井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た#7
多くの親が陥りやすい「ちいさな病」
(7)自分の子に対しては「解像度が落ちる」
「親はどうやったら不安を手放せるのか」。この大きな問いについて引き続き考えます。親が覚えておくと「不安解消」に役立つことがひとつあります。
それは、多くの親が陥りがちな「ちいさな病」とも呼ぶべきものです。
Co-musubiの「大人ミーティング」でこんな場面を目にすることがあります。「大人ミーティング」とは保護者が集まって対話する月1回のオンラインミーティングです。ある人が「自分の子のこういう部分について悩んでいる」と言います。しかし、ほかの親から見ると、それがその子の「長所」に見える、ということがしばしばあるのです。
例えば、ある親は「自分の子は落ち着きがない」とネガティブに捉えている。でも、ほかの親の目には「〇〇ちゃんはいつも元気でアクティブでいいね」と長所に見える。ある親は「自分の子は発言がなかなかできない」と短所だと捉えている。でも、ほかの親の目には「〇〇ちゃんはじっくり深く考えてからぽそっと核心をついたことを言う」といった長所に映る。そんなことがあります。ちなみにCo-musubiは、オンラインのラーニングコミュニティであるので、ほかの子の様子も継続的に知ることができます。
「自分の子ども以外はしっかり観察できているのに、なぜか自分の子を見るときだけは、親は残念な見方をしがち。自分の子どもを見るときには『いいところを見つける解像度』が低くなりがちなのです」と井上さん。
近すぎると見えないものがある。
そのせいで親が無駄に不安になっているケースもあるでしょう。私たち親はまず「ちいさな病」にかかっている可能性があることを認識することから始めるといいかもしれません。
(#8に続く)
書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親)
新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。
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