見出し画像

「ホンダ、悲願の対トヨタ連合 電動化加速で狙うPBR1倍」に注目!

ホンダ、悲願の対トヨタ連合 電動化加速で狙うPBR1倍 沖永翔也 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ホンダは7日午後、2024年4〜6月期の連結決算を発表します。営業利益は四半期ベースで初めて4000億円を超え、過去最高となる見通しです。日産自動車・三菱自動車と組み、国内の自動車業界で悲願の二大勢力に集約させます。だが、トヨタ自動車が達成してきたPBR(株価純資産倍率)1倍超えのハードルは高いです。トヨタと対抗する勢力になれるかは、いかに速く成長戦略を実現させ市場を納得させられるかにかかっています。

「今までのやり方では世界をとらえられない。3社の協業を武器に戦う」。1日、ホンダの三部敏宏社長は日産、三菱自と協業する目的についてこう語りました。

3月に公表した日産との協業だけでなく、ぎりぎりで三菱自も合流にこぎつけました。背景には強い危機感があります。

ホンダは足元で好調な業績が続いています。2024年4〜6月期の連結営業利益は4500億円を超え、2年連続で過去最高を更新する見通しです。純利益の市場予想平均(QUICKコンセンサス)は中国事業の悪化を懸念し、前年同期比8%減の3356億円となっています。

好調を支えるのは世界販売の4割を占める北米です。燃費性能が高いハイブリッド車(HV)を軸とした値上げが浸透しました。ホンダブランドの米国の平均取引価格は6月に3月比1%増の約3万7000ドル(540万円)に伸び、四半期末ベースで1年ぶりの高水準になりました。

ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表アナリストは「商品力と値付け力がある。インセンティブ(販売奨励金)の動向も許容範囲だ」とみます。

だが、将来への懸念は大きいです。米テスラや中国勢に比べて、電動化は遅れています。2040年までに新車の全てを電気自動車(EV)か燃料電池車にする方針ですが、現在の年間販売台数は2万台もありません。

米コンサルティング会社のアリックスパートナーズによると、2030年には世界の自動車販売台数(1億100万台)のうち、EVが45%を占めるといいます。世界の伸びに追いつくにはホンダ単独ではハードルが高いです。

このため、ホンダは日産・三菱自との連合を打ち出しました。国内の再編にめどをつけ、トヨタに対抗する二大勢力となり、収益力を高めて成長を加速させる狙いがあります。

二大勢力が誕生しても世界的な株安のあおりも受けて市場の評価は高まりません。ホンダの5日時点のPBRは0.54倍にとどまります。日産が0.24倍、三菱自が0.52倍と乗用車メーカー7社のうち、PBR下位グループ3社が並びます。3社連合はPBRの下位グループの連合でもあります。

一方のトヨタは株式相場の下落でPBRが1倍を下回りましたが、直近は安定して1倍を超えてきました。3社連合の誕生で国内はトヨタグループとの2陣営に集約されますが、トヨタに対抗する勢力になるためには1倍超えは必達目標となります。

達成するためには3社連合による成長戦略の早期実現と株主還元の強化が必要となります。カギを握るのはコスト削減効果です。

協業する内容として、ソフトの共同開発やEV部品の共通化、電池の供給などを行います。ソフトの開発費には一般的に1兆円以上かかるといわれます。ホンダの三部社長は「ソフトウエアの開発費用を半分にするだけでも(コスト抑制効果は)かなり額が大きい」と指摘します。

ホンダの成長投資への余力を示す正味の手元資金(ネットキャッシュ)は3月時点で3兆7616億円に上ります。巨額投資を分担して余ったキャッシュを株主還元にも回すことができれば、市場の評価は高まります。

1日の記者会見では肝心なコスト削減効果を明らかにしませんでした。EV部品の共通化は系列の部品会社の統合や集約につながる可能性もあり、部品会社からの反発も予想されます。多くの課題を乗り越えて、どこまでコスト削減効果を大きくできるのか。市場はホンダの胆力を注視しています。

ホンダは2040年に全ての販売する自動車をEV・FCV(燃料電池車)にする目標を掲げています。今回の日産自動車との契約締結には、バッテリー領域やe-Axle領域等で仕様の共通化などを含んでいます。

両社の社長が握手をした今回の締結により、より魅力的なEVや利益率の改善につながっていく事に期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。