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コンシーラの私(第四章)
英語レッスン
大学に行きつつも、なにかまなぼうと思って、英会話教室に通うことにした。家から電車で20分の都会にも出れるし、帰りに好きな、ケーキ屋さんでケーキとお茶もすることができるし、海外のファーストファッション巡りだってできるから、都合が良かった。
英会話教室は、いわゆる大手のところを選んだ。入る前に受けた英会話能力は普通より下。外国人を目の前にすると、映画で観ていた大好きな俳優さんたちのような、顔つきで、まるで、憧れの人が、私に話しかけてくるようで、あがってしまったのと、多分、外国の文化について、さほど知らなかったからだろう。
私の先生は、シンガポール人に決まった。英会話教室も、私のあがり様に、同じアジア人を選んでくれたのだろう。英語の授業はとても楽しかった。先生は、私にいつもこう教えてくれる。「This is a pen! これだけできれば、英語をしゃべることはできるよ!自分の気持ちを素直にして英語に話せばいいんだ。いいたいことをそのまま言えばいい。」
「後は、特訓だね。特訓もいたって簡単。まずは、新聞の見出しだけを理解してみる。そして、口に出して見出しを読んでみる。瑠璃は、基礎ができているから、なにも問題ないよ!」
「あとは、洋画や海外ニュース番組を観ながら、相手がしゃべっている言葉を、頭の中で単語と文章に置き換えていく。頭の中でイマジネーションを働かせて自分が経験してきたことと、照らし合わせながら、その文章を記憶におさめていく。」
「これだけで続ければ、いつか突破口が開けるよ!」
先生は、とてもポジティブな人だった。授業では、ただ単に、英語をしゃべるだけ。それだけに注力を注ぎなさいと、その先生は言っているように思えた。
シンガポールは、テレビで観ると、最先端都市の様で冷たそうだけど、先生を見ていると、人間の温かみのようなものを感じる。古風というか他人がいるから、自分もいるということを深く認識しているように思えた。
シンガポールについて、調べてみると深い歴史もある。イギリスの占領下におかれたあと、日本人が占拠して、華僑が移住先に選び、周りのマレーシアやインドネシアからも移住してくる。また、各国からもビジネスの拠点としてシンガポールは成り立っていると書いてあった。多国籍国家といってもいい。
しかし、頭でわかっても、わたしは、アジアンキッチンの他国籍料理くらいしか、まだ、多国籍という言葉についての理解は浅かった。
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