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コンシーラの私(第二章)

第二章 新感覚旅行

大学生活は楽しくもあり、辛くもあった。毎日、高校の定義された勉強じゃなくて、役に立つ新しい知識が増えていくし、新しい目標を持って、自分が大人になっていくことを少しづつ感じることができたから、楽しかった。だけど、大人になるということは「大学のあと、どうするの?」と漠然だけど、襲い掛かってくる社会の大海原と対峙する恐怖感が襲い掛かってくる。焦りとどうしていいかわからない、わだかまりに、体の重みを感じる。

そんな憂鬱な5月に、図書館で見つけた、「インドネシアの笑顔」という本に出会った。オラウータンと生活を共にする少年の話だった。オラウータンの気持ちをわかろうとする少年。私は、家で飼っていた大型犬のゴールデンリトリバーの「健」とオラウータンが重なったせいかもかもしれないけど、自分の中にある他を尊重しようとする気持ちが芽生えたから感動したのかもしれない。それか、ちょうどそのころ、父親がインドネシアのジャカルタによく出張していたから、全くよくわからない日本以外の場所にいく、父親が心配だったからかもしれない。

だけど、本心は、そのオラウータンと少年の物語に心を打たれ、全く違う世界に身をおきたくなった。私の誕生日のお祝いに、父にお願いしてジャカルタの旅行を一緒に行ってもらう事になった。それだけ、私の気持ちはインドネシアに傾いていた。社会が、大海原であるように、世界に出れば、社会にでたのと同じなんじゃないか。そんな想いで、世界に出れば、わたしのわだかまりも溶けるんじゃないか。

大学時代のもやもやを吹き飛ばすように、私は父とジャカルタに足を運ぶ。
ジャカルタの空港に着くと、そこは別世界だった。臭い、暑い。日本は春でまだ涼しいし、緑の香りが少しはするのに。

街がごちゃごちゃしてゴミがいたるところに落ちているけど、人々は活気にあふれて生きている。日本では街や人々のことなんか気にもならなかったのに、目に飛び込んでくる。

笑顔?なんで?ジャカルタの人たちは、笑顔が耐えない。日本で私は笑顔なんてほとんど見せたことないのに。食べ物は、全部インドカレー?でも、味が違う。でも、甘辛くておいしい。インドカレーと日本のカレーしか世の中にはないと思っていたのに。これが、カルチャーショックなのか、

私は、一日目で疲れて、帰りの日まで寝込んでしまった。

帰りの日、父は、物産市場へ連れて行ってくれた。ミシンの音?絵を書いている人がいる。アクセサリーを作っている人もいる。暑くて、空気が悪いけど、なぜか
涼しい心地よい空気が漂っている。わたし、ちょうどピアスの穴を開けたばかりだったから、イヤリングを買った。あと、パジャマになる短パンと刺繍入りのTシャツ。自分へのお土産を買って、私は始めて、作るということに、まだわからないけど、なんとなく、良い気持ちになった。

臭いインドネシアの匂いが消えない。東京に帰ってきても、臭いインドネシアの匂いが消えない。

私は何者なの?全くわからなくなってしまった。アクセサリー作ればお金になるの?でも、日本で食べることができるほどの稼ぎができるのかな。

わたし、社会のことが余計わからなくなっちゃった。だけど、わたしは自分の住む社会について、知りたくなってきた。インドネシアの匂いが消えるまでは。

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