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コミュニティ活動力教育が必要な時代 | 呉 哲煥

みなさん、こんにちは。
NPO法人CRファクトリー代表の呉 哲煥です。

CRファクトリーは2005年に設立したNPO法人で、今年で17年目になります。15年以上に渡ってずっとNPO・市民活動・地域活動・サークル活動などの非営利組織・コミュニティ活動の支援を行なってきました。「コミュニティの運営や支援において右に出るものはいない!」と、自分たちで勝手に自負しております(笑)。
 
そんなCRファクトリーがいま新しい事業を行なおうとしています。それは「コミュニティ活動力教育事業」というものです。「コミュニティ活動力教育事業」とは何なのか?なぜそれが必要なのか?少しだけお話させてください。

呉 哲煥(ご てつあき)
NPO法人CRファクトリー代表理事。「すべての人が居場所と仲間を持って心豊かに生きる社会」の実現を使命に、NPO・市民活動・サークル向けのマネジメント支援サービスを多数提供。セミナー・イベントの参加者は8000名を超え、毎年多くの団体の個別運営相談にのっている。コミュニティ塾主宰。コミュニティキャピタル研究会共同代表。一般社団法人幸せなコミュニティとつながり実践研究所共同代表理事。血縁・地縁・社縁などコミュニティとつながりが希薄化した現代日本社会に対して、新しいコミュニティのあり方を研究し、挑戦を続けている。

つながりとコミュニティが希薄化・弱体化した日本社会

みなさんも日々の暮らしやニュースなどを通じてなんとなく感じているように、今の日本社会はつながりとコミュニティが希薄化・弱体化して、孤独孤立になりやすい社会構造にちょっとずつじわじわと変化・進化してきました。
 
家族や世帯のサイズは小さくなり(核家族化・単身化)、親戚づきあいも減ってきています(血縁の弱まり)。会社も高度経済成長期のような終身雇用・年功序列は崩れつつあり、自律的キャリア形成が求められ、転職も当たり前になってきました(社縁の弱まり)。地域でのつきあいも減少傾向にあり、お隣さん(ご近所)との助け合いもめっきり減ってきたのではないでしょうか(地縁の弱まり)。
 
好む好まざるに関わらず、今まで社会基盤として人々を支えてきた血縁・社縁・地縁などのコミュニティとつながりは弱体化し、社会構造が変わってきているのです。

既存の受け皿(コミュニティ)にヒビが入ってきて崩壊も目立ち始め、現代は新たな受け皿(コミュニティ)が求められています
 
受け皿(コミュニティ)がなくなった個人は自立を求められ、孤立孤独になりやすい社会構造になりました。現代は自分からコミュニティとつながりを求めて参加・所属する力が求められています

つながりの格差

コミュニティの弱体化を通じて、つながりが希薄化し、孤独孤立になりやすい社会構造に変化・進化してきた日本社会。次にやってくる大きなテーマは「つながりの格差」です。

今までは血縁・社縁・地縁などのコミュニティがそこにあって、個人はそれほど選択の自由がなくコミュニティが与えられていました。(大家族や親戚とのつきあい、学校のクラス、上司や配属先、隣近所や地域のつきあいなど、なかなか選べずに与えられるもの)

しかし「選択的関係の主流化」によって、家族や会社や地域におけるコミュニティやつながりもある程度選べる自由度が上がってきました。

今では血縁・社縁・地縁に代わる(または補う)コミュニティやつながりとして「選択縁」「趣味縁」「関心縁」という概念も現実解として登場してきています。
 
先ほど述べたとおり、現代は新たな受け皿(コミュニティ)が求められています。それを増やしていくことはCRファクトリーとしては変わらぬ活動としてこれからも行なっていきますし、参加・所属するコミュニティの選択肢が多いことは重要なことなのですが、ここに一つ大きな問題点があります。
 
それは、コミュニティやつながりが「与えられる」構造から「選べる」構造に変わったとき、「個人のつながる意欲とスキル」がより求められていくということです。

選べる自由度が上がることは一見良いことのように見えるのですが、この自由主義的な構造は「個人の責任」と「つながり格差」を生む力学も同時にはらんでいるのです。

今こそ「コミュニティ活動力」が必要な時代

「コミュニティとつながりが自由に選べる」ことがこれからの時代の基本的な構造・力学になるとき、それが「すべての人が居場所と仲間を持って心豊かに生きる社会」へ進むのか、「つながり格差と孤独孤立社会」に進むのかは、これからの取り組みにかかっています。
 
まずは「良いコミュニティ」を増やすこと。
そして、良いコミュニティを「つくれる人」を増やすこと。

これはCRファクトリーが15年以上に渡って取り組んできた活動でもありますし、これからも引き続き活動をアップデートして牽引役になっていきたいと思っています。(詳しくはこちら:https://crfactory.com/) 

そしてもう一つは「コミュニティ活動力」の教育を全世代的に取り組むこと。子ども・若者から働き盛りの会社員・公務員、そして中高年・シニアに至るまで、血縁・社縁・地縁・選択縁などを組み合わせて自分にとって最適な「コミュニティとつながりのかたち」を編集する力(教育)が必要になると感じています。
 
「コミュニティ活動力」は、自分に合う(相性が良い)コミュニティを探し見つけ参加する力。そこでうまくやっていく力。コミュニティの中に居ながらも「自分らしく」居られる力。「自分らしく」居るだけでなくコミュニティや環境に適応できる力。そのコミュニティと人間関係が自分にとってあまりにもつらくなったら距離を置いたり離れることができる力。
 
一つのコミュニティだけでなく(例えば家族だけ、職場だけでなく)、複数のコミュニティとつながりを必要に応じて組み合わせながら、良いコミュニティとつながりに恵まれて健康で幸せに自分らしく生きる力。
 
良いコミュニティとつながりに恵まれたとき、人は自然といきいきとして、自分が本来持っている力を発揮して、心豊かに生きることができると私たちは思っています。

経済性(学歴・収入・職業など)が幸せの要件として強くなりすぎた現代社会において、もう一つの幸せ(Well-Being)の要件を社会全体で育む必要を感じています。それは「コミュニティ」と「つながり」であり、そのための教育が今こそ必要なのだと感じています。
 
ここに向けた大きな流れを私たちはつくっていきたいと思っています。ご関心のある方や一緒に事業やプロジェクトをやりたいと考えている方はぜひご連絡ください。


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