「掌の小説」(ショートショート集その1)
私は一番好きな作家は川端康成なんですが、初心を忘れてるなと思ったので、川端康成をマネして、「掌の小説」を書きます!や、本当はこういう時に台本書いたりとか、企画溜めたりとか、そういう「やるべきこと」「やりたいこと」はたくさんあるはずなのですが、正直、あんまり捗りません。あんまり書けません。
反響があったらやるかもしれないし、やらないかもしれません!ウェイウェイ!ステイホーム!お金設定してみますが、全部読めます。PDFで売ってる「にてないモノマネ」「アイコ、セブンティーン」の上演台本はもっと面白いので、そちらもお願いします!つまりは、上の2作品の宣伝的な意味合いもあります!
しかしこのショートショート集、読んでいただければ分かりますが、けっこう、というか、かなりひどいので、宣伝にならないかもしれません!まあ、「今、アートに何ができるか?」に反応して「じゃあZOOM演劇」「リレーで読み合わせ」とかあんまりできない自分がもどかしく、でも足掻かないよりはマシかなと!そういう感じです!足掻きです!では、掌の小説です!
「涼宮ハルヒの憂鬱」
俺の名前はキョン。前の席に座っている涼宮ハルヒっていう女がヤバい。入学式の自己紹介の時に、宇宙人と未来人は私のところに来なさいとか言ってた。そんな自己紹介ってないと思った。ちゃんと紹介してほしいと思った。でも、ハルヒと同じ東中のやつらから聞いたんだけど、中学時代に、夜、校庭に侵入してミステリーサークルを書いたという事件を起こしていたらしい。あんまり関わってはいけないと思った。
そしたらある日、ハルヒの髪型の変化に気付いた。話しかけてみた。
「髪型、変えたんだね」
「あたしの髪型の変化があなたの人生に関係あるかしらん!?」
「いや、ないけど」
「そう! じゃあ話かけないでくれるかしら!? 宇宙人にしか興味ないのよね!? 大変申し訳ございませんけど!」
ハルヒは目をひん剥いて顎を突き出して嫌味たらしく言った。凄い嫌な気持ちになった。せっかく話しかけたのになんてやつだろう。俺は許せなかった。激怒した。
でも六時間くらいしたら激怒はおさまった。激怒という感情はだいたいそれくらいでおさまるものだ。しかし、右腕を切り落とされたらそんな簡単に怒りはおさまらないだろうと思う。とは言っても右腕を切り落とされるシチュエーションが思いつかないから、激怒という感情はだいたい六時間くらいでおさまるはずだという結論にやっぱり達した。「激怒という感情」っていう言葉って合ってるのだろうか。まあいいや。
ハルヒとはそれ以降は話さなかった。卒業して大学に入った時、駅前のカルディで働いてるのを見かけた。
「へー、カルディでバイトしてんだー」
って思った。
俺の右腕はその五年後、ヤバいヤツに切り落とされた。
多分そいつはハルヒよりヤバいヤツだと思う。
「仮面ライダークウガ」
俺は仮面ライダークウガ。グロンギっていう怪人たちと戦っている。あいつらはゲゲルっていう名目で人を殺したりするマジで邪悪なやつらだから、俺は変身して戦っている。
「変身!」
今日も変身して、マイティフォームでマイティキックしてグロンギの、なんか名前覚えてないけど、ズ・ガビラ・バ、とか、ブ・バゴラ・ビ、とか、だいたいそんな感じの名前の敵を、マイティキックで倒す。
マイティキックする時は、足の裏がなんか燃えていて熱い。相当な力が足に集中していると思う。だからグロンギも爆発するんだと思う。
俺の前に現れたグロンギはだいたい爆発している。
爆発しなかったグロンギなどいないと言っても過言ではない。
誰か、ユーチューブとかで、グロンギが爆発する瞬間の映像をまとめてほしい。
俺は見ると思う。
「猪瀬直樹」
「え!? 知らないの!? 東京オリンピックって世界一金がかからないオリンピックなんだよ!? 知らないの!? マジで!? 人生損してるよ! それは本当に! いや、本当に本当に本当に金がかかんないオリンピックなんだって! ヤバいよ! ホント、超節約してるから! それで経済効果いくらだと思う!? ねえ! いくらだと思う!? 実はね! 計り知れない! これ! 本当にすごいことだと思うんだけど! 計り知れないほどの経済効果があるんだよねマジで! 本当なんだって! じゃあ試しにやってみって! マジだから! 延期とか知らねえよ! やってみって、マジで! あ、無理!? じゃあ大阪でやっちゃう!? ねえ! 吉村くん! 松井くん! え!? 何!? 出来ない!? 出来るでしょ!? え!? だってさ! 雨合羽いっぱいあるじゃん! あれ! 使ってさ! だってあれ今全然仕分けできてなくて山積みでしょ!? だよね!? うん! みんな雨合羽でやりゃいいじゃん! やろうぜ!」
猪瀬直樹は維新の会でスーパーバイザー的なのをやってる。つまり大阪は彼のものだ。知らないけど。
「タクシードライバー」
俺の名前はトラヴィス。ベトナム帰還兵である。こないだ、大統領を撃とうとしたらチキってしまって、逃げた。
でも、最近会ったジョディ・フォスターっていう少女が、困っていたので、ジョディをなんか抑圧? なんか利用しているっぽい悪いやつらを全員撃ち殺した。
マーティンスコセッシってやつが俺のことを映画にしたんだけど、そいつの映画はマジで面白いからみんな観た方がいいと思う。
俺は自分で自分のことを語るのが苦手だ。
黙ってタクシードライバーでもやるぜ。ブンブン!
「大日本帝国」
「大日本帝国万歳!」
と男が叫んだ。男は、大日本帝国出身の男だった。だから「大日本帝国万歳!」と叫んだ。男は大日本帝国出身だから、「アメリカ合衆国万歳!」とは叫ばない。叫ぶとしたら、拷問されて「言え」って言われた時だろう。でも男の、大日本帝国への忠誠心が凄かったら「アメリカ合衆国万歳!」とは叫ばず「大日本帝国万歳!」と叫んで死ぬかもしれない。しかし拷問する側も、「アメリカ合衆国万歳!」と言わないから「大日本帝国万歳!」と叫んだ男を殺すとは限らない。
そもそも人を殺すのはよくない。
戦争は嫌だ。
「うちでおどろう」
うちで踊ってみた。でも本音を言うと外で踊りたいと思った。絶対に外で踊りたかった。でもうちでおどった方が今はいい時期だからうちで踊ることにするぞー。
と早紀子は思いながら、うちで踊っていた。早紀子の部屋は狭い。ブレイクダンスをしたら、首が折れた。
「こいつはヤバいぜ!」
と早紀子は思った。だが、首が折れているのでどうしようもなかった。時すでに遅し。
薄れゆく意識の中、早紀子の頭で流れていたのはトルコ行進曲だった。
父親がトルコ風呂に行っていたことを思い出した。
さて、早紀子の年齢はいくつくらいでしょう。
「セックスアンドザシティ」
パーティー! ビーチに集まってカクテルをグビグビ! ビーチから少し歩けば大豪邸。プールもある! 水着ではしゃぐわよ!
キャリーはテンションが高い。スパスパ煙草を吸っている。ヤッホー。
キャリーとハイタッチしたのはシャーロット。シャーロットはビーチでライブペインティングしている。それを覗き込むミランダ。口汚くその絵を罵るので、シャーロットと喧嘩になる。そこへ止めに入ったサマンサ。二人はサマンサの仲介で和解協定を結ぶ。そこでタイミングを見計らっていたのかサマンサ、
「ねえ、私の会社で働かない?」
最高だぜサマンサ! アンとヒラリーとナオミも「働きたい!」とサマンサに懇願する。
「でも今はパーティーでしょ!」
キャリーの鶴の一声でEDMがかかってズンチャズンチャ。フッフー! パーリィパーリィ!イェア!ファッキンシット!シットコムシットコム!ジャパニーズシットコム!
コール「やっぱりぃ・・・・?」
レスポンス「猫が好き!」
「オーケーオーケー!パーティイズオーバー!センキュー!」
一応全員と名刺交換したけどもう誰の顔も思い出せない。
「ブレイキングバッド」
「化学教師ウォルター・ホワイトです。みなさんこんにちは。色々語りたいのですが、私が今居る時系列はシーズン2が終わったくらいなので、最後まで見終えた方の方が私に関しては詳しいと思います。私も頑張って追いつきますので、その時、ブレイキングバッドに関して存分に語り合いましょう」
そう言って、ウォルター・ホワイト先生は授業を終えた。
僕はウォルター先生の授業が好きだ。僕はまだブレイキングバッドを観ていない。今から観ようと思う。
ネットフリックスを開いた。すると「お前、ちゃんと金払って観てるか?おいこら、何人で使ってんじゃボケ、カス、コラ」と、ネットフリックスからメールが来た。12人の友達で1つのアカウントを共有しているのがバレた。
ごめんなさいネットフリックス。
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