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こんちくけ
2024年11月3日 22:24
抜け殻のように目が渇き這って穴倉を抜け出した袖の大鋸屑を払って河原を照らす青空に掌を翳した幼い頃の半ズボン姿の私は裾を濡らしながら中洲に上陸した空に染みつく真っ赤な夜の兆しがそんな冒険の意欲を剥ぎ取る頃についに謎に塗れた獣の骨を発見したやるせないほどの嗄れ声で古い手紙を読んでみた文字の上に翳した虫眼鏡の隅に噛み砕かれた虹のような悲しみに頷く私の顔が映っていたその背後
2024年11月2日 14:30
小蝿を殺した子供達が風船を割った口角が傷付きヒリヒリと痛む愚鈍で誠実な人々は消えてしまった世界は境界線で埋め尽くされた雪掻き用だったスコップで人だったかたまりを掻き寄せる屋根だった空に穴があいてくだらない光が差し込んできたせいだ憎しみの上に怒りが生えて魂が私の一番嫌いな形になる眼球を売りに出した翌日に未来人は便器に跨って眠りそのままひとりで死んでいく
2024年10月21日 06:38
窮屈な頭蓋の裏にしたためた憂鬱な記号が緩んだ冠状縫合から滲み出たでももうしばらくは秘密にしておきたくて髪の毛を逆立て誤魔化したそれでもあまりいいことにはならないな膨らませ大きく見せてもなんだかな
2024年10月18日 11:40
子を背負い爆弾を抱えて地雷を踏むそのままでそのままで少しだけ待ってほしい光の形音の形空はいったい何を見てくれているというのか
2024年10月9日 10:02
昨日は船に乗り遅れ今日は列車に乗り遅れ見送るばかりの私です見送りトボトボ歩きますただトボトボと歩いたらいつかはそこに着くでしょう
2024年9月19日 22:37
窓ガラスに映った私が剥がれめくれて手鏡に映った私を覗き込む自分の頭で、とは、どういうこと?映り込まない掌だけがほんとうの私だったふらふらと世界を揺らしながらそこに私がいないことを知っていた
2024年9月13日 10:58
冷えた地形に沿って黄色い言葉が積もる丹念に等高線の襞をなぞると小さなその葉の輪郭線と等しいことがわかる谷と谷との交点には赤い言葉が溜まったが空に押し流されて粘度の高い湖がつくられた稜線の先端を祠が突き刺す世界をとどめるためのまち針だった
2024年8月17日 10:17
真夏の空に呆気にとられた、の「あ」のような大きな穴があいている人類は何かを縦に重ねると大概失敗する
2024年8月7日 23:41
ちいさな怒りが休んで居るまつ毛のかげで休んで居る印のないブリキ板が丸く切り抜かれて空に嵌め込まれている残念ながらその領域の内側で私は響くことがないほんとうの友達だったことがなかった棘の様な真っ赤な友達だった
2024年8月1日 20:58
蝉が透き通りながら羽の皺をのばしていた幼い頃の青味掛かった曖昧な記憶私は古井戸の洞に小石を落とした水音は聞こえなかったそれは小さな鍵だった見つめると縮む見つめるほどに縮みやがて私は見失い大切だった筈の冒険を簡単に諦めたそして重たい鍵だった触れると冷える触れるほどに冷えてやがて凍りつき私諸共粉々に砕かれそうだった胸に打ち寄せる少し先の未来が怖かった翌朝にきこえた騒
2024年7月24日 16:23
時の箱を次々と開くそれでそれでそれで僕たちは何になる真っ黒なふりした夜が息切れしてそしてそして青空だったことがばれてしまうつまり僕たちは夜だったのか夜から向かうどこかそれはそれは深い海の色震えるような本当の色
2024年7月18日 20:02
同じ速度で歩いていたら一緒に腐りそうだった私の舌が黒ずんで飛び出た雹が子に当たる動物園に行った博物館に行った晒せば今度は乾涸んで私が標本のようです
2024年7月12日 20:55
出掛けに部屋の鍵がないことに気づく物事をめくってみたり無意味な箱をあけてみたり過去の心を覗いてみたりしてみたがないもはやこれまでと覚悟を決め外に出てから扉を閉じたら鍵穴に刺さりっぱなしのキミが泣いてた一晩中そこにいたのか
2024年6月10日 23:47
不幸せな水平面に貼り付いてふわあと熱上がり黒い男と女おしゃれおしゃべりしている古い煉瓦の鉛直面で黙りこくってセピア色の男と女不幸せな石畳にただ影を落としている