アルムナイ調査レポート:モトニト会(ニトリ)
活発に活動し、価値を創出している企業アルムナイの運営者に、成り立ち、活動や運営の概要、運営の工夫などを詳しく掘り下げ、他のアルムナイ運営者の参考にする取り組み。
今回は、ニトリのアルムナイ「モトニト会」です。
調査日:2024/1/6
基本情報
名称:モトニト会
企業:ニトリ
設立:2019年
発起人:永島寛之さん(人事責任者→その後、退職)
参加資格:グループ会社含む、卒業生
登録者数:約250人(Facebookグループ登録者数)
目的:
1)卒業した人々との繋がりを持ち続ける
2)卒業生のブランド認知を向上させる
主な活動:年に2回ほどのワークショップ&交流会
運営タイプ:4. 野良型(主催:卒業生/運営:卒業生、会社連携:なし)
・元は、会社の人事責任者が立ち上げ、会社の経費で運営
・発起人の退職により、「野良」型に移行
組織成熟度:Lv.2)運営チームはあるが、代表に依存する部分がまだ多い
収支:卒業生の自立採算、固定収支無し
立ち上げ
背景にある想い
1)「モトニトリ」人材の優秀さを世に知らしめたい
ニトリでは少人数で現場を回すため、若くして幅広い業務をこなす
結果、採用市場では「元ニトリの人は使える」という評判がある
しかし「元リク」のように一般に認知されるまでには至っていないので、知られるようにしたい
2)卒業生と会社が繋がり続ける→本当の退職理由を聞きたい
似鳥会長は採用に熱心で、毎月退職者について報告する会議があり、退職理由、それまでの打ち手、根本原因(上司・採用・文化・配置・活かし方など)、今後どうするか、など掘り下げられる
また、「優秀な人とは、辞めても繋がり続けなさい」ともよく言う
よって、退職者と繋がり続け、本音を聞く場にしようと思った
3)その他、狙った効果
リファラル採用(カムバック採用は意識していなかった)
ビジネス上の情報交換
卒業生同士のネットワーキング(卒業生への価値提供)
合意形成
人事責任者である発起人が会長に提案し、承認をもらった
準備
参加者のニーズ調査やのベンチマークの類はしていない
趣意書、企画書、ガイドラインなどは特段作成していない
当初の活動
19年に2回、イベントを実施
最初は1枚もののフライヤーを作って、直接メールでお誘いした
退職を引き止める文化があるので、当初は辞めたことに対する後ろめたさから「行っていいんですか?」という反応が多かった
Facebookグループを立ち上げ
→イベントごとに数十人くらいずつ登録が増えていったコロナになり、オンラインでは効果がないと考え、2年間休止
運営体制
立ち上げ時は会社の人事責任者だったので、部下がやってくれた
永島さん独立後はほぼ一人で運営(イベントごとにチーム組成)
立ち上がった前提要因
前向きなチャレンジとして転職していく人多い
辞めても、ニトリではいい経験をさせてもらったという、ポジティブな感情を持っている人が多い
辞めてしまうと会社との関係が切れてしまうのが勿体無い、辞めても繋がり続けたい、というニーズがあった
活動
趣旨
ニトリで得た経験をふり返り、自身の「資産」とする機会を提供する
←辞めた会社の記憶は封印しまう人が多く、勿体無い営利方針:双方にとって良いビジネスマッチングは歓迎
明文化:なし
「こういう場にしたい」を明文化しようという意見が、運営チーム内で出てきている
1)プラットフォーム
ツール:Facebookグループ(承認制)
選定理由:無料で使っている人が多く、気軽に始められる
内容:新規参加者紹介(自動)や、イベントに誰が来るか伝える程度
2)イベント
ワークショップ
年2回ほど、毎回50人程度が参加
現役も参加可能(参加者の15%ほど)
テーマ別の分科会:人事、コンサル、など
オンラインイベント:現状やっていない(今後やるかも)
3)マッチング
事務局として特段の後押しはしていない
イベントで繋がることで自主的なマッチングが発生
採用成功:参加者の会社に、他の参加者が転職
共同創業:アルムナイ同士で起業した人も
発起人もアルムナイつながりで3件の案件獲得
(NewsPicsでの登壇など)
4)コンテンツ
特に記事や動画などは制作していない
拡大と活性化
登録者を増やす
イベントをやるごとに数十人くらいずつ登録が増加
Facebookを見ない人を想定してメールでも案内
Excelで連絡先を管理(過去の申し込み情報でメアド取得)
その他、各人が知っている人に個別の声がけ
投稿の活性化
現状、発起人+1~2名が時々投稿する程度
特に手をつけられておらず、今後の課題
参加者
年代
20〜30代が多い(比較的近年急成長したため)
属性イメージ
1)起業&スタートアップ幹部:5%程度
ニトリでは、現場には精通できるが、経営に携わるまで時間がかかるという理由で、スタートアップに行く人が多い
この層はアクティブで、アルムナイの運営も手伝ってくれる
2)コンサルティング
総合系はアクセンチュアが多い
新興系も多い(リブコンサル、Regritなど)
転職動機は1(スタートアップ)と類似
3)小売系
小売を続けたい人は、Amazonに行く人が多い
(ニトリの給与水準は同業より高い)
4)人材系
パーソルとリクルートに多い
5)大手メーカー
日本の大手メーカーに行く人も案外いる
(大阪で会合をやったら3/9人がシャープだったことも)社外活動にあまり積極的ではない人が多い
→アルムナイ活動においてはあまり目立たない
収支
基本方針
卒業生による自主採算。
イベントは単体で採算を合わせる。
固定収支
収入:参加者からの年会費:なし
収入:会社からの委託費、他:なし
費用:人件費/委託費:なし(卒業生ボランティアで運営)
費用:ツール、設備:なし(無償ツールで運営)
スポット収支
人件費:ボランティアで運営
会場費:参加費で賄う
(会社からの会場提供:なし)飲食代など:参加費で賄う
運営
区分
タイプ
役割分担
組織成熟度
代表
永島寛之さん:トイトイ合同会社 代表
略歴:東レ→ソニー(マーケティング)→ニトリ(最終的に人事責任者)→転職後、独立
体制
これまで、定常的な意思決定や企画の発案は、発起人1人で実施
イベント単位でメンバーを募り、合議・役割分担
(ツール:メッセンジャーやZoom)
※最近の変化
最近、イベント参加者の中から自主的に運営を買って出る人が出てきて、発起人+4人程度の体制が出来つつある
30代前半、男性3人・女性1人
現業:事業開発支援会社やコンサルなど
経験:イベント企画・運営経験豊富な人がいる
関連情報
役割分担:明確なものはまだない
形態:無償ボランティア
スタンス:義務にせず、楽しんで自発的にやるように
会議体
定例会議:現状なし
→チーム運営に移行中
運営ルール
メンバーの任期/選出/任免、運営などに関するルール:無し
システム
1)活動用途(対 参加者)
コミュニケーション(フロー):Facebookグループ
情報共有(ストック):なし
外部発信:
・HP:なし
・note:なし
・Youtube:なし
・SNS(Facebook、X、Instagramなど):なし
その他
・カレンダー(参加者用):なし
・イベント参加管理:Google forms
・オンラインイベント:なし
2)運営用途
・記録:Googleスライド共有、議事録(ドキュメント)
・会員リスト:なし(メール送信は過去のFormsを参照)
・収支管理:なし
・タスク管理:議事録ベース(Googleドキュメント)
・カレンダー(運営用):なし
・オンライン会議:Zoom
参加承認
登録資格
ニトリの卒業生
承認プロセス
プラットフォーム:Facebookグループ(承認制)
承認者:発起人(永島さん)+他3名が管理人
タイミング:申請の都度
判断根拠:共通のお友達を見て判断、いない時は質問等で確認
記録:別途のログは残していない
オンボードなど:新規参加者を紹介する程度(自動機能)
会社との関係
概要
似鳥会長の承認を得て設立
その後、発起人が退職(代表は継続)
また、会社が公式アルムナイを設立
コミュニケーション
定例会議:なし
窓口:公式にはない
支援
設備:なし
資金:なし
人員:なし
会社側の期待成果
現状、特になし(会社が公式アルムナイを設立)
社友会との関係
有無:公式アルムナイと社友会がある
1)公式アルムナイ
目的:カムバック採用
→理由:優秀な退職者に戻ってきてほしい参加資格:卒業生のみ
登録者数:200人くらい
→ターゲット:カムバック採用の候補者になる若い優秀層登録者獲得:過去退職者に連絡&退職時に案内
設立:最近
経緯:モトニト会とは関係なく、別モノとして立ち上がった
主管:人事部
プラットフォーム:ハッカズーク
状況:あまり利用されていない
2)社友会
対象:卒業生全員
客層:昔の従業員で、社長の昔なじみが多い
趣旨:昔懐かしむ系の懇親の場
課題と目指す姿
目指す姿
ニトリで働いた人が色々なところで活躍していること、ニトリ出身者が優秀であることを、卒業生自らが確信を持てるようにし、更には世に知らしめたい(モトリクや〇〇マフィア、のようなイメージ)
卒業生への価値提供としては、中で仕事が受発注が生まれる、採用などのマッチングが、などの価値共創が活発に行われるようにしていきたい
今の課題やチャレンジ
会社を巻き込み、連携した取り組みをしていきたい
中身や仕組みを整理していく時期にきている
イベントなどの企画、年間計画
定常的な運営チーム確立と役割分担
システムやプロセスの整備
効率的にする&参加者により価値を提供できるように
名簿なども整備したい
過去に起きたポジティブな成果をヒアリングして参加者に共有したい
卒業生の活躍を発信していきたい
ご案内
運営ナレッジシェアとコラボレーションによる価値向上を目的に
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