見出し画像

アアルト邸訪問の思い出

※7年前の2016年に訪問した際の記録です。

前書き

2016年の3月、北欧を訪れた際にヘルシンキ郊外にあるアアルト邸へ足を運びました。
もう大分前のことになるのに、この邸宅での体験は私にとって非常に印象深いものであって、今でも時折、撮影した写真を見返しては、初心に帰るような感覚があります。
2023年GW最終日の今日、当時の写真をまた飽きずに眺めていて、この感慨を少しだけでもアウトプットしてみようと思い至りました。

アアルト邸について

アアルトはフィンランドの巨匠であり、建築家として有機的なフォルム、自然な素材を使い空間を提案してきた人物。STOOL60などの、建築に合わせてデザインされた家具は今でも愛されています。
アアルト邸は、アアルト夫妻(アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルト)が1936年に設計し、以降40年間アトリエ兼自邸として過ごした場です。ソフトでシンプルなデザインながら、建築設計のための多様な素材や工法を試す場でもあったようです。

道のり

アアルト邸はヘルシンキ中心街から路線バス移動で30分程度の閑静な住宅街にあります。バスから降りてしばらく歩くと、自邸の正面に着きます。正面からはぱっと見、普通の住宅に見えました。

外観

アアルト邸 中庭からのビュー

中庭からのビューは、特徴的です。暗い色味の木部、白い外壁と黄色味のあるドアのコントラストが印象に残ります。窓やバルコニー、柱などいろんな要素がありますが不思議と魅力があります。手前の石垣も、木材・芝生・植栽に加えてオーガニックな豊かさを出していて、居心地のいい雰囲気です。

室内

リビングルーム

ピアノ、アームチェアにローテーブルとソファ。ペンダントライトに、フロアライト、ガラスベース、アートに暖炉。理想的な、居心地のいい空間です。
数々のアアルトのプロダクトが置かれていますが、このアアルト邸では空間に溶け込んでいます。いち建築家の設計した建築・プロダクトを同じ空間で、一堂に会して鑑賞できる体験はかなり珍しいのではないでしょうか。
奥の木目部は引き戸になっており、日本家屋の影響を受けた部分のようです。

窓辺
すだれ

日が差し込む大きい窓にはすだれが掛けられてます。日本人としては親近感が湧くと同時に、不思議な気持ちになりますね。

赤いペンダントライトが「いい感じ」のダイニング
窓辺のワークスペース
邸宅の模型
アトリエスペース
ベッドルーム
懐かしさすら感じるラウンジスペース
製品化されていないライト?
2重シェードとベースの折り曲げ形状が特徴的なA703 デスクランプ
寒々しくならないように、丁寧にデザインされている印象
通路にしても、横方向の窓から入る光と木が温かみを感じさせる


白い塗り壁と木外壁のテクスチャー

見学時の様子

訪問当時は3月とややオフシーズンだったので、見学客は自分と他2組程度だった記憶があります。受付で見学料を支払い、英語でのツアーがありました。

所感

今になって写真だけ眺めていても、自然との調和や、心地よさへの思慮深さのようなものを感じられます。
今となっても強い思い出として心に残っているのは、一貫した思想のもとのプロダクト、建築、素材、形状、色彩をトータルで体験できたからなのではないでしょうか。
そんな総合力がアアルトデザインがもつ魅力の所以かもしれません。

こんな、居心地がいいのはもちろん、実験の場でもあるアトリエ的な要素のある自邸って憧れますね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?