バイオリンの理論 右手編1

 今回から数回にわたり、右手のことと身体のことについて書いていきたいと思います。

右手はヴァイオリンにおいて重要です。

なぜなら音色を作るのは右手だからです。

1、音を作る要素

ではヴァイオリンの音を作る要素はなんでしょうか。

わたしが思うに、

・圧力

・弓の速さ

・サウンディングポイント(註;弓を置く位置のこと。例えば駒寄りにおくか指板よりに置くかなど)

・弓を弾く位置(先弓、元弓など)

の4つです。

つまり、これら1つ1つの要素の組み合わせにより、理論上は実質的に無限の音を作ることができるわけです。

なので、右手というのは重要なのです。

2、持ち方についての考察

持ち方ですが、わたくしが知る限り、ドイツ式、フランス・ベルギー式、ロシア式の3つがあります。これらの違いは何かというと、人足指と弓がどこで接するか、簡単にいえば浅くもつか深く持つかです。

ドイツ式は人差し指の第一関節と第二関節の線のあたり、フランス・ベルギー式は第二関節の中央部あたり、ロシア式は第二関節と第三関節の線のあたりで接します。

つまり、ドイツ式は浅くもち、フランス・ベルギー式はその中間、ロシア式は深くもちます。

なんでわざわざ人差し指と弓の接する位置なんて面倒なことを書いたかというと、人差し指で圧力をかけたり弱くしたりするからです。

いうなれば、人差し指が弓を通してヴァイオリンに力を加えます。
厳密にいえば中指も力を加えますが、人差し指に比べれば小さいです。また、人差し指で圧力の加減をします。

ということは、人差し指と弓の接し方によって楽器への力の伝わり方が変わります。

上で、ドイツ式、フランス・ベルギー式、ロシア式の3つの弓の持ち方をご紹介しました。その際、要は浅くもつか深く持つかということを申し上げました。

ドイツ式・・・・・・・浅めに持つ
フランス・ベルギー式・中間
ロシア式・・・・・・・深く持つ

各持ち方を浅いか深いかで分けると上記になります。

そうすると、当然深く持つにつれ、人差し指と弓の接する面積が多くなり、力を乗せやすくなりますので、深く持つロシア式の方が大きい音が出ます。

では持ち方は一つだけマスターすればよいのでしょうか。

答えはNOですね。

なぜなら浅く持つ場合と、深く持つ場合は音色が全然違うわけですから、曲、いや、曲中の場面によって持ち方を使い分けなければいけないでしょう。

ですが、持ち方を変えるのは簡単ではないです。

というのも、弓の持ち方を変えると、バランスの取り方も変わるので、新しい持ち方すると慣れるまでは変な言い方ですが、ふらふらして不安定な状態になるでしょう。

ですので、最初はどの持ち方でもいいので、一つの持ち方で徹底的に練習して、ある程度技術が熟練してきたら他の持ち方に挑戦したほうがいいと思います。


3、圧力に関する問題

 2では持ち方、特に人差し指の重要性についてお話しましたが、もう少し人差し指の問題を書いていきましょう。
 人差し指は唯一弓に圧力をかけることができる指です。では圧力をかけすぎるとどうなるでしょうか。いわゆる初心者の方のギーギーした雑音が鳴ってしまいます。本当にヴァイオリンはじめての方は、弓をしっかり持ちすぎてしまい、無意識に人差し指にもものすごい力を入れてしまい、結果としてギーギーという雑音を鳴らしてしまうのです。
 要は、人差し指の力加減が大事なんです。
 ではどうやって力を加減すればいいのでしょうか。
 単に人差し指に力を入れたり抜いたりすればいいのでしょうか。
 もちろん指だけではだめです。
 
 ヴァイオリンの先生に習ったことある方のなかには、

「弓に自分の右腕の重さをのせなさい。」

という指摘をされたことがある方もいらっしゃると思います。
これの指摘は、指や腕だけを考えるなということが言いたいのですが、では次に問題です。

ではどうやって腕の重さを弓にのせればいいのでしょうか。
おそらく、この質問にきちんとお答えになれる先生は残念ながら少ないと思います。
実はこの命題に答えるには、身体の使い方の視点から考えないといけません。
次回以降、身体の使い方についても言及していきたいと思います。


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