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こんな夢を見た①アリのダンス─模倣と擬態

私は時々夢に見た内容を曲にすることがあります。以前紹介した(顕)は、夢で聞こえて来た太鼓の音をテーマにして作ったものです。

今回紹介するアリのダンス(CNo18)は、2016年2月25日生まれですが、ずっと前に見た夢、おそらく小学校低学年頃に見た夢をモチーフにしています。長い話になるので、前半ではこの曲とその動画について、後半ではこの曲に込めた「模倣と擬態」というテーマについて、分けて書いていこうと思います。

アリのダンスとは

私が見たのはこんな夢でした。鍵穴から部屋の中をのぞくと、スネアドラムの音に合わせて数匹のアリがダンスをしています。アリといっても人くらいのサイズです。スポットライトを浴びて、単独で踊るアリもいました。そして、そのダンスは何かとても大事なことを仲間に伝えているらしい…と考えているところで目が覚めました。

この夢は私にとってはとても印象的なもので、スネアドラムの音は今も覚えています。おそらく学校で学んだ「ミツバチのダンス」に影響を受けたと思われますが、なぜアリになったのかは分かりません。

このNHK for schoolの解説によると、ミツバチはダンスするだけでなく音を出すことで蜜の在処までの距離を示して仲間に伝えているそうで、まさにdance & musicによるコミュニケーションなんですね!

アリのダンスを動画にする

そんなわけで、いつかアリのダンスを曲にして動画を作りたい、と考えていました。あいにくアリの画像なんて持っていないため、Froggy Nightを作ったときと同様に、またAdobe Spark videoで無料素材をふんだんに使い、簡単に作ってみました。アリがなぜ踊っているのか、イマジネーションを加えて…。私のこれまでの作品にない試みとして、文字を入れています。

動画の解説

なんというジャンルの音楽になるのか私もよくわからないのですが、とにかくトランペットとサックスを中心としてメロディをつないでいます。ところどころアリが集団でチョロチョロ動くさまを示しています。

動画は前述の夢の内容で始まり、アリのダンスは何を示しているのか、という話に進みます。最近調べたところによると、アリはダンスのように見える動作をすることが実際にあるようですが、威嚇や争いだとされています。私の動画では、アリは互いに動作模倣して効率よく生き抜こうとしている、という生き残り戦略説をとっています(笑)。勢力を広げて、一匹のアリが二匹に,三匹に、さらにたくさん…。

ところが、途中でアリに似てるけどアリでないやつが出てきます(クモらしい)。「アリなのか?」という問いの背景がいかにも怪しげな画像になっていますが、これはTVドラマ「ツイン・ピークス」をイメージしています。

この動画を作っていた頃、1991年放送の初代ツイン・ピークスの25年後の続編(!)、というのがWOWOWで放送されていて、すっかりハマっていました。後で述べるように、私からすると、このドラマはとても模倣ということを意識していると感じられるのです。

模倣と擬態

模倣とコミュニケーション

模倣というと、ネガティブなニュアンスでどうしても捉えてしまいがちですが、実はとても大事な能力で、私たちはこの模倣能力を使って様々なスキルを身につけています。

そもそも「学ぶ」は「まねぶ(真似ぶ)」から来ているとも言われます。意味はわからずとも、とにかく形だけでも真似することから始まるスキル習得だって少なくありません。

たとえば言語の習得には、相手の話した単語や文を繰り返して言う「復唱」機能が必須で、この機能が障害された失語症患者さんのリハビリに難渋するのは、臨床家が日々経験しているところです。

また、自分が動作するときだけでなく他者が同じ動作をするのを見るだけでも働く、ミラーニューロンと呼ばれる細胞が霊長類の脳にはあります。つまり、他者の動作の模倣は、意図しなくても脳の中では自然に起きていて、それが他者理解に繋がるひとつの方法だと考えられています。

したがって、模倣はコミュニケーションに必須なのです。

本能としての模倣と擬態

模倣は本能なのでしょうか。脳損傷、特に前頭葉損傷の患者さんでは、ときに模倣行動(行為)と呼ばれる症状がみられます。真似しなくていいのにしてしまう、真似しないように何度言っても真似してしまう症状です。これは抑制障害のひとつとされていますが、ということは、模倣することはデフォルトの行動で、かなり原初的な能力なのかもしれません。

昆虫も、何か別の虫や植物、たとえば枯葉や枝に似た姿になることがあり、擬態と呼ばれます。捕食者から逃げたり、逆に相手を油断させて捕食したりといった、主に他者を欺く戦略としての役割があると説明されます。

しかし、昆虫はその場でカモフラージュしているわけではなく、遺伝子に規定された情報として姿を変えているはずです。しかも、他者を欺くためだとしたら他者の視点を理解できる、つまり心の理論を持つことになります。いったい誰が心の理論を持っていることになるのでしょう⁇

TVドラマ、ツイン・ピークスの主人公クーパーは、もともと切れ者のFBI捜査官でしたが、別の世界のようなところに25年閉じ込められていたため、この世に戻って来ても言葉が話せません。それでも、相手の言うことを模倣してオウム返しに言っているだけでなんとなくコミュニケーションできてしまいます。また、自閉症に見られる逆さバイバイのようなシーンも出てきて、監督は分かってやってるんだろうか🤔?と気になりました。

この続編ドラマではそもそも2人のクーパーが出てきて、「コピーをつくる」ようなシーンがあることからも、模倣ということを意識しているように感じます。また、「夢」ということが重要なキーワードになっていて、「人はみな夢見人。でもその夢を見てるのは誰?」というセリフが出てきますが、これは私のさきほどの擬態に関する疑問、「誰が心の理論を持ってるの?」と通じる疑問と言えます。

最近Eテレの子供番組「ミミクリーズ」が好きで、録画して見ています。お見事としかいえないすごい擬態が出てきて,目が離せません。

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