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小暑;第32候・蓮始開(はすはじめてひらく)

鎌倉地方での仕事の合間、ちょっと余裕ができたので思い立って、、、いや何を思ったか覚園寺へ。その名前しか咄嗟に出てこなかった不思議。

どうしてこの日この時間にこの場所だったのか。

僕はほぼ一人で仏様やこのお山と向き合った。

仏様の多くは蓮台座つまり蓮の花の䑓にお座りになっている。この世で得業を積み、清らかな心で成仏すると極楽の蓮華の上に転生化生するという。

このイメージはあまりに美しい。

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1 淤泥不染の徳(おでいふぜんのとく)
2 一茎一花の徳(いっけいいっかのとく)
3 花果同時の徳(かかどうじのとく)
4 一花多果の徳(いっかたかのとく)
5 中虚外直の徳(ちゅうこげちょくのとく)

こうした徳が蓮にはあるという。


泥の中から立ち上がる。

泥は仏教でいう「無」や「空」であり「零」、womb、子宮、母胎も象徴する

真っ直ぐに伸びた茎は 参道でもあり産道となる いわゆる蓮根の穴が

あの世とこの世の通路となる

伸びて一番先っちょに花は咲く その䑓に命が宿っている

䑓から千もの色が花となって咲くが、蓮の場合蓮弁が開いた時すでに花托ができており、それはそのまま果托となる。沢山の蓮の種が熟して重くなると水面に倒れ込み 実は泥の中へ帰っていく

侘びた枯れ蓮が老いた姿を曝し 冬の池や沼の景色を見せる

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拝む掌が膨らみ開くとき

お盆の期間に開く蓮の花 葉には玉の露が結ばれ揺れる

葉に当たる雨の音階だけでも美しいのに 雫が踊る

魂は丸い 天からの恵みの雨を 蓮葉は迎え 踊る


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双蝶の舞う 満開のニンジンボク

夏の盛り 生と死は限りなく近い


緑濃い道を薬師堂へ

茅葺のお堂が現れる 土間の薬師堂の中は 天に白龍が舞い 東西に12神将が

南面して薬師如来と日光月光菩薩が鎮座し

宇宙の真っ只中に立つことになる 薬師如来を見上げて 竜の息吹と 日月 12の月の あるいは干支の 巡りと調和の中で佇む


「天上天下唯我独尊」

命は宇宙でたったひとつ 誰もが 生きとし生けるものがそうなのだ


一旦戻った僕に住職が「メタセコイヤ ご覧になりましたか」と話しかけてくれる

薬師堂の奥にありますよというので戻ると

やわらかに葉を撼わす 気品ある立ち姿の木を見つける

昔たった二本だけ 日本に持ち込まれたメタセコイヤの一本だそうだ もう一本は皇居に植えられたという


 別名「曙杉」

気持ちが本当に夜明けのように 晴れやかになった


*最初のイラストはもう24年も前の 子供が年の瀬に生まれて 初めての年賀状のうちの1枚 下も同じく

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