなベネフィットがあるのか、こじつけでもいいから考えてみるといい。「自分ごと」にならないと、きちんと対応してもらえないからだ。

CFOに営業の数字をレポートするなら、販促費などの投資につながる可能性があるとか、何かしら理屈はつけられる。

もちろん、こじつけが過ぎると逆効果ではあるが、相手も「大人の事情」とわかっているはずで、配慮を見せる姿勢が大事だと思う。

あとは、相手部門の長などに、自部門の長からお願いしてもらうなどして、「上司からの指示」として自分ごとにしてもらう手もあるが、やり過ぎると嫌われるし、その手を使うとしても、謙虚にお願いする基本は外さないよう気をつける。

3)明確にお願いする

期待と近いものが出る可能性を高めるため、以下の必要な項目を、依頼する側に分かりやすく簡潔に説明するといい。

  • 誰に何をどう伝え、何を実現したいのか

  • そのためにどんな最終成果物をつくりたいのか

  • それをつくるために、何の情報やスライドを、どんな形でほしいか

  • どんな手順でつくればいいのか

頼まれた側が、どうすればいいか考えさせる要素は、可能な限り減らしたい。かといって、あまり細々書きすぎても読む気が失せる。

その塩梅を念頭に、簡潔な依頼文を心がける。

納期を納得してもらう

相手も忙しい中、いつまでにとせっつくのも気が引けるが「納期」も重要だ。

プロセスやスケジュールなどの背景事情も正直に伝えるといい。

テンプレートを依頼側でつくる

データの場合、スプレッドシートに項目や形式を入れておくなど、作業する側の面倒を、頼む側で予め対応しておくとスムーズだ。

 頼まれる側にとって、以下のメリットがある。

  • 依頼者の確認や調整が減る。

  • 何をつくるか、どうやるか、考えなくて済む。

  • 作業を効率的にできる。

  • やり直しが発生しない。

スライドをつくってもらう場合

形式がバラバラなものが出てきて、見栄えを揃えるのに、余計な工数がかかることがある。

その問題を回避するため、予めスライドのテンプレートをつくって送る。その他のルールも、凡例のスライドを1ページつくって書いておくといい。

相手と自分との、関心や前提知識の差異にも配慮する

自分では明確に伝えたつもりでも、相手が違う形で理解していることもある。

例えば、経理と、営業や開発とでは、数字に対する考え方も異なる。役割や関心が違えば、前提となる理解に差があることに気づかないと、言葉足らずの依頼をして、要望と違うものが出てきてしまう。

気の利いた人なら、依頼の背景などを自分で考えてくれるかもしれないが、相手はそこまでする筋合いもない。

要求を満たすアウトプットをつくるのは制作の責任者たる頼み手の責任である。相手に委ねるのではなく、自分で工夫する。

具体的な方法としては、前に述べた、背景などを説明する、成果物を明確に定義する、テンプレートを依頼側でつくる、などである。

4)相手に配慮した進捗コントロール

的確に要望を伝え、相手もその重要性を理解したとしても、相手のスキルや管理の問題で、悪意がなくとも、オーダーしたものが出てこないこともある。

成果物が出てくるまで、進捗や品質に問題ないか分からないのも、納期通りに要求品質を満たす最終成果物つくる責任者として、適切とは言えないだろう。

とはいえ、相手にとっても、ただでさえ余計な仕事な上、半人前の社員のように逐一確認されたら、面白くもないだろう。

そうならない配慮をする。

  • 予め、相互に確認する時期を明示しておき、唐突感をなくす。

  • 進捗の確認は、困りごとを一緒に解決するためのものという姿勢を示す。

  • 不明な点があればいつでも聞いてほしいと、相手からも連絡しやすい関係をつくっておく。

5)相手に合わせた対応

相手に応じた対応も必要だ。

ちょっと心もとない人なら重点的なケアが必要だし、安心できる人なら、信じて任せる方が、相手にとっても心地いいだろう。

自分が直接知らない場合でも、過去に同じようなやり取りをした人などに、どんな人かや、対応のコツなどを聞くと、効果的にやり取りできるかもしれない。

次回以降も同じお願いをするなら、個人的な関係を築いておくといい。

・・・

他にも細々としたことはあるが、大事なことは、予定の期日までに、ターゲットの要求を満たす、自分が定めた品質の成果物や材料を手に入れること。

その基本から外れず、試行錯誤を重ねれば、上手くいく確度は高まっていくだろう。

次回は、資料がとりあえず完成した後の、本番までの準備について。

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