マンション標準管理規約 第35条(役員)

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条文

(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
外部専門家を役員として選任できることとする場合
2 理事及び監事は、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。

コメント

第35条関係
① 管理組合は、建物、敷地等の管理を行うために区分所有者全員で構成される団体であることを踏まえ、役員の資格要件を、当該マンションへの居住の有無に関わりなく区分所有者であるという点に着目して、「組合員」としているが、全般関係③で示したとおり、必要に応じて、マンション管理に係る専門知識を有する外部の専門家の選任も可能とするように当該要件を外すことも考えられる。この場合においては、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」の第4項のように、選任方法について細則で定める旨の規定を置くことが考えられる。この場合の専門家としては、マンション管理士のほか弁護士、建築士などで、一定の専門的知見を有する者が想定され、当該マンションの管理上の課題等に応じて適切な専門家 を選任することが重要である。
 なお、それぞれのマンションの実態に応じて、「○○マンションに現に居住する組合員」((注)平成23年改正前の標準管理規約における役員の資格要件)とするなど、居住要件を加えることも考えられる。
② 理事の員数については次のとおりとする。
1 おおむね10〜15戸につき1名選出するものとする。
2 員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○〜○名という枠により定めることもできる。
③ 200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模マンションでは、理事会のみで、実質的検討を行うのが難しくなるので、理事会の中に部会を設け、各部会に理事会の業務を分担して、実質的な検討を行うような、複層的な組織構成、役員の体制を検討する必要がある。
 この場合、理事会の運営方針を決めるため、理事長、副理事長(各部の部長と兼任するような組織構成が望ましい。)による幹部会を設けることも有効である。なお、理事会運営細則を別途定め、部会を設ける場合は、理事会の決議事項につき決定するのは、あくまで、理事全員による理事会であることを明確にする必要がある。
④ 本標準管理規約における管理組合は、権利能力なき社団であることを想定しているが(コメント第6条関係参照)、役員として意思決定を行えるのは自然人であり、法人そのものは役員になることができないと解すべきである。したがって、法人が区分所有する専有部分があるマンションにおいて、法人関係者が役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者等される。外部専門家として役員を選任する場合であって、法人、団体等から派遣を受けるときも、同様に、当該法人、団体等から指定された者(自然人)を選任することが一般的に想定される。なお、法人の役職員が役員になった場合においては、特に利益相反取引について注意が必要である(第37条の2関係参照)。
⑤ 第4項の選任方法に関する細則の内容としては、選任の対象となる外部の専門家の要件や選任の具体的な手続等を想定している。なお、⑥及び第36条の2関係②について併せて参照のこと。
⑥ 外部の専門家を役員として選任する場合には、その者が期待された能力等を発揮して管理の適正化、財産的価値の最大化を実現しているか監視・監督する仕組みが必要である。このための一方策として、法人・団体から外部の専門家の派遣を受ける場合には、派遣元の法人・団体等による報告徴収や業務監査又は外部監査が行われることを選任の要件として、第4項の細則において定めることが考えられる。

解説

 理事長の選任方法は理事会決議による。平成28年改定前標準管理規約では、理事長などの役職は理事の「互選」とされていたが、平成28年の改定で理事会決議を経て理事長が選任されるようになった。
 役職名を変えたり、役職を増減したりする時は、標準管理規約第51条も合わせて変える。

 標準管理規約で、外部人材の理事への選任には総会決議が必要なのか、細則だけで選任出来るのか不明である。各マンションの実情に応じて外部人材の役員選任方法を決めていくべき。

参照条文等

コメント全般関係
 以前から、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めることについては規定してきたが(第34条参照)、さらに進んで、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。このような外部の専門家には、管理の執行を担うという点から、特に、管理規約、管理の委託、修繕、建替え等に関する広範な知識が必要とされ、例えば、第33条及び第34条関係②に挙げるような者が外部の専門家として想定される。
標準管理規約第6条コメント
 この規約では管理組合を法人とはしていない。したがって、ここにいう管理組合は権利能力なき社団である。

標準管理規約第37条の2

標準管理規約第36条の2(役員の欠格条項)
 次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
三 暴力団員等(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。)
標準管理規約 第48条(議決事項)
 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
標準管理規約 第51条(理事会)
2 理事会は、次に掲げる職務を行う。
三 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任
マンション管理適正化指針

4 さらに、マンションの状況によっては、外部の専門家が、管理組合の管理者等又は役員に就任することも考えられるが、その場合には、マンションの区分所有者等が当該管理者等又は役員の選任や業務の監視等を適正に行うとともに、監視・監督の強化のための措置等を講じることにより適正な業務運営を担保することが重要である。
標準管理規約 第36条(任期)
外部専門家を役員として選任できることとする場合
4 選任(再任を除く。)の時に組合員であった役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。
標準管理規約 第40条(理事)
3 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う

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