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企業アルムナイ運営者コミュニティ設立趣旨

近年、企業の卒業生コミュニティ「アルムナイ」の設立が増え、国内で活性化する兆しが見えてきました。

この流れを後押しすべく、1000人規模のソニー有志アルムナイを立ち上げたコミュニティ実践家として、運営者コミュニティを立ち上げたので、ねらいや内容などについて説明します。

背景とねらい

近年、アルムナイを立ち上げたというリリースや記事が増え、「業界」としての盛り上がりが見えてきました。

しかし、コミュニティをビジネスの成果に繋げるのは難しく、メディア記事も「アルムナイによるカムバック採用で、採用難を解決」のような、コミュニティの主役である卒業生価値の視点が欠落したミスリーディングなものが少なくありません。

このままでは折角の盛り上がりが失望に転じかねないとの危機感から、運営者同士が課題解決を扶け合い、成功確率を高める後押しをする場をつくることにしました。

参考:アルムナイの失敗パターン

  • プラットフォーム登録増やイベント集客に苦労する

  • プラットフォームに運営側の告知しか投稿されず過疎化

  • イベントも、最初は物珍しさで人が来たがリピート率が低く尻すぼみに

  • あるいは、お金、人力、データベースをフル活用して人を集めても、来てほしい層が来ず、会社としての成果につながらない

  • 経営陣や他部門から「これ、やる意味ある?」との声が上がる
    →予算と人員が大幅縮小され、担当者もやる気を失い、自然消滅

コミュニティの概要

参加要否の判断材料として、基本的な内容を簡潔に説明します。

目的:企業アルムナイ運営者が互いの課題解決を支援する場をつくり、価値を生み出す成功アルムナイを増やすこと
参加資格:相応に活発な、企業などの卒業生コミュニティの運営メンバー
*参加は個人として(アルムナイとしての公式連携ではない)
負担:参画に伴う費用や義務はなし
スタンス
・各人関心のあることに、無理ない範囲で参画するのでOK
・互いにGiveすることで相互利益を実現し、場全体の価値を高めることで、自身にも価値を還元させる

プラットフォーム:Facebookグループ(承認制、メンバーのみ参照可能)
現在、下記18社のアルムナイ運営メンバー43人が登録

1.ソニー, 2.Yahoo, 3.ビズリーチ, 4.JAC, 5.DeNA, 6.IBM, 7.SBIグループ, 8.Google, 9.NSSOL, 10.三井物産, 11.電通, 12.経産省, 13.Sansan, 14.SMBCベンチャー会, 15.ニトリ, 16.双日, 17.パーソル, 18.楽天

上記アルムナイは、卒業生による自主運営で活発に活動しているところが多いですが、そのようなところの大半は既にカバーしました。今後は会社公式アルムナイの、現役社員の運営メンバーも増えるはずです。

現状の活動:今のところはカジュアルなコラボが中心
1)セミナーや交流会などのイベント
2)運営者を介した、情報や機会の相互提供

主催:高橋龍征(ソニー有志アルムナイ 発起人)
→「企業アルムナイ研究所」設立後はそちらが主催になる予定

運営者の参加ベネフィット

コミュニティに参加することで、アルムナイ運営者が得られると考える利点を挙げます。

実践知の共有

アルムナイを立ち上げ、適切に活性化させるための考え方ややり方を、誰でも実践できるよう言語化・フレームワーク化して、共有します。経験者の方が未来を見据えた課題意識をもって学び続けているので、課題解決コミュニティとして機能するでしょう。

  • 思考:会社組織とは異なるコミュニティの基本的な考え方

  • 運営:コンセプト、ガバナンスの類型、参加資格、意思決定の基準とプロセス、文化のベースとなるガイドライン、運営体制の考え方と人集め

  • オペレーション:プロセス構築、効率化・標準化、マニュアルやテンプレート、ツールの選定や運用

  • 集客や活性化:提供価値設計、イベントなどの企画、自主活動を健全に活性化する仕掛け、ファシリテーション(同期/非同期、対面/オンライン、表/裏)

  • プロモーション:コンテンツ制作、メディア等への発信、外部コラボ

アセットの相互利用

各社の持つものを相互補完的に提供し合い、互いの企画を成功させます。

  • 会場:広くて設備の充実した会場の無料提供

  • PR:アルムナイ公式のHPやSNSでの発信

  • コンテンツ化:セミナー等の内容を動画や記事やグラレコにする

  • 人的ネットワーク

    • 登壇者として卒業生の著名人を紹介する

    • 採用や委託などの機会を、アルムナイのプラットフォームやMLにシェアしたり、個別マッチングする

知見共有と相談

1人で、あるいは自分たちだけで考えると、やがて煮詰まり、それが続くと運営者の心が折れてコミュニティが終わります。それを予防するため、経験豊富で異なる視点をもつ他アルムナイの運営者に、企画ネタや運営ノウハウを借りたり、壁打ちをしてもらうといいでしょう。

構造的な停滞要因への対策

「卒業生が参加資格」という要件は、人数の増加や多様性を制約するため、アルムナイを衰退させる原因となりますが、他アルムナイとのコラボは、この問題の解決策にもなります。

1)頭数が少ない段階の「鶏と卵」

アルムナイの登録者が少ない内は、イベント参加者も限られ、いつ行っても同じような人しかいないと、次はいいかなと見切られてしまいます。他アルムナイとのコラボをすることで、目新しい参加者を増やせます。

2)成長性や多様性の制約

同じ企業の卒業生は、似た属性の人になりがちです。コラボにより自社と異なる属性の人々が参加することで、普段接しない業界や専門の人から新たな刺激を得たり、取引や協業につながる新たなマッチングが生まれるかもしれません。

3)新陳代謝の停滞

コミュニティは、常連や似た属性への偏りが固定化すると、新しい人が入らなくなり「老化」します。コラボによる目新しい企画を実現できれば、無反応だった層や未登録だった卒業生がアクティブになる可能性があります。コラボ相手が自社の新しい参加者を連れてくることもあります。

なお、コミュニティ実践者は互いにGiveすることで相互利益を実現し、場の価値を継続的に向上させます。これがコミュニティの持つ力となります。

将来展望

軽いコラボや交流を重ね関係が深まったら、より突っ込んだ価値共創に挑戦したいと考えています。

カンファレンス

アルムナイをテーマにカンファレンスを実施し、キーパーソンをつなげ、新たな知見を創出・展開して、業界全体を健全に盛り上げるのもいいでしょう。内容のコンテンツ化も行います。

研究と育成

多くの実践者の知見が集まるので、それを今後の実践者のために体系化や理論的裏付けを行い、実践者の育成も行うべきと考えます。

  • アルムナイの立ち上げ・運営・価値創出を誰でもできる方法論にする
    →実践知を網羅した「教科書」を作る

  • アルムナイがもたらす効果などを学術的に検証する

  • 上記をもとに、アルムナイ実践者育成プログラムを作り、実践者を育成
    →修了者の実践を理論に還元する

  • 初心者や関心ある人でも入れ実践コミュニティを作る

これらの推進主体として、ある大学の教員と「企業アルムナイ研究所」設立予定です。

アルムナイ横断の共創プラットフォーム

各アルムナイのメンバーが、出身企業の枠を超えて、直接繋がれるプラットフォームもつくり、各運営メンバーを介さず価値を共創できるようにしたい。

企業アルムナイ運営者コミュニティをご案内下さい!

活発に活動している企業アルムナイの運営者の知り合いがいたら、ぜひコミュニティ(Facebookグループ)をご紹介下さい。

以下、コピペして送れる簡潔な案内文を用意したのでご活用下さい。

◆企業アルムナイ運営者コミュニティご案内

ソニー有志アルムナイ発起人(高橋 龍征)が標記コミュニティを立ち上げました。
もしご興味あればご参加ご検討頂きたく、ご案内させて下さい。

概要は以下です。
・目的は、運営者同士が互いに課題解決を支援し、アルムナイ活動全体を盛り上げること
・現状の活動は、コラボ企画や知見のシェアなどカジュアルなもの
・参画に伴う費用や義務はありません
・非公開のFacebookグループに、ヤフー、ビズリーチ、Googleなど17社のアルムナイ運営者が登録(2023年12月)

参加方法:以下から申請下さい
www.facebook.com/groups/intercorpalumni/
*運営アルムナイ名等の簡単な質問に回答後、管理者が承認します

ご参考:コミュニティ設立趣旨
https://note.com/conecuri/n/n1a133fc08e09

補足:参加資格の詳細と意図

コミュニティに趣旨と齟齬のある人が交わると、本来の対象者、間違って入った人、双方の不満につながります。そこで、このコミュニティの趣旨に沿って、参加資格を以下のように整理しています。

趣旨

  • 企業アルムナイの価値はビジネスパーソン等による未来に向けた共創を促進することと考える

  • 運営者コミュニティは、そのようなアルムナイ同士が互いに協力して成功確率を上げ、アルムナイ全体を更に活性化することを目的とする

参加基準

  1. 相応の登録者数と活動実績がある

    • 初心者向けは課題意識やニーズが異なるので別コミュニティが妥当
      (設立前、人数が少ない、イベント等の活動実績が乏しい等)

  2. 公式性がある

    • 会社主催に限らず、会社から公式に近い認知・後援を受けている自主運営も含む

    • 近しい元同僚程度の集まりや、会社と全く関わらない「野良」の集まりは対象外

  3. 企業や官公庁の卒業生が参加資格

    • 学校や研修などのプログラムの卒業生は対象外

    • 卒業生でも現役社員でもない人も入れてしまうところは対象外

  4. ビジネス等で現役の人を対象とした、価値共創を目的とするアルムナイ

    • リタイアして何もしていない人などが昔懐かしむような場は対象外

  5. 運営メンバーである

    • 定常的に運営に携わるメンバーの一員

    • 単発イベントの幹事程度は対象外

なお、初心者や興味ある段階の人々向けの実践コミュニティは別途あるべきだと考えています。

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