マンション標準管理規約 第53条(理事会の会議及び議事)

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2024年6月7日改正(第5項追加)
2021年6月22日改正(コメント部分)


条文

(理事会の会議及び議事)
第53条 理事会の会議(WEB 会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
3 前2項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

4 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
4 議事録については、第49条(第6項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第3項及び第4項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。

5 理事会で使用した資料については、第49条の2の規定を準用す
る。

コメント

第53条関係
① 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。
② したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。以下同じ。)を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。
③ 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族(理事が、組合員である法人の職務命令により理事となった者である場合は、法人が推挙する者)に限り、代理出席を認める」旨を定める規約の規定は有効であると解されるが、あくまで、やむを得ない場合の代理出席を認めるものであることに留意が必要である。この場合においても、あらかじめ、理事の職務を代理するにふさわしい資質・能力を有するか否かを考慮して、その職務を代理する者を定めておくことが望ましい。
 なお、外部専門家など当人の個人的資質や能力等に着目して選任されている理事については、代理出席を認めることは適当でない。
④ 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
⑤ 理事会に出席できない理事に対しては、理事会の議事についての質問機会の確保、書面等による意見の提出や議決権行使を認めるなどの配慮をする必要がある。
 また、WEB 会議システム等を用いて開催する理事会を開催する場合は、当該理事会における議決権行使の方法等を、規約や第70条に基づく細則において定めることも考えられ、この場合においても、規約や使用細則等に則り理事会議事録を作成することが必要となる点などについて留意する必要がある。
 なお、第1項の定足数について、理事が WEB 会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席理事に含まれると考えられる。
⑥ 第2項は、本来、①のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議論することが望ましいところ、例外的に、第54条第1項第五号に掲げる事項については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要するものであることから、書面又は電磁的方法による決議を可能とするものである。
⑦ 第3項については、第37条の2関係を参照のこと。

解説

 理事会の定足数は半数で、その過半数で決する。
 本来なら、顔を突き合わせて議論するのが理事会であるが、第2項は、専有部分の修繕申請があった場合、申請が要件を満たしていれば、すみやかに理事会承認を出すために書面において決することができる。
 第3項は、特別利害関係人は決議に参加できないことを明示している。平成28年標準管理規約改定で第37条の2の利益相反取引とともに加えられた部分である。
 電磁的方法が利用できる場合の第4項は『49条第3項』中の総会に出席した組合員だけを書き直しているが、49条第4項の部分も書き直さないといけない。

参照条文等

区分所有法 第49条(理事)
2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。

標準管理規約 第54条(議決事項)
 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認

標準管理規約 第49条
読み替え後
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
 理事会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の理事会に出席した理事がこれに署名押印しなければならない。
3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
 理事会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の理事会に出席した理事がこれに署名押印しなければならない。
4 第2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び議長の指名する2名の理事会に出席した理事が電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項の「電子署名」をいう。以下同じ。)をしなければならない。
5 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で
作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

標準管理規約 コメント第37条の2関係
 役員が、利益相反取引(直接取引又は間接取引)を行おうとする場合には、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めるものである。
 なお、同様の趣旨により、理事会の決議に特別の利害関係を有する理事は、その議決に加わることができない旨を規定する(第53条第3項)

新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A
((公財)マンション管理センター発)

 管理規約や細則に理事会の運営等に係る特段の定めがない場合であっても、新型コロナウイルス感染拡大の予防という観点から、新型コロナウイルス感染症への対応が求められる当面の間においてやむを得ず管理規約に規定されていない手法による対応が求められる際には、区分所有者からの理解や了承が得られれば、そのような 対応がなされても不適切ではないと考えられます。

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