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ドタバタなステージで「環境のせいにしちゃいけないな」と思った話。

vol.45/コンプレサー通信2019年7月号掲載


公民館祭りでのマジックショー、司会役の女性がコンプさんを紹介している途中にマイクが切れた。

何かトラブルがあったらしい。

そんな中、登場曲が流れたのでステージへ。

一礼して、しゃべろうとしたら司会の女性が再びしゃべりはじめてズッコケた。

このようなイベントでは、環境が整っていないから仕方がないのだ。

マジックショーが始まり、客席の集中力が高まっていくのを感じながら大好きなロープマジックを進める。

一番の見せ所でみんなの視線が天井へ。

窓からツバメが飛び込んできた。

「ツバメを出現させました!」

コンプさんの苦し紛れのセリフで笑いが起こるも、手元のロープがなんだか空しい。

会場が落ち着いたところでトランプを取り出したら、少年が叫び始めた。

「ボクもマジックできる、ボクもできる、ボクもできる…」

少年の声にみんな集中できやしない。

なんとかこの状況を打開しなければ。

「さぁ、それでは、その少年マジシャンに登場いただきましょう。皆さん拍手を!」

司会口調のコンプさん。

少年が照れて静かになるのを狙った作戦だったのに、立ち上がってステージに向かってくるではないか。

なんというメンタルの強さ。

地域の皆様が予想外の展開を楽しみながら拍手で少年をステージへ送り出す。

おしゃべりでサポートしながら盛り上げを試みるコンプさん。

少年がおぼつかない手つきで簡単なトランプマジックを成功させると歓声が起こった。

その瞬間、笑顔の少年を中心に会場が一つになるのを感じた。


ショーを終え、振り返ってみた。

マジックを落ちついて楽しむのは難しい環境だったけど、皆さんの笑顔がすごく多かったなと思う。

心に残るショーというのはその時々で変わるものなんだろうな。

一方的に準備したマジックを演じればいいというものではないんだね。


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