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王太子妃になんてなりたくない!!婚約者編(月神サキ)|ティーンズラブ小説レビュー


ティーンズラブ小説で有名な月神サキさんの代表作「王太子妃になんてなりたくない!!」をご紹介します。本作は、ヒロインが異世界転生者ではあるもののこの世界での生活を主軸に置かれています。小説家になろうで2014年9月から連載されトータル200万字を超える超大作です。私がおススメしたいのは婚約者編です。

王族との政略結婚はお断り!侯爵令嬢リディは純潔散らしても破棄したい

ヒロインは前世の記憶がある侯爵令嬢のリディアナ・フォン・ヴィヴォワール。幼少のころに自然に前世の記憶を思い出しますが、その時の感覚が強くて当時の常識が全く通用しない異世界で受け入れられないことがあります。それは自分の婚姻について。リディの父親はヴィルヘルム王国の宰相で筆頭公爵なので、王族の誰かと婚姻関係を結ばなければならない可能性が高いのです。前世では一般人だったので、どうしても王族との結婚は考えられません。王族には義務がありそれは貴族の義務とは比べようもありません。そんな面倒なことはイヤだったのです。そして、なによりも受け入れられないは王族が一夫多妻制度だったから。日本での常識をもつリディには他人と夫をシェアすることが耐えられない。だから、様々なお誘いがっても仮病を使って拒絶しているうちに病弱ではないか?と貴族の中でうわさが立ち、社交界へ出る必要もなくなったのです。それはリディにとって都合がよかったのですが、18歳になると父親も焦るようになってきて『王太子との婚約』うぃきめられてしまう。どうしてもいやなリディはどうすれば婚約を破棄できるのか考えます。たどり着いた答えは『処女を捨てること』この世界では処女性は重要視されていませんが、王族に限っては処女であることが求められています。つまりリディが処女でなければ王族に嫁ぐことはできません。リディはその相手を探しに家族に内緒で仮面舞踏会に参加することにしました。

【POINT1】仮面舞踏会で運命の出会い

婚約破棄したいがために一夜の相手を探すというのはなかなかチャレンジングなヒロインですよね。というのも前世の記憶があるからなせることなのかもしれません。

仮面舞踏会は身分を忘れ一夜のアバンチュールのために参加するもの。当然、高位貴族で箱入り娘のリディは普通なら縁のない話ですよね。都心にあるクラブのようなものでいろいろな人が出入りするためあまり風紀が良いとはいえません。

初めて参加した仮面舞踏会で出会った男と関係を持つことになるのですが……。出会ったところまでは定番だな!っと読み進めていくと、ラブシーンに近づくにつれてちょっと雲行きが怪しくなります。

避妊していない!

「責任は持つから」

これ一番信用しちゃいけないヤツ!

【POINT2】退路を断たれるリディ

フリードはリディに一目惚れ。ロックオンした彼は速攻で話を決めに行きます。あんなに婚約に乗り気ではなかったのに国王と宰相に話を通しそのまま宰相と共にリディに会いに行きます。そして王族の秘密や真実をリディに離すことで断れないようにものすごいスピードでリディを追い詰めていきます。

【POINT3】胸に咲く青薔薇

ストーリーの重要なキーがリディの胸に咲く青薔薇。一般国民には入れ墨だと思われていますが、これは魔法の契約。王族が人生にたった一度だけしかつかえない婚姻の証です。

この青薔薇がこの後のストーリーで関わってきます。

リディを追い込むフリード[ネタバレ]

初体験を終え、こっそりとバレないように明け方帰宅したリディはもう処女ではないので婚約を辞退したいと父親に言う"つもり"でした。が、父親がフリードを連れてやってきます。

リディのお相手はフリードだったのです。なんとお約束な展開!フリードにも夜会で手ごろな女性を見つけなければならない理由があったわけです。冷静に考えれば、「そんなわけないだろ!」と突っ込みたくなりますが、そういう非現実的なところが物語の面白いところですよね。

リディが眠った時に、こっそりフリードは顔を確認していたのです。そこから探しあてて断られる前に速攻で申込みにいくのです。婚約は決まっていてもまだあったこともなかったため、確実に、断れないようにリディに申し込んだのです。王族から望まれて断れる貴族はいません。

不本意ですがリディは直接純潔ではないことを伝えて諦めてもらおうとしますが、なんとそこでフリードがあの時の男だとバラすのです。

そして、リディの胸に顕現した王華、青薔薇についての王族しか知らない秘密を打ち明けリディの断る選択肢を折っていきます。

フリード強い……

現実にこんなにゴリゴリした男性がいたらきっとドン引きしちゃいますが、でもこれだけ求められたいなという相反する気持ちが。

幼馴染のウィルが……[ネタばれ]

肉食なフリードにゴリゴリ押されるのもまたキュンとするポイントですが、尋常じゃない●倫設定には……と思うところあり。リディのことが大好きなのはそのままなのですが、結局自分の思いや気持ちが叶うように周囲やリディを動かしていくのです。そこが個人的にあまり好きではないところ。リディもあんなに嫌がっていたはずなのに、だんだんとフリードに絆され飼いならされて、王太子妃編では同一人物だとは思えない人格に変貌しています。

婚約問題のなかででてくるのが、幼馴染のウィルさん。幼いころから一途に思ってきたのにリディに伝える勇気がないヘタレ。いつかいつかと思っているうちに(間が悪いのもあるけれど)リディはフリードの婚約者になってしまいます。

可哀そうすぎる……。

優しすぎるから、幸せがつかめないのかなぁ。何かと疎いリディだけどもう少し早く気持ちを伝えていたなら、リディはウィルの隣で笑っていたような気がするんですよね。

アナザーストーリーとして、リディとウィルを見たいなぁ…なんて思いました。

現在も王太子妃編が連載されていて引続きウォッチしていますが、婚約者編が全てかなという感想を持っています。

月神サキさんはたくさんのティーンズラブ小説を出版されていて、とくに本作はコミカライズでも人気の作品。内容にあまり差はないので、マンガの方が好きな方はコミカライズ版を購入してみてはいかがでしょうか。

合本版もあるので、婚約者編をまるっと読むならお得


毎週木曜日は少女小説・ティーンズラブ小説の感想を、ファンレターを書くような気持ちで綴っています。


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