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【集客】Jクラブにとっての集客対象と商品設計を改めて考える

Jリーグのクラブを退職して、Jリーグ関連会社を含めると10数年務めた環境から新しい会社に移りました。
このnoteは、Jクラブで初めてグッズ担当になる人にとって、少しでも何かの役に立てば...と思って書いてきたものですが、これからはグッズ以外の話も書き留めていければと思っています。

今日のnoteのカテゴリーは「チケット・ファンクラブ」です。

1.Jクラブにとっての集客の対象を設定する

Jリーグの頃から色々なクラブの方と一緒に仕事をしてきた過去を振り返ると、この問いを考えることが必要だったけど、出来なかったという思いがあります。

このnoteでも書きましたが、スタジアムに観戦に来る「ファン・サポーター」そして良い意味での「一見さん」は下記の4つに分類されると思っており、それぞれが求める体験・価値観も異なります。

競技型観戦・・競技のプレーレベルの高さを観たい
同伴型観戦・・一緒に観戦に行く人と同じ体験を共有する
劇場型観戦・・優勝が掛かる貴重な試合を観たい
参加型観戦・・自分の応援・声援でチームを勝たせたい

とても乱暴なイメージ付けをすると…(本当に大雑把な分け方です)

競技型観戦は「1人で指定席でずっと座って観てる人」
同伴型観戦は「10代~20代のグループで観に来る人」
劇場型観戦は「普段サッカー観ないけどワールドカップだけ観る人」
参加型観戦は「毎試合、ゴール裏で応援している人」

DAZNやBSで欧州サッカーを観てる人は「競技型観戦」で、データ的な裏付けは全くありませんがサッカー経験者が多いような気がします。
また、「同伴型観戦」はスタジアムのVIPルームに観戦に来る企業・法人も同じような体験を求めているのかもしれません。

2.その人にどうやって価値を提供するか?

次に考えなければいけないのは、その人に同った商品を提供するか?

ここで壁にぶつかる?のが、スポーツクラブの商品設計が限られていること。

サービスとして提供できるのは「チケット」「ファンクラブ」、そしてクラブのコントトールから少し遠い「テレビやWebの観戦」
チケットだと、年にホームゲームが20試合前後。そして販売できる席も、試合によってレイアウトも価格も変更が出来ない。
ファンクラブも、一昔前と比べてサービスが多様化してきたけど、一般的なのは「レギュラー」「子供向け」ぐらいの分類になる。

3.商品設計を増やしてきたクラブや球団の例

その中でも、ぞれぞれの対象に向けて商品を設計してきた例として…

参加型観戦には「シーズンシート」や「セット券」。ファンクラブのカテゴリーを増やして、いろいろなオプションパックを付けている名古屋グランパスも、参加型観戦のサポーターを対象にしていると思われます。

同伴型観戦には「グループチケット」や「VIPルーム観戦」自分が観てきた中では「千葉ロッテ」のお座敷シートなど。
また、Jリーグクラブで多い「ホームタウンデー」なども、子供連れの家族を対象にしている商品が多く、同伴型観戦体験を狙っているものが多いです

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難しいのが「劇場型観戦」と「競技型観戦」

「競技型観戦」は、そのスポーツの知識があって1人で観に来ても楽しめる人(特に勝敗に関わらず、サッカーのプレーを観に来る人)なので、プロダクトの設計が影響を及ぼす範囲が小さいかもしれません。。
また、「劇場型観戦」はチームの成績というコントロールが出来ない要素が強いので、商品の設計が出来ません…(選手の引退・移籍なども劇場型観戦≒その試合の希少価値を高める要素ですが、その要素は不確定すぎます)

ただ、「劇場型観戦」(試合の勝ち高まったとき)に、クラブの収益を最大化させることが出来るのが「ダイナミックプライシング」や「クラブ公式の二次流通」です。
ある野球選手の引退試合のチケットがネットオークションで定価の5倍以上の価格で出品されていたという話を聞いたことがありますが、クラブの収益は定価の金額のみとなり、残りの収益は出品者のものとなります。
それを防ぐためにダイナミックプライシングや二次流通で不正な転売者ではなくクラブや球団が収益を上げて、その収益をチームや選手に投資する(価値を上げる)ことが出来ます。

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ただ、観戦者の分類(クラスター)だけでなく、観戦頻度という分類軸を追加してみていく必要があり、例えば「観戦頻度は低いけど、参加型観戦の意向が強い人(コアファンになっていく可能性の低い人)」や、「観戦頻度た高いけど、チケット購入枚数が少なくファンクラブにも入らない競技型観戦の人」といった分け方が必要なるので、さらに難しい…。

今度はもう少しその分類を細かく考えていこうと思います。





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