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自分のスキルについてもう一度考える~T字型人間とは

「T字型人間(T字型人材※)」という考え方、フレームワークをご存知ですか?

私がこの言葉を知ったのは30歳を過ぎて、すでにいくつか転職を経験してからでした。当時は「なるほどな」と感心し、深く考えたものです。

※一般的には「T字型人材」と呼ぶ方が多いようです

教えてもらった「T字型人間」は一般的ではなかった?!

「T字型人間」を意識して早数年。今回、若者(社会人6年生以下)向けのマーケティングセミナーのアイスブレイクで使おうと、念のため改めてネットで意味を確認しました。

特定の分野を究め、その深い専門知識と経験・スキルの蓄積を自らの軸に据えつつ、さらにそれ以外の多様なジャンルについても幅広い知見を併せ持っている人材のことです。アルファベットのTの文字のタテ棒を専門性、ヨコの棒を視野の広さに見立てて、こう呼びます。
「日本の人事部」より
アルファベット「T」の形のように、下方向に深く知識を持ちつつ、横方向に広がる幅広い知見を持ち合わせている人材をさします。
「nomad Journal」より

あれ?

・・・ここで初めて、前職で教えてもらった「T字型人間」と、一般的な「T字型人材」の意味が違うことを知ったのです。いえ、もともと「人間」と「人材」と、大きく意味の異なる語尾なんですが・・・あれれ?

以降、ネットでの一般的な説明に当たる考え方を「T字型人材」、私が覚えているものを「T字型人間」と表記したいと思います。

1つの深い専門スキルと、2つの補助スキル

「T字型人材」と「T字型人間」の一番異なるところは、「T」の字の一画目、横棒の解釈です。

「T字の横棒のように、横方向に広がる幅広い知識や視野の広さ+縦棒のような深い専門性」ではなく、私は「T字の縦棒のように太くてしっかりとしと1つの専門スキルと、横棒のようにバランスをとる、2つのスキル」と記憶しているのです。

私が勝手に思い込んでいたのか、それとも教えてくれた当時の上司の勘違いなのか、はたまた、そもそもオリジナルの考え方であった・・・かはわかりません。

でも、改めて考えてみて、この「1つの専門スキル+2つのスキル」のほうを、研修では採用することにしました。

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一つのスキル/専門性の危うさ

もちろん、どんな専門性をどこまで深く持っているか・・・それにより「T字型」がベストであるかどうかは違ってきます。しかし周囲を見回してみると、一本でもぐらつかず立っていられるような、そこまで深い専門性を持っている人は存在しません。

それに数年仕事をしていれば(仕事に関する)むしろ一般常識は持っていて当たり前。武器にはなりません。

「スキルなどの幅」とはあまりにも曖昧な言葉でもあります。

であれば、中心の専門性を補助できるような、そしていざとなればそれも独立して使えるようなスキルが2つあった方が、役に立つと思えるのです。

例えば、

縦棒がWebディレクション、
2つのスキルがWebライティングとデジタルマーケティング
=万能Webディレクション型

縦棒がWebデザイン、
2つのスキルがHTMLコーディングとSEO
=一人で作業完了型

などでしょうか。

「狭い」と言われるかもしれませんが、自分の得意分野でまとめたほうが手堅く、難しくありません。最初のT字型が完成したら、次は縦棒を「Web制作」などにまとめ、また2つのスキルを増やして成長していけば良いのです。

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H字型人間を求められた経験もあり。だれど…

実はその「T字型人間」を叩き込まれた就業先では、のちに「H字型人間」(2つの専門的スキルと1つの補助スキル)になることを求められました。

が!おそらく途中で「それは無理」と言い出した本人たちが気づいたのではないでしょうか・・・また「T」に戻っていました(笑)

仕事で、それ一つで武器になるほどの「専門性」は、凡人に2つも習得できないのです。

それどころか、下手すると先ほど例に出した「Webディレクション+Webライティング+デジタルマーケティング」も、簡単には身に付かない・・・T字型人間ですら、簡単にはなれないものなのです。

どうやってT字型人間になるのか

答えはシンプルです。まずは意識しましょう。

次にしっかりと言語化し、そして計画を立てましょう

最初は2つの補助スキルは小さくても、範囲が狭くても構いません。最初から真ん中のスキルがどっしりとしている必要もありません。

また、逆の考え方もできます。現在の私の縦棒は「UX(ユーザー体験)」です。これはまだ習得したとは言えないスキルですが、何よりも好きで、勉強するのも楽しい・・・今後育てられる/成長できると考え設定しました。

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左右の2つのスキルは、「デジタルマーケティング」と「Webサイト作成スキル」です。今までのスキルを横棒にして、新しく興味をもったスキルを縦棒に設定してもよいのです。

どうやって「T字」を育てていくのか

「T字」を育てていく一番のコツは、左右の2つのスキルを中心スキルと近いものにすることです。

補助できる、関連性があるスキルであれば、就業先でも習得しやすい状況になることが多いですし、何よりも必要になる可能性が高いです。運が良ければ、就業先での時間やお金でセミナーに行くなど、学習機会にも恵まれますね。

こうして自身を「T字型人間」に育てていくことは、仕事の幅を広げ、何かあったときにもどっしりと構えていられる、生活のベースを守る頑丈な自分に鍛えていくことにもなります。

研修後のアンケートでは、キャリアプランやスキルセットについての悩みを書いてくれている人が多くいました。

少しでも、未来の自分を思い描き、目標を立てる手伝いが出来ているといいな・・・と思います。

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