公演振り返り日誌その1

こんにちは。コンプソンズの金子鈴幸です。謎なタイミングですが公演終了いたしました。来てくださったお客様ありがとうございました。配信公演もよろしくお願いいたします。
今のところ、お客様で体調不良者が出た、などの連絡は来ていないです。まだまだ油断できませんので、嫌な緊張感ある日々を過ごしておりますが。
配信公演に備えて、何か盛り上げなければならない、と思いここに書き始めた次第です。
と言っても何を書こうかしら。
だいたいいつも、「もう少し作品作りの現場をオープンにしたい」という思いから宣伝代わりになるんじゃないかと、「作業日誌」なるものを書き始めます。その方が毎公演来てくれているお客さんの「楽しみ方」が増えるだろうと思うからです。というか、「チラシとタイトル」と「出演者情報」以外何も出さないというのも、「どうしようかな、観てみようかな」と思っている人には不親切かもしれませんよね。お代を頂戴して作った結果だけ出して「これがコンプソンズの芝居です!」みたいな、「作品だけ」みたいな、それ、「作品の聖性」に自惚れてませんか、みたいな。いや、しかし演劇やってる人には分かるでしょうがこうなってしまうのにはそれなりの事情があるのです……すみません……。
つまり「よしやっぱり書こう作業日誌」みたいに決意しても、台本が出来てないのです。
まず台本を書かねばならないのです。                 チラシは出来てるがチラシのイメージしかないのです。「今回はこんな作品ですよ!」と喧伝したいが私が一番知りたいのです。で、途中から余裕がなくなって、「ていうか作業日誌なんて読みたいか……?」と根源的な疑問に立ち戻って、それでも台本は書かなければならないので、作業日誌は書かれなくなっています。
そして全てが終わり、終わると本当に全て忘れるので、色々思うことや反省点もあるのに、次に生かせず、結局また同じ失敗を繰り返す、みたいな感じで4年やっています。
そろそろ学びたいです。
では振り返りましょう。思い出せる限りこの公演「WATCH THE WATCHMEN」の企画の成り立ちから今に至るまでのことを書いていこうかと思います。ネタばれもあまり気にせず書きます。

まず、劇場自体は一年以上前に抑えていました。客演のキャストさんもコロナ前に決まっておりました。
当初は、なんか色々煮詰まってた時で、劇団員の人に企画出させたり、「もういっそのこと幕末時代劇にしちゃえ」とか、「俺の心の故郷は白土三平なんだから、「猿飛佐助」とかやっちゃえばいい。演劇史的には福田善之リスペクトで」とか思ってました。
余談ですが今まで読んだ戯曲の「ト書き」で一番衝撃を受けたのが福田さんです。それまで戯曲のト書きと言うと「下手にテーブル、上手にうんたら、壁にはまるまるがかかっていて……」とかだと思っていたので、
「さて、第一場が始まる。遠く聞こえる合戦の響き、ドドンジャン、うわァ」

「ドドンジャン、うわァ」
に「これでいいんや」と思うと同時に、こんなに明瞭に作品のイメージを伝える優れたト書きはないなと、偉そうにも感心した記憶があります。いつのことか忘れましたが。
そしてだいたい「ドドンジャン、うわァ」なテンションで書いたト書きは「なにこれ?」と言われます。

まあそんなことはすっ飛ばしてコロナになりました。「やるのか、やらないのか」というのが最初に劇団内で議論になりましたが、最悪無観客で配信という形でもいいからやりたいという意見があり、それなら「ひとまずやる」しかないか、という結論に至りました。
で、何をやるか……となった時に、こんな時に「幕末もの」もないだろう……それよりも何よりも「コロナ対応のためにも、とにかく台本を早く仕上げなければならない」と思いました。
早く台本を書く方法はひとつ。
自分の手癖だけで書けるものを書く。
去年「ノーカントリーフォーヤングメン」でヒーロー誕生譚をやりました。初期平成仮面ライダーシリーズのファンなのでヒーローものはやりやすかったです。最近直截に政治を扱うのはやめてましたが、久しぶりにやってみるのもありかなと思いました。
「ヒーローもの」と「政治ネタ」に決まりました。
そして、そのまま当時ハマっていたHBO版「ウォッチメン」をやることにしました。
現代日本における「ヒーロー」とは何か……と考えた時にすぐ頭に浮かんだのが、自警団じみた活動をしている「迷惑系&底辺ユーチューバー」たちでした。
公言するのも恥ずかしいのですが、僕は自粛期間中、よ○ひと、へ○まりゅう、小○ふかせ、遠○、ゆ○かん、コ○○レ、混○、あたりが街中で暴れている動画を片っ端から観ていました。これらのユーチューバーがN国党の立花の応援演説に駆けつけてるのを観て、「ゴッサムシティじゃねえか」と思いました。
「世界中元気ない時にこいつらだけ元気だな」と思いました。
そのまま「ヒーロー」をへ○まりゅうに、
そして「政治ネタ」を小池百合子に託しました。
しかし「客演の坊薗さんと堀さん、怒らないだろうか……」と心配にもなりました。
一度台本の相談を大宮二郎君にしたのですが、「俺はへ○まりゅうとか、触れることすらよくないと思う。ああいうのに触れてしまった時点で負けだ」とか言われたので。(その辺のやり取りはなんとなく台本にしてます)
しかし悩みに悩んだ末、代替案が何も思いつかないのでやることにしました。早く! 早く! とにかく早く! 書くのだ!
「小池百合子」と「へ○まりゅう」が決まってからはわりと早かったです。顔合わせの時には台本は半分弱ありましたので。これはすぐ書きあがるぞ、と思いました。
あとはやっぱりコロナなので「コロナもの」やらなきゃなぁ、と思ってました。常に時事ネタを取り入れ、再演不可能な演目ばかりをやっていたので、その辺の自負はありました。
最初はベタに、「コロナで演目が中止になった若手劇団が……」で始めることにしました。その方が後半のジャンプとの落差がつけられる、と思ったからです。しかしまあ前半については少しじっくり書きすぎたかもしれません。エンジンがかかるのが遅かったな、まあその分後半が生きたので結果オーライな面もありますが。ありますかね? やっぱ次やるときは蜷川幸雄さんみたいに「最初の3分で勝負する!」みたいな気概も持つべきかもしれません。ちょっと反省です。
そういえばちょくちょく、コロナを題材にした演劇作品、あるみたいですね。今後も増えていくだろうな、と思います。
しかし「今、日本の演劇界は大変だ! それでも俺たちは演劇をやる! みんな見てくれ!我々には演劇が必要だ!」ノリで終わらせたくはないなと思ってました。始まりはそんな感じなんですが、スランプに陥った劇作家の「それでも書くしかないのだ……」でおもむろに机に向かう後ろ姿……なラストは避けました。感動的でしょうが多分みんなやるだろうな……と思ったからです。
ではどんなラストが……と思った時に自然と「○○に突っ込む」が出てきました。
「やはり主人公は行動しなければならない。○○に突っ込むぐらいの気概がないと! これも誰かがやりそうだけど、早い者勝ちということで。うん、ラストはこれにしよう。そうだ、コンプソンズの公演はよく「陰謀論」がどうとか言われてたから、「陰謀論」に取りつかれた男が頭おかしくなって〇〇に突っ込めばいいのだ!」
っていう具合です。
最終的に台本は早く出来たのですが、思ったより長くなってしまい、カット、シーン入れ替え、カット……を繰り返しているうちになんだかんだいつもと同じくらい大変な感じになってしまいました。上演時間は110分だったのですが、あの内容で90~100分だったら絶妙だったのにな~と未だに思います。反省です。
なんか漫然と書くとまとまりがないなー。もう3000字もかいてしまいました。
あんまり中身もあるんだか分かんない。ひとまずここでいったん終えます。その1なので続き書くかもです。


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