マンション標準管理規約(複合用途型) 第25条、第26条

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条文

(全体管理費等)
第25条 区分所有者は、敷地、全体共用部分及び附属施設の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「全体管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
一 全体管理費
二 全体修繕積立金
2 全体管理費等の額については、住戸部分のために必要となる費用と店舗部分のために必要となる費用をあらかじめ按分した上で、住戸部分の区分所有者又は店舗部分の区分所有者ごとに各区分所有者の全体共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。
(一部管理費等)
第26条 一部共用部分の管理に要する経費に充てるため、住戸部分の区分所有者にあっては第一号及び第三号に掲げる費用を、店舗部分の区分所有 者にあっては第二号及び第四号に掲げる費用を、それぞれ管理組合に納入しなければならない。
一 住宅一部管理費
二 店舗一部管理費
三 住宅一部修繕積立金
四 店舗一部修繕積立金
2 前項各号に掲げる費用(以下「一部管理費等」という。)の額については、住戸部分又は店舗部分の各区分所有者の一部共有部分の共有持分に応 じて算出するものとする。

コメント

第25条関係及び第26条関係
① 全体管理費等の各区分所有者の負担額は、住戸部分及び店舗部分のために必要となる費用をあらかじめ按分した上で、住戸部分のために必要となる費用分については住戸部分の区分所有者の全体共用部分の共有持分の合計に対する各区分所有者の共有持分の割合により算出し、店舗部分のために必要となる費用分については店舗部分の区分所有者の全体共用部分の共有持分の合計に対する各区分所有者の共有持分の割合により算出することとする。
 住戸部分及び店舗部分のために必要となる費用の按分は、費用項目を分けた上でその項目ごとに費用発生の原因を勘案し、費用負担として振り分 けることが適当である。
② 全体管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として全体管理費とは分離して徴収することもできる。
③ 議決権割合の設定方法について、一戸一議決権(第50条関係2)や価値割合(第50条関係3)を採用する場合であっても、これとは別に管理費等の負担額については、第2項により、共用部分の共有持分に応じて算出することが考えられる。
④ なお、管理費等の徴収や、滞納があった場合の取扱い等については、第65条を参照のこと。

解説

 標準管理規約(複合用途型)では全体の管理費修繕積立金、一部の管理費修繕積立金と分けて徴収する。それぞれの算定根拠は異なるので間違わないように。

 一部管理費等は、その一部共用部分の共有者による一部共用部分の持分を基礎とする。

 全体管理費の基礎となるのは全体共用部分の持分による。全体共用部分の持分は、一部共用部分(附属の建物を除く)のうち床面積を有する部分の床面積を一部共用部分の共有者の床面積で配分したものを一部共用部分の共有者の床面積に加え、その加えた床面積の割合による。

 全体管理費・修繕積立金は、そのうち、住宅部分の区分所有者が負担したほうがいいものと店舗の区分所有者が負担した方がいいものを額を割り出し、それを住宅部分所有者全体と店舗所有者全体に割り振った後に、全体共用部分の持分を基礎として算出する。

以下、具体例
専有部分の床面積が以下の通りのとき
住宅部分A 50㎡
住宅部分B 70㎡
 →住宅部分一部共用部分面積24㎡
店舗部分C 56㎡

住宅部分の区分所有者の専有部分の床面積A50㎡、B70㎡により住宅一部共用部分の持分が配分される。このとき、特に問題がなければ一部管理費等の負担割合もこの持分割合で算出し負担する。

全体共用部分の持分は
住宅部分A 50+10=60㎡
住宅部分B 70+14=84㎡
店舗部分C 56㎡
A60㎡、B84㎡、C56㎡の割合が全体共用部分の持分となる。

全体管理費を算出するには、全体管理費を住宅部分専用駐輪場管理費や店舗部分専用駐車場管理費、全員が使用できる非常用エレベーターの管理費など、住宅部分の区分所有者に負担するのが適切なものと店舗部分の区分所有者が負担するのが適切なもの、全体で負担することが適切なものにわける。住宅部分の区分所有者が負担するのが適切なものを、住宅部分に按分して住宅部分の床面積の割合により配分し負担額を定める。同様に、店舗部分の区分所有者が負担するのが適切なものを店舗部分の床面積で配分し負担額を定め、全体で負担すべきものは全体共用部分の持分により配分して負担額を定める。それらの負担額を合計したものが各区分所有者が負担すべき全体管理費になる。

 上記のように床面積で分けるのが基礎ではあるが、店舗部分の階高が住宅部分よりも高い場合など、実情に合わせて店舗部分と住宅部分の負担割合に合理的な範囲内で差をつけることも、規約で定めることにより可能である。

参照条文等

区分所有法 第14条(共用部分の持分の割合)
 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。


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