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わたしの家族 その1

私の家は5人家族。
父と母と、7歳上の兄と5歳上の姉と、そして私。
家族というより、神様のいたずらで、無理やり集められた5人のようだった。
そんな私たちは時間をかけてゆっくりと、本当の家族になった。

これから記していくのは、そんな私の家族の話だ。

1999年8月25日午前8時25分、私は家の近くの産婦人科で生まれた。
明け方になり、陣痛が始まった母を病院に送った父は、そのまま趣味のゴルフに出かけていった。夕方になりゴルフバッグを持ったまま病院に立ち寄った父のことを、もちろん私は覚えていない。覚えていなくてよかった。

父は、全く家庭を顧みない人だった。父と母の上下関係は子どもから見てもよくわかるほどで、そんな父を見て見ぬふりをしてごまかす母。兄と姉はとても優秀な人で、そんな兄姉がいることで、当然私に向けられる母の期待も大きかった。

家ではずっと息がしづらかった。本当の家族はどこにいるのか、いつ迎えにきてくれるのか、ずっと待っているのに、なかなか来てくれない理想の家族への期待と失望は日に日に大きくなるばかりだった。

今でも覚えている小学校1年のマラソン大会。
兄と姉は、勉強も運動もできる人たちで、マラソン大会も毎年1位だった。

私の人生初めてのマラソン大会。
走り終わった私の手の中には「5」と書かれた紙があった。
その紙を握りしめて、私はただ地面に座っていた。

家に帰ると、母は私に2冊の絵本を渡してきた。
それは、1位になったであろう私のために買ってきたお祝いだった。後日父にマラソン大会の結果を伝えると、「なんだ5位か」とつぶやいた。

私はあなたたちが思っているような子どもにはなれない。
兄と姉の優秀さと、それに慣れてしまった両親に、私はついていくことができなかった。

その頃からだろうか。
自分に対して違和感を持つようになった。生きることに対する違和感。
死にたいとか、生きていたくないわけじゃない。
ただ、息をすることが難しかった。

この苦しさはその後長い間続いた。この時が本当の意味で私の人生が始まった時だった。

                  text/みさと

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