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【感想】悪役令嬢の結婚後 もふもふ好き令嬢は平穏に暮らしたい(レジーナブックス)

読んだ感想や物語の登場人物に対する思いを個人的にまとめたものです。ネタバレを含みます。(こんちゃ)

もふもふ好き令嬢と書かれていたので獣人の話かなとタイトルから内容を読めず購入までに時間がかかったものの、買って良かったなと思う。

悪役令嬢定番の王子(テオ)の婚約破棄で、ヒーロー(カーライル)から救われてからの求婚。なんでシェリル(正ヒロイン)にぞっこんで騙されているんだよテオと思いつつも、庇ってくれてさらに求婚してくれるカーライルにキュっとしてします。ベタであっても物語上は憧れるシーン。

王子じゃなければ叩き潰せるよな

と心の底から思う。それはたぶんアリシアも同じで、一歩引いて大人の対応をした彼女はとても強いと思う。アリシアにも"諦め"の気持ちが無かったわけじゃないと思うけど、損得考え、どのように周囲から見られるのかなど客観的にトータルで考えた対応だったと思う。否定するところは否定しているわけで。物語だけれど、なんとなく会社員勤めの自分や社会で時々遭遇する理不尽な出来事などを思い出してしまう。

「アリシア。よくものこのこと、ここに顔を出せたものだな」

いやお前もどの面下げて夜会で根拠もなく婚約者を貶めるようなことをしているんだよ

「まさか、お前がそこまで悪辣な女とは思わなかった。」

何年アリシアの婚約者をしているのだろうか?どのような付き合いをしてきたのだろうか?アリシアのことを分かっていないくせに何をいうの?

一言一言にイラっとする。

だからこそ、速攻求婚した謎の騎士カーライルは何者??ととても興味をひかれたわけです。その前後では、カーライルとアリシアの接点もなぜ?に繋がりそうなものが何もないから。本当に善人なのか?実は裏があったり、何か悪いことをしているんじゃないか?とかカーライルの素性について考えてしまいそこがこの小説の面白いところだと思う。

とはいっても、毅然な態度で話すってとても怖いし震えるよね。不敬罪と言われかねないし、前世の記憶通りに進んでしまうこともあるかもしれない。

なんで悪役令嬢と婚約破棄する王子はみんな馬鹿なんだろう。

この本の最初から最後までカーライルの王子っぷりは変わらないし、カーライルとアリシアの想いはかわらない。でも途中でちょっとすれ違ってしまうところがもどかしくて悶える。

カーライルの初恋の人は自分(アリシア)ではないと思い、人違いだと思いながらも惹かれるアリシア。悩まず早く聞いちゃいなよって他人事だからいうけれど、もし自分だったら、やっぱりアリシアと同じように悶々としていたかもしれない。伝えたほうがいいと思いつつも、つながりが立たれてしまったり、一緒にいられなくなるんだろうなって気持ちもあって。

そこから領地での問題をアリシアが解決して領民にも受け入れられていく姿が。結婚して間もなくの領主留守。その代理をアリシアに任せるってよっぽどの信頼がないとできないよね。

それが、ブランとして嘘偽りのないアリシアの本心を聞き続けたカーライルの一途な想いなんだろうな。

ブランのまま会い続けるってカーライルってかわいいという気持ちもある。そしてアリシアがこっそりブランにだけ言った未来の話を信じて騎士の道に進むって。どれだけアリシアラブなんだろう。もしその未来が来たときに、自分が助けられるという保証もないのに。

ともどかしい気持ちを抱えながら進んで後半戦。テオの兄エルド殿下から夜会の招待状が届いてからガラッと本筋に戻りストーリーが進む。

すっかり、シェリルのことを忘れていたわ…。

ここで、本来はカーライルが隠しキャラの魔術師ハロルドだったということがわかり、そもそもアリシアがブランと出会いブランと仲良くなったことで既にストーリーは変化していたということになる。

シェリルの強欲さや、裏表の激しさ、見苦しさみたいなものと相まって、テオ×シェリルはお似合いや。と。とはいえ、本気で殺しにかかる正ヒロインって普通に恐ろしい。

シェリルにとっては"体験型ゲーム"なのだろうけれど、テオを誑し込んでおきながらカーライルを狙う。テオに同情はしないけれど、シェリルに愛情は持っているハズだと思う。幼いころからアリシアのことを好きだったカーライル、やっとアリシアを妻にできたのに彼女を傷つけるようなことをしたら、カーライルの気持ちはどうなるんだろう。シェリルにとって"体験型ゲーム"であって、自分はヒロイン、だからすべてが自分の思い通りになると思っている。いくらでも修正(やり直し)ができると思っているところが滑稽にだなと思う。


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