マガジンのカバー画像

532
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

ほつれ糸

ほつれ糸を手繰ると心臓が引き攣る
うずくまる石ころのような表情で息を漏らす
休みたい
でもその掠れ声のほんとうは
暑い夏を待ち侘びている
思い出のような拍動
入道雲の額縁からはみ出てくる想像の
その半分は熱い息をしている

女子のパンツは小さく丸まる

夏至過ぎたので、って
関係ないけど
慣れないフリック入力に。
そしたら遅くって
思い付く言葉が
脳内から宇宙に逃げて
ああ、追いつかない
忘れてく。
なので音声入力にしたら
"改行"って入力できないよ
どういう事?
男子のパンツは大きくはためき
女子のパンツは小さく丸まる
そういう事?
違うのか。

怒り

多くの方々の尽力のおかげで
丸一日悪意に晒されずに過ごせたら
どうやら正気に戻れたようで

帰宅してからのいつもの仕打ちに対して
久しぶりに怒りを感じることができた

私は盗んでないし
ゴミをぶちまけてはいない

そうでしょう
自分で全てを濡らしてみたらいい
自分で全てを台無しにすればいい

人間が出てくる夢

また嫌な夢を見た
人間が出てくる夢だった

昔住んでいた蒸着アルミニウム皮膜の
今は無い私の部屋で
三角スケールを振り回している
誰ですか?

呼び鈴が鳴ったので扉をあけると
暗い目をした男が立っていた
誰ですか?

彼らは今日も
臓器のせいにして答えてはくれない

チェーン

玄関扉のチェーンをレスキュー隊員が切断する。「ナメルナ、殺す」と書き付けられた付箋が貼られた廊下。寝たふり妖怪は布団の中でしおらしい。すり減った人が玄関先で謝っている。

避難所

「避難所」という文字を空に浮かべたのが最初でした。その袂を目指し歩く人々。それは確かに役に立ちましたが、いつしか洗脳広告に変わりました。逃げ込める場所である事に変わりはありませんでした。
空詩(ソラシ)は空に文字を浮かべることができるアプリです。GPS付きのデバイスに対応しています。