【父の姿を残す】2024/08/14
「亡くなった父親のことはいつか、まとまったかたちで文章にしなくてはならないと、前々から思っていた」と村上春樹さん自身があとがきで書かれている通り、『猫を棄てる』というタイトルだけ聞くと猫好きにとっては少し眉をひそめてしまうような内容ではなく、村上さんが父親のことを書いた随筆です。
亡くなった父親のことを書くというのは、自分もしたいと思っていることの一つです。通常は亡くなった人からは当然もう話は聞けないので、自分の思い出と新しく調べた事実を照らし合わせてある程度の想像で書くしかないわけです。私には兄弟がいるので昔話をするのですが、意外と覚えていることや印象は一致しないものです。生きている間に聞きたかったことはたくさんあります。でも、たとえ聞いたとしても兄弟の話と一緒で、父親の話と自分の思い出は一致しないのかもしれません。私はきっと自分の中の父親の姿を、自分のために書き残しておきたいだけなのでしょう。
亡き父のことを想うお盆の一日です。
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